○公立大学法人旭川市立大学職員懲戒処分の標準例
(令和7年6月11日制定第86号) |
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1 基本事項
本標準例は、公立大学法人旭川市立大学職員懲戒規程第2条(以下「懲戒規程」という。)の規定に基づき、代表的な非違行為の事例を例示し、それぞれにおける標準的な懲戒処分の種類を掲げたものである。 | |
具体的な処分量定の決定に当たっては、 | |
① | 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか |
② | 故意又は過失の度合いはどの程度であったか |
③ | 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか |
④ | 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか |
⑤ | 過去に非違行為を行っているか |
等のほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮の上判断するものとする。個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる処分の種類以外とすることもあり得るところである。例えば、標準例に掲げる処分の種類より重いものとすることが考えられる場合として、 | |
① | 非違行為の動機若しくは態様が極めて悪質であるとき又は非違行為の結果が極めて重大であるとき |
② | 非違行為を行った職員が管理又は監督の地位にあるなどその職責が特に高いとき |
③ | 非違行為の公務内外に及ぼす影響が特に大きいとき |
④ | 過去に類似の非違行為を行ったことを理由として懲戒処分を受けたことがあるとき |
⑤ | 処分の対象となり得る複数の異なる非違行為を行っていたとき |
がある。また、例えば、標準例に掲げる処分の種類より軽いものとすることが考えられる場合として、 | |
① | 職員が自らの非違行為が発覚する前に自主的に申し出たとき |
② | 非違行為を行うに至った経緯その他の情状に特に酌量すべきものがあると認められるとき |
がある。本標準例に掲げられていない非違行為についても、懲戒処分となりうる場合は、本標準例を参考としつつ処分内容を判断する。 |
2 標準例
事 由 | 懲戒解雇 | 諭旨退職 | 出勤停止 | 減給 | 戒告 | ||
1 一般服務関係 | |||||||
(1) 欠勤 | |||||||
ア | 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員 | ● | ● | ||||
イ | 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた職員 | ● | ● | ||||
ウ | 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた職員 | ● | ● | ● | |||
(2) 遅刻・早退 | |||||||
勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた職員 | ● | ||||||
(3) 休暇の虚偽申請 | |||||||
病気休暇又は特別休暇について虚偽の申請をした職員 | ● | ● | |||||
(4) 勤務態度不良 | |||||||
勤務時間中にみだりに職場を離脱して職務を怠り、業務の運営に支障を生じさせた職員 | ● | ● | |||||
(5) 職場内秩序びん乱 | |||||||
ア | 他の職員又は学生に対する暴行により職場の秩序を乱した職員 | ● | ● | ||||
イ | 他の職員又は学生に対する暴言により職場の秩序を乱した職員 | ● | ● | ||||
ウ | 法人の敷地又は施設内で、業務の正常な運営を妨げる集会又は演説、文書若しくは図画の配布その他これらに準ずる行為を行った職員 | ● | ● | ||||
(6) 虚偽報告 | |||||||
事実をねつ造して虚偽の報告を行った職員 | ● | ● | |||||
(7) 重大な経歴詐称 | |||||||
重大な経歴を偽り、採用された職員 | ● | ● | |||||
(8) 秘密漏洩 | |||||||
ア | 職務上知ることのできた秘密を故意に漏らし、業務の運営に重大な支障を生じさせた職員 | ● | ● | ● | |||
イ | アにおいて、自己の不正な利益を図る目的で秘密を漏らした職員 | ● | |||||
ウ | 具体的に命令され、又は注意喚起された情報セキュリティ対策を怠ったことにより、職務上の秘密が漏えいし、業務の運営に重大な支障を生じさせた職員 | ● | ● | ● | |||
(9) 個人の秘密情報の目的外収集 | |||||||
その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集した職員 | ● | ● | |||||
(10) 無許可の兼業従事 | |||||||
事前に所定の手続きを経ることなく、理事長の許可を得ないで兼業を行った職員 | ● | ● | |||||
(11) 選挙運動 | |||||||
公職選挙法第137条の規定に違反して教育上の地位を利用して選挙運動をした職員 | ● | ● | ● | ||||
(12) 入札談合等に関与する行為 | |||||||
入札等により行う契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格等の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為をした職員 | ● | ● | ● | ||||
(13) セクシュアル・ハラスメントを含む性暴力等 | |||||||
ア | 暴行若しくは脅迫を用いて、若しくは、職場における上司・部下、教職員・学生等の関係に基づく影響力を明示的に用いることにより、相手方の意に反し、性的関係を結び又はわいせつな行為をした職員 | ● | ● | ||||
イ | 相手の意に反することを認識しながら、又は、上司・部下、教職員・学生等の関係に基づく影響力によって相手方がその意に反することを表明できない状況下において、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した職員 | ● | ● | ● | |||
ウ | イにおいて、わいせつな言辞等を執拗に繰り返したことにより相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患した場合 | ● | ● | ● | |||
エ | 相手の意に反することを認識、又は、上司・部下、教職員・学生等の関係に基づく影響力によって相手方がその意に反することを表明できない状況下において、わいせつな言辞等の性的な言動等を行った職員 | ● | ● | ||||
(14) セクシュアル・ハラスメント以外のハラスメント | |||||||
ア | 就学、就労、教育及び研究(以下「就学・就労」という。)上の関係に基づく影響力を持って相手の意に反する不適当な言動(或いは意図的な無視)又は不当な拘束等を繰り返し行い、学業や職務遂行に関連して一定の不利益・損害を与えた職員 | ● | ● | ● | |||
イ | アにおいて、その行為により相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患した場合 | ● | ● | ● | ● | ||
ウ | 相手の意に反する不適当な言動(或いは意図的な無視)等により、精神的な面を含めて、就学・就労上に一定の支障を生じさせ、又はそのようなおそれがあると認められる行為を繰り返し行った職員 | ● | ● | ||||
エ | ウにおいて、その行為により相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患した場合 | ● | ● | ● | ● | ||
※(13)及び(14)の処分量刑の決定にあたっては、具体的な行為の態様、悪質性等を考慮の上判断するものとする。 | |||||||
2 | 業務上の取扱い関係 | ||||||
(1) 横領 | |||||||
法人の管理する金品を横領した職員 | ● | ||||||
(2) 窃盗 | |||||||
法人の管理する金品を窃取した職員 | ● | ||||||
(3) 詐取 | |||||||
人を欺いて法人の管理する金品を交付させた職員 | ● | ||||||
(4) 紛失 | |||||||
法人の管理する金品を紛失した職員 | ● | ● | ● | ||||
(5) 盗難 | |||||||
過失により法人の管理する金品の盗難に遭った職員 | ● | ● | ● | ||||
(6) 器物損壊 | |||||||
故意に職場において法人の設備、器物を損壊した職員 | ● | ● | ● | ● | ● | ||
(7) 出火・爆発 | |||||||
過失により職場において物品の出火、爆発を引き起こした職員 | ● | ||||||
(8) 給与等の違法支払・不適正受給 | |||||||
故意に法人の規則等に違反して給与等を不正に支給した職員及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして給与等を不正に受給した職員 | ● | ● | |||||
(9) 本法人の金品等の処理不適正 | |||||||
自己保管中の法人の金品の流用等金品の不適正な処理をした職員 | ● | ● | |||||
(10) コンピュータの不適正利用 | |||||||
ア | 職場のコンピュータをその職務に関連しない不適正な目的で使用した職員 | ● | ● | ||||
イ | 故意にコンピュータシステム又は情報資産等を破壊し、若しくは改ざんした職員 | ● | ● | ● | ● | ||
(11) 公的研究費の不正使用 | |||||||
法人から交付される研究費のほか、国等から交付される科学研究費等、公的研究費を不正に使用した職員 | ● | ● | ● | ● | ● | ||
(12) 研究論文の不正 | |||||||
ねつ造や改ざんのほか、信頼性が疑われる内容の研究論文を発表した職員 | ● | ● | ● | ● | ● | ||
(13) 公文書の不適正な取扱い | |||||||
ア | 公文書を偽造し、若しくは変造し、若しくは虚偽の公文書を作成し、又は公文書を毀棄した職員 | ● | ● | ● | |||
イ | 決裁文書を改ざんした職員 | ● | ● | ● | |||
ウ | 公文書を改ざんし、紛失し、又は誤って廃棄し、その他不適正に取り扱ったことにより、業務の運営に重大な支障を生じさせた職員 | ● | ● | ● | ● | ● | |
3 業務外非行関係 | |||||||
(1) 放火 | |||||||
放火をした職員 | ● | ||||||
(2) 殺人 | |||||||
人を殺した職員 | ● | ||||||
(3) 傷害 | |||||||
人の身体を傷害した職員 | ● | ● | ● | ||||
(4) 暴行・けんか | |||||||
暴行を加え、又はけんかをした職員が人を傷害するに至らなかったとき | ● | ● | |||||
(5) 器物損壊 | |||||||
故意に他人の物を損壊した職員 | ● | ● | |||||
(6) 横領 | |||||||
ア | 自己の占有する他人の物(法人の金品を除く。)を横領した職員 | ● | ● | ● | ● | ● | |
イ | 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した職員 | ● | ● | ||||
(7) 窃盗・強盗 | |||||||
ア | 他人の財物を窃取した職員 | ● | ● | ● | |||
イ | 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した職員 | ● | ● | ||||
(8) 詐欺・恐喝 | |||||||
人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた職員 | ● | ● | ● | ||||
(9) 賭博 | |||||||
ア | 賭博をした職員 | ● | ● | ||||
イ | 常習として賭博をした職員 | ● | ● | ||||
(10) 麻薬等の所持又は使用 | |||||||
麻薬、大麻、あへん、覚醒剤、危険ドラッグ等の所持、使用又は譲渡等をした職員 | ● | ||||||
(11) 酩酊による粗野な言動等 | |||||||
酩酊して、公共の場所や乗物等において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をした職員 | ● | ● | |||||
(12) 淫行 | |||||||
18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした職員 | ● | ● | ● | ||||
(13) 痴漢行為 | |||||||
公共の場等において痴漢行為をした職員 | ● | ● | ● | ||||
(14) 盗撮行為 | |||||||
公共の場所若しくは乗物において他人の通常衣服で隠されている下着若しくは身体の盗撮行為をし、又は通常衣服の全部若しくは一部を着けていない状態となる場所における他人の姿態の盗撮行為をした職員 | ● | ● | ● | ||||
4 交通事故・交通法規違反関係(※処分を行うに際しては、過失の程度や事故後の対応等も考慮) | |||||||
(1) 飲酒運転関連 | |||||||
ア | 酒酔い運転をした職員 | ● | ● | ● | |||
イ | アにおいて、人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた職員 | ● | |||||
ウ | 酒気帯び運転をした職員 | ● | ● | ● | ● | ||
エ | ウにおいて、人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた職員 | ● | ● | ● | |||
オ | エにおいて、事故後の救護を怠る等の措置義務違反をした職員 | ● | |||||
カ | 飲酒運転をした職員に対し、車両若しくは酒類を提供し、若しくは飲酒を勧めた職員又は職員の飲酒を知りながら当該職員が運転する車両に同乗した職員(飲酒運転をした職員に対する処分量定、当該飲酒運転への関与の程度等を考慮) | ● | ● | ● | ● | ● | |
キ | 過去に飲酒運転で懲戒処分を受け、再び飲酒運転をした職員 | ● | |||||
(2) 飲酒運転以外での交通事故・交通法規違反 | |||||||
ア | 人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた職員 | ● | ● | ● | ● | ||
イ | アにおいて、措置義務違反をした職員 | ● | ● | ● | |||
ウ | 人に傷害を負わせた職員 | ● | ● | ||||
エ | ウにおいて、措置義務違反をした職員 | ● | ● | ||||
オ | 著しい速度超過等の悪質な交通違反をした職員 | ● | ● | ● | |||
カ | オにおいて、物の損壊に係る交通事故を起こして措置義務違反をした職員 | ● | ● | ||||
5 監督責任関係 | |||||||
(1) 指導監督不適正 | |||||||
部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者としての指導監督に適正を欠いていた職員 | ● | ● | |||||
(2) 非行の隠ぺい、黙認 | |||||||
部下職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認した職員 | ● | ● |
3 注釈
(1) 減給1回の額は、労基法第12条に定める平均賃金の1日分の2分の1を超えず、その総額が一給与支給期における給与の総額の10分の1を超えない額とし、給与から減じ、その非違行為の軽重によりその期間を1か月から3か月以内とする。
(2) 出勤停止(停職)は、その非違行為の軽重により、出勤を1か月から6 か月停止するものである。その間の給与は停止する。
(3) 諭旨退職は、法人が職員に懲戒処分に当たる事由を諭し、職員が自らの過ちを認め納得した上で退職届を提出するよう勧告するものであり、退職金の全額又は一部を支払うものとする。ただし、1か月以内に退職届が提出されない場合は「解雇」通告をおこなう。
(4) 懲戒解雇は、「懲戒事由に合理性の有無」、「社会通念上の相当性があること」を条件に、即日処分をおこなう。ただし、退職金は支払われない。
附 則
この標準例は、令和7年6月12日から施行する。