○国立大学法人上越教育大学研究倫理規程
(平成19年1月10日規程第1号)
改正
平成19年規程第8号(平成19年3月1日)
平成22年規程第6号(平成22年1月13日)
平成24年規程第19号(平成24年6月7日)
平成25年規程第7号(平成25年3月22日)
平成27年規程第27号(平成27年3月24日)
平成27年規程第44号(平成27年12月17日)
令和3年規程第7号(令和3年2月3日)
令和5年規程第15号(令和5年3月23日)
令和5年規程第29号(令和5年4月25日)
(目的)
第1条 この規程は、国立大学法人上越教育大学(以下「本法人」という。)において行われる人を対象とする生命科学・医学系研究(心理学、社会学、教育学等の人文・社会科学分野を含む。)について、倫理上の問題が生じるおそれのある研究を行う場合の責務及び手続き等を定め、もって研究対象者及びその関係者の尊厳及び人権を尊重するとともに、本学における研究の適正かつ円滑な推進に資することを目的とする。
2 研究の計画及び実施については、法令、指針及びその他別段の定めのあるもののほか、この規程の定めるところによる。
(定義)
第2条 この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 研究対象者 次に掲げるいずれかに該当する者(死者を含む。)をいう。
ア 研究を実施される者(研究を実施されることを求められた者を含む。)
イ 研究に用いられることとなる既存試料・情報を取得された者
(2) 研究対象者等 研究対象者及び代諾者等をいう。
(3) 研究者等 研究責任者その他の研究の実施に携わる者をいう。
(4) 研究責任者 研究の実施に携わるとともに、本法人において当該研究に係る業務を統括する者をいう。ただし、学生又は本法人が受け入れた研究員が研究を行う場合には、専門セミナー担当教員、アドバイザー、主指導教員又は受入教員をいう。
(5) 侵襲 研究目的で行われる、穿刺、切開、薬物投与、放射線照射、心的外傷に触れる質問等によって、研究対象者の身体又は精神に傷害又は負担が生じることをいう。
(6) 介入 研究目的で、人の健康に関する様々な事象に影響を与える要因の有無又は程度を制御する行為をいう。
(7) インフォームド・コンセント 研究対象者等が、実施又は継続されようとする研究に関して、当該研究の目的及び意義並びに方法、研究対象者に生じる負担、予測される結果(リスク及び利益を含む。)等について十分な説明を受け、それらを理解した上で自由意思に基づいて研究者等又は既存試料・情報の提供のみを行う者に対し与える、当該研究(試料・情報の取扱いを含む。)を実施又は継続されることに関する同意をいう。
(8) 代諾者等 生存する研究対象者の意思及び利益を代弁できると考えられる者であって、当該研究対象者がインフォームド・コンセントを与える能力を欠くと客観的に判断される場合に、当該研究対象者の代わりに、研究者等に対してインフォームド・コンセントを与えることができる者及び研究対象者が死者である場合にインフォームド・コンセントを与えることができる者をいう。
(9) 試料・情報 人体から取得された試料及び研究に用いられる情報をいう。
(10) 既存試料・情報 試料・情報のうち、次に掲げるいずれかに該当するものをいう。
ア 研究実施計画書が作成されるまでに既に存在する試料・情報
イ 研究実施計画書の作成以降に取得された試料・情報であって、取得の時点においては当該研究計画の研究に用いられることを目的としていなかったもの
(11) 有害事象 実施された研究との因果関係の有無を問わず、研究対象者に生じた全ての好ましくない又は意図しない傷病若しくはその徴候(臨床検査値の異常を含む。)をいう。
(適用範囲等)
第3条 この規程は、次の各号に掲げる者(以下「研究者等」という。)に適用する。
(1) 大学教員 教授、准教授、講師、助教、助手その他本法人が定める者
(2) 附属学校教員 附属幼稚園、附属小学校及び附属中学校の校長、教頭、主幹教諭、指導教諭、教諭、養護教諭及び栄養教諭
(3) 学生 上越教育大学に所属する全学生(研究生を含む。以下同じ。)及び上越教育大学に配属された兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科の学生
(基本方針)
第4条 研究者等は、次の各号に掲げる事項を基本指針として人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(令和3年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号。以下「指針」という。)を遵守し、研究を進めなければならない。
(1) 社会的及び学術的な意義を有する研究の実施に関すること。
(2) 研究分野の特性に応じた科学的合理性の確保に関すること。
(3) 研究により得られる利益及び研究対象者への負担その他の不利益の比較考量に関すること。
(4) 独立した公正な立場にある倫理審査委員会の審査に関すること。
(5) 研究対象者への事前の十分な説明を行うとともに、自由な意思に基づく同意に関すること。
(6) 社会的に弱い立場にある者への特別な配慮に関すること。
(7) 研究に利用する個人情報等の適切な管理に関すること。
(8) 研究の質及び透明性の確保に関すること。
(研究者等の責務)
第5条 第1条の研究を行おうとする研究者等は、研究を実施するに当たって次の各号に掲げる事項について遵守しなければならない。
(1) 研究対象者の生命、健康及び人権を尊重すること。
(2) 法令、指針等を遵守し、当該研究の実施について第8条に規定する委員会の審査及び学長の許可を受けた研究実施計画に従って、適正に研究を実施すること。
(3) 事前に、研究対象者等からインフォームド・コンセントを受けること。
(4) 研究対象者等及びその関係者からの相談、問合せ、苦情等に適切かつ迅速に対応すること。
(5) 研究の過程で収集した個人情報を適切に取り扱い、その個人情報を法令、学内規則等に基づき保護すること。
(6) 倫理的妥当性及び科学的合理性が認められない研究を実施しないこと。
(7) 個人の人権の保障を科学的又は社会的利益よりも優先すること。
(8) 職務上知り得た個人情報を正当な理由なく漏らさないこと及びその職を辞した後も同様とすること。
(9) 研究対象者等を不合理又は不当な方法で選ばないこと。
(10) 研究により期待される利益よりも起こり得る危険が高いと判断される場合は研究を中止し、又は終了すること。
(11) 地域住民等一定の特徴を有する集団を対象に、当該地域住民等の固有の特質を明らかにする可能性がある研究を実施する場合には、研究対象者等及び当該地域住民等を対象に、研究の内容及び意義について説明し、研究に対する理解を得るよう努めること。
(12) この規程のほか、法令及び本法人の諸規程等を遵守すること。
2 研究者等は、研究を実施しようとするときは、研究実施計画(研究実施計画の変更を含む。以下同じ。)について学長の承認を受けなければならない。
3 研究者等は、研究成果を公表しようとするときは、研究対象者等の個人情報の保護のために必要な措置を講じた上で公表しなければならない。
4 研究者等は、個人情報の予期せぬ漏えい等、研究対象者等の人権保障の観点から重大な懸念が生じた場合、事故、倫理的、科学的及び社会的問題等が発生した場合には、速やかに学長及び研究責任者に報告しなければならない。
(研究責任者の責務)
第6条 研究責任者は、研究の実施(研究実施計画の内容と異なる研究を含む。)に携わるときは、当該研究に係る業務を統括するとともに、次の各号に掲げる事項を行わなければならない。
(1) 研究実施計画書を作成又は変更すること。
(2) 研究者等に対する前条に規定する事項の遵守徹底すること。
(3) 研究の進捗状況の管理・監督に努めること。
(4) 有害事象等を把握・報告すること。
(5) 研究実施後の研究対象者等への対応に努めること。
(学長の責務)
第7条 学長は、研究者等及び研究責任者に前2条に規定する責務があることを周知徹底しなければならない。
2 学長は、研究責任者から研究の実施の許可を求められたときは、次条に規定する委員会の意見を尊重し、当該研究実施計画の承認の可否その他研究に関し必要な事項を決定しなければならない。
3 学長は、当該研究が適正に実施されていることを必要に応じて確認するとともに、研究の適正な実施を確保するための措置や体制の整備等をしなければならない。
4 学長は、研究責任者の責務又は研究者等の責務において報告を受けた場合には、必要に応じて、次条に規定する委員会の意見を聴き、速やかに研究の中止や原因究明等の適切な対応をとらなければならない。
(審査委員会)
第8条 第1条の目的を達成するため、本法人に、国立大学法人上越教育大学研究倫理審査委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会の組織及び運営に関する規程並びに委員会委員名簿は、厚生労働省が設置する「倫理審査委員会報告システム」において公表する。
3 委員会の組織及び運営等に関し必要な事項は、別に定める。
(相談窓口の設置)
第9条 学長は、研究倫理審査に関する相談及び情報提供に対応するため、研究連携課に受付窓口を置く。
2 相談窓口の責任者は、委員会委員長とし、担当者は研究連携課長とする。
3 委員会は、別に定める相談窓口の名称、場所、連絡先、通報の方法その他必要な事項を本学内外に周知する。
(委員会への附議)
第10条 学長は、研究責任者から、当該研究の実施の許可を求められたときは、当該研究の実施の適否について、倫理審査委員会の意見を聴かなければならない。
(審査手続及び結果の通知)
第11条 研究責任者は、研究を実施しようとするときは、第5条第1項各号に掲げる内容を踏まえた別記第1号様式の研究倫理審査申請書(以下「申請書」という。)に必要事項を記入し、学長に提出するものとする。
2 学長は、前項の申請書の提出があったときは委員会に審査を諮問するものとする。
3 委員会は、第5条第1項各号に掲げる事項に留意して審査し、判定を行うものとする。
4 審査の判定区分は、次に定めるとおりとする。
(1) 承認
(2) 条件付承認
(3) 変更の勧告
(4) 不承認
(5) 非該当
5 委員長は、審査の結果について、別記第2号様式の審査結果答申書により、速やかに学長に答申するものとする。
6 学長は、前項の答申に基づき、別記第3号様式の審査結果通知書により、研究実施の許可又は不許可その他研究について必要な措置を研究責任者に通知するものとする。
(迅速審査)
第12条 委員長は、研究実施計画が次の各号に掲げる事項のいずれかに該当すると判断されるときは、前条第3項の規定にかかわらず、3人以上の委員会委員(以下「委員」という。)との協議(以下「迅速審査」という。)により審査することができるものとする。
(1) 研究者の変更、研究期間の変更等、研究実施計画の変更が軽微なもの
(2) 共同研究であって、既に主たる研究機関において研究倫理審査機関の承認を受けたもの
(3) 研究対象者等に対して最小限の危険(日常生活や日常的な医学的検査で被る身体的、心理的、社会的危害の可能性の限度を超えない危険であって、社会的に許容される種類のものをいう。)を超える危険を含まないもの
2 委員長は、迅速審査の結果をその審査を行った委員以外のすべての委員に速やかに報告しなければならない。
3 前項の規定により迅速審査の結果の報告を受けた委員は、速やかに委員長に対し、理由を付した上で、改めて委員会における審査を求めることができる。この場合において、委員長は、相当の理由があると認めるときは、委員会を速やかに開催し、当該事項について審査を行わなければならない。
4 迅速審査の手続きに関し必要な事項は、委員会が別に定める。
(再審査)
第13条 研究責任者は、審査の結果に異議があるときは、学長に再審査を求めることができる。
2 学長は前項の請求を委員長と協議の上、必要があると認めるときは、委員会に再審査を諮問するものとする。
3 委員会は、前項により学長から諮問された場合には、第11条に規定する審査手続等に準じ、処理するものとする。
(研究実施計画の変更)
第14条 研究責任者は、許可された研究実施計画を変更しようとするときは、速やかに別記第4号様式の研究計画変更申請書を学長に提出するものとする。
2 学長は、前項の変更について必要と認めるときは委員会に審査を諮問するものとする。
3 委員会は、前項により学長から諮問された場合には、第11条に規定する審査手続等に準じ、処理するものとする。この場合において、研究実施計画の変更が軽微であり、その変更内容が明らかに審査の対象にならないと委員会が定めるものに該当する場合は、第11条第3項の規定にかかわらず、報告事項として取り扱うことができる。
(他機関への一括審査)
第15条 研究責任者は、他の研究機関と共同して実施する研究について、本法人以外に設置された一つの倫理審査委員会による一括した審査を希望する場合は、関係する研究機関と事前に調整を行った上で、審査を依頼することができる。
2 研究責任者は、前項に規定する倫理審査委員会による審査終了後、その結果及び審査過程の分かる記録等を学長に提出し、当該研究の実施について許可を得なければならない。
(事故発生時の対処)
第16条 学長は、研究者等から第5条第4項に規定する報告があった場合及び研究者等以外の者から同様の報告があった場合には、その対処方法を委員会に諮問するものとする。
2 委員会は、前項の規定により学長から諮問された場合はその対処方法を審議し、学長に報告するものとする。
3 学長は、前項に規定する報告に基づき必要な措置を講じなければならない。
(研究計画の停止又は中止)
第17条 研究責任者は、研究計画を停止又は中止しようとするときは、速やかに別記第5号様式の研究計画停止・中止報告書を学長に提出するものとする。
2 学長は、前項の停止又は中止について委員会に報告するものとする。
(研究の終了)
第18条 研究責任者は、研究を終了したときは、終了後の3か月以内に別記第6号様式の研究計画終了報告書を学長に提出するものとする。
2 学長は、前項の終了について委員会に報告するものとする。
(教育・研修)
第19条 研究者等は、研究の実施(研究期間中も含む。)に先立ち、研究に関する倫理並びに当該研究の実施に必要な知識及び技術に関する教育・研修を受けなければならない。
(研究の検証)
第20条 委員会は、研究責任者から当該研究について報告を求め、調査することができる。この場合において、当該研究に改善すべき事項があるときは、必要な指導・勧告を行わなければならない。
(モニタリング及び監査)
第21条 研究責任者は、研究の信頼性の確保に努めなければならず、侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものを実施する場合には、学長の許可を受けた研究実施計画書に定めるところにより、モニタリング及び必要に応じて監査を実施しなければならない。
2 研究責任者は、学長の許可を受けた研究実施計画書に定めるところにより適切にモニタリング及び監査が行われるよう、モニタリングに従事する者及び監査に従事する者に対して必要な指導・管理を行わなければならない。
3 研究責任者は、監査の対象となる研究の実施に携わる者及びそのモニタリングに従事する者に、監査を行わせてはならない。
4 モニタリングに従事する者は、当該モニタリングの結果を研究責任者に報告しなければならない。
5 監査に従事する者は、当該監査の結果を研究責任者及び学長に報告しなければならない。
6 モニタリングに従事する者及び監査に従事する者は、その業務上知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない。その業務に従事しなくなった後も同様とする。
7 学長は、研究の信頼性を確保するためにモニタリング及び監査の実施に協力するとともに、当該実施に必要な措置を講じなければならない。
(関係機関への報告等)
第22条 学長は、実施している又は過去に実施した研究について、この指針に適合していないことを知った場合には、速やかに委員会の意見を聴き、必要な対応を行うとともに、不適合の程度が重大であるときは、その対応の状況・結果を厚生労働大臣及び文部科学大臣に報告し、公表しなければならない。
(その他)
第23条 この規程に定めるもののほか、研究上の倫理に関して必要な事項は、指針に基づき、学長が別に定める。
附 則
1 この規程は、平成19年1月10日から施行する。
2 この規程の施行後最初に委嘱する第5条第2号から第5号に規定する委員の任期は、第6条第2項本文の規定にかかわらず、平成20年3月31日までとし、再任を妨げない。
附 則(平成19年規程第8号(平成19年3月1日))
この規程は、平成19年4月1日から施行する。
附 則(平成22年規程第6号(平成22年1月13日))
この規程は、平成22年4月1日から施行する。
附 則(平成24年規程第19号(平成24年6月7日))
この規程は、平成24年6月7日から施行する。
附 則(平成25年規程第7号(平成25年3月22日))
この規程は、平成25年4月1日から施行する。
附 則(平成27年規程第27号(平成27年3月24日))
この規程は、平成27年4月1日から施行する。ただし、この規程による改正後の国立大学法人上越教育大学研究倫理規程第19条の規定は、平成27年10月1日から施行する。
附 則(平成27年規程第44号(平成27年12月17日))
この規程は、平成28年4月1日から施行する。ただし、改正後の国立大学法人上越教育大学研究倫理規程第19条の規定は、平成27年10月1日から適用する。
附 則(令和3年規程第7号(令和3年2月3日))
この規程は、令和3年4月1日から施行する。
附 則(令和5年規程第15号(令和5年3月23日))
この規程は、令和5年4月1日から施行する。
附 則(令和5年規程第29号(令和5年4月25日))
1 この規程は、令和5年4月25日から施行する。
2 この施行の施行日の前日までに申請書を受理した研究については、なお従前の例による。
別記第1号様式(第11条関係)
研究倫理審査申請書

別記第2号様式(第11条関係)
審査結果答申書

別記第3号様式(第11条関係)
審査結果通知書

別記第4号様式(第14条関係)
研究計画変更申請書

別記第5号様式(第17条関係)
研究計画停止・中止報告書

別記第6号様式(第18条関係)
研究計画終了報告書