○上越教育大学動物実験等実施規程
(平成23年10月12日規程第22号)
改正
平成25年規程第7号(平成25年3月22日)
平成27年規程第14号(平成27年3月24日)
令和3年規程第7号(令和3年2月3日)
(趣旨)
第1条 この規程は、研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針(平成18年文部科学省告示第71号。以下「基本指針」という。)に基づき、科学的観点、動物愛護の観点、環境保全の観点及び動物実験等に携わる職員、学生等の安全確保の観点から上越教育大学(以下「本学」という。)における動物実験等を適正に行うために必要な事項を定める。
2 動物実験等の計画及び実施については、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号。以下「法」という。)、実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準(平成18年環境省告示第88号。以下「飼養保管基準」という。)、動物の殺処分方法に関する指針(平成7年総理府告示第40号。以下「殺処分方法指針」という。)及びその他関係法令の規定を踏まえ、日本学術会議が策定した動物実験の適正な実施に向けたガイドライン(平成18年6月。以下「ガイドライン」という。)を参考に、3R(Reduction:使用数の削減(科学上の利用の目的を達成することができる範囲において、できる限りその利用に供される動物の数を少なくすること等により実験動物を適切に利用することに配慮することをいう。)、Refinement:苦痛の軽減(科学上の利用に必要な限度において、できる限り動物に苦痛を与えない方法によってしなければならないことをいう。)、Replacement:代替法の利用(科学上の利用の目的を達成することができる範囲において、できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用するをいう。))の理念に基づき、この規程の定めるところによる。
(定義)
第2条 この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号の定めるところによる。
(1) 動物実験等 実験動物を教育、試験研究又は生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供することをいう。
(2) 実験動物 動物実験等の利用に供するため、本学の施設等で飼養し、又は保管している哺乳類、鳥類及び爬虫類に属する動物をいう。
(3) 飼養保管施設 実験動物を恒常的に飼養若しくは保管又は動物実験等を行う施設・設備をいう。
(4) 実験室 実験動物に実験操作(48時間以内の一時的保管を含む。)を行う施設・設備をいう。
(5) 施設等 飼養保管施設及び実験室をいう。
(6) 管理者 実験動物及び施設等の管理を総括する者で、学長をもって充てる。
(7) 動物実験計画 動物実験等の実施に関する計画をいう。
(8) 動物実験実施者 動物実験等を行う者をいう。
(9) 動物実験責任者 当該動物実験計画の遂行について責任を負う動物実験実施者をいう。
(10) 実験動物管理者 管理者を補佐し、実験動物に関する知識及び経験を有する実験動物の管理を行う者で、第5条に規定する委員会の委員長をもって充てる。
(11) 飼養者 動物実験責任者又は動物実験実施者の下で実験動物の飼養又は保管に従事する者をいう。
(12) 基本指針等 基本指針、法、飼養保管基準、殺処分方法指針、ガイドライン及びその他動物実験等に関する法令等をいう。
(適用範囲)
第3条 この規程は、本学において行われる動物実験等に適用する。
2 動物実験責任者は、動物実験等の実施を本学以外の機関に委託等する場合は、委託先においても法律等又は他省庁の定める動物実験等に関する基本指針に基づき、動物実験等が実施されることを確認するものとする。
(学長の責務)
第4条 学長は、本学において行われる動物実験等の実施に関し総括する。
2 学長は、動物実験等の適正な実施のために必要な措置を講じなければならない。
(動物実験委員会)
第5条 本学に、動物実験等の適正な実施等について審議し、管理者に報告又は助言を行うため、上越教育大学動物実験委員会(以下「委員会」という。)を置く。
(審議事項)
第6条 委員会は、次の各号に掲げる事項について、審議又は調査し、管理者に報告又は助言する。
(1) 動物実験計画が基本指針等及び学内規則等に適合していることの審査
(2) 動物実験計画の実施状況及び結果に関すること。
(3) 施設等及び実験動物の飼養保管状況に関すること。
(4) 動物実験等及び実験動物の適正な取扱い並びに基本指針等に関する教育訓練の内容又は体制に関すること。
(5) 動物実験等の自己点検及び評価に関すること。
(6) その他動物実験等の適正な実施のために必要な事項
(組織)
第7条 委員会は、次の各号に掲げる者(以下「委員」という。)をもって組織する。
(1) 動物実験等に関して優れた識見を有する者若干人
(2) 実験動物に関して優れた識見を有する者若干人
(3) 保健管理センターの教授又准教授1人
(4) その他学識経験を有する者若干人
(委員の委嘱及び任期)
第8条 前条各号に掲げる委員は、学長が委嘱する。
2 前項の委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、欠員となったときの後任の者の任期は、前任者の残任期間とする。
3 前項の規定にかかわらず、前条各号に掲げる委員の任期の終期は、委員として委嘱された日の属する年度の翌年度の末日とする。
(委員長等)
第9条 委員会に委員長を置き、委員のうちから学長が指名する。
2 委員会に副委員長を置き、委員長が委員のうちから指名する。
(会議の招集及び議長)
第10条 委員長は、委員会を招集し、その議長となる。
2 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるときは、その職務を代行する。
(定足数及び議決数等)
第11条 委員会は、委員(出張を命ぜられた者を除く。)の3分の2以上の出席がなければ、議事を開くことができない。
2 議決を要する事項については、出席した委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
3 動物実験実施者が委員であるときは、その委員を当該動物実験計画の審査に加わえることができない。
(委員以外の者の出席)
第12条 委員長は、必要があると認めるときは、委員以外の者を委員会に出席させ、説明させ又は意見を述べさせることができる。
(守秘義務)
第13条 委員は、知り得た秘密を他に漏らしてはならない。
(動物実験計画の立案・変更、審査及び手続)
第14条 動物実験責任者は、動物実験等を実施又は変更しようとするときは、あらかじめ動物実験計画を立案し、所属する学系長を経て、別記第1号様式の動物実験(実施・変更)計画書を管理者に提出し、承認を得なければならない。
2 単年度を越える動物実験等については、年度ごとに提出するものとする。
3 動物実験責任者は、動物実験計画の立案に当たっては、次の各号に掲げる事項について考慮しなければならない。
(1) 動物実験等の目的、意義及び必要性
(2) 代替法の利用
(3) 実験動物の使用数の削減のため、動物実験等の目的に適した実験動物種の選定、動物実験成績の精度と再現性を左右する実験動物の数、遺伝学的及び微生物学的品質並びに飼養条件
(4) できる限り実験動物に苦痛の軽減となる実験方法の選択
(5) 苦痛度の高い動物実験等を行う場合における計画段階からの人道的エンドポイントの設定
4 管理者は、前3項の規定により動物実験計画書の提出があったときは、委員会に諮問し、その審査結果に基づき、動物実験計画の承認の可否を決定するものとする。
5 管理者は、動物実験計画の承認の可否を速やかに動物実験責任者の所属する学系長を経て、動物実験責任者に通知するものとする。
6 動物実験責任者は、動物実験計画について管理者の承認を得た後でなければ、動物実験等を行うことができない。
(実験操作)
第15条 動物実験実施者は、適切に維持管理された施設等において、動物実験等を行わなければならない。
2 動物実験実施者は、動物実験等の実施に当たって動物実験計画書に記載された事項及び基本指針等を参考に、次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 適切な麻酔薬、鎮痛薬等の利用
(2) 実験の終了の時期(人道的エンドポイントを含む。)の配慮
(3) 適切な術後管理
(4) 適切な安楽死の選択
3 動物実験実施者は、安全管理に注意を払うべき実験(物理的、化学的に危険な材料、病原体又は遺伝子組換え動物等を用いる動物実験等。以下同じ。)を行う場合は、基本指針等及び学内規則等に従わなければならない。
4 動物実験実施者は、安全管理に注意を払うべき実験について、安全のための適切な施設や設備を確保しなければならない。
5 動物実験実施者は、実験の実施に先立ち必要な実験手技等の習得に努めなければならない。
6 動物実験実施者は、侵襲性の高い大規模な存命手術に当たっては、経験等を有する者の指導下で行わなければならない。
(実験終了又は中止の報告)
第16条 動物実験責任者は、動物実験計画による動物実験等を終了又は中止したときは、速やかに別記第2号様式の動物実験(終了・中止)報告書を管理者に提出しなければならない。
2 単年度を越える動物実験等については、年度ごとに報告するものとする。
3 管理者は、前項の報告を受けたときは、必要に応じて適正な動物実験等の実施のための改善措置を講じなければならない。
(飼養保管施設)
第17条 飼養保管施設を設置又は変更しようとするときは、別記第3号様式の飼養保管施設(設置・変更)申請書を管理者に提出し、承認を得なければならない。
2 管理者は、申請された飼養保管施設を委員会に調査させ、その助言により、承認又は非承認を決定するものとする。
3 動物実験責任者は、飼養保管施設の設置について管理者の承認を得た後でなければ、実験動物の飼養及び保管を行うことができない。
4 飼養保管施設は、次の各号に掲げる要件を満たすものでなければならない。
(1) 適切な温度、湿度、換気、明るさを保つことができる構造であること。
(2) 動物種や飼養保管数に応じた飼養設備を有すること。
(3) 床や内壁等の清掃、消毒等が容易な構造で、器材の洗浄や消毒等を行う衛生設備を有すること。
(4) 実験動物が逸走しない構造及び強度を有すること。
(5) 臭気、騒音、廃棄物等による周辺環境への影響を防止する措置が講じられていること。
(実験室)
第18条 実験室を設置又は変更しようとするときは、別記第4号様式の動物実験室(設置・変更)申請書を管理者に提出し、承認を得なければならない。
2 管理者は、申請された実験室を委員会に調査させ、その助言により、承認又は非承認を決定するものとする。
3 動物実験責任者は、実験室の設置について管理者の承認を得た後でなければ、当該実験室において動物実験等を行うことができない。
4 実験室は、次の各号に掲げる要件を満たすものでなければならない。
(1) 実験動物が逸走しない構造及び強度を有するとともに、実験動物が室内で逸走しても捕獲しやすい環境が維持されていること。
(2) 排泄物や血液等による汚染に対して清掃、消毒が容易な構造であること。
(3) 常に清潔な状態に保ち、臭気、騒音、廃棄物等による周辺環境への影響を防止する措置が講じられていること。
(施設等の維持管理)
第19条 実験動物管理者は、飼養保管施設又は実験室の施設及び設備の適切な維持管理に努めるものとする。
(施設等の廃止)
第20条 実験動物管理者は、飼養保管施設又は実験室を廃止したときは、遅滞なく別記第5号様式の施設等廃止届を管理者に提出しなければならない。
2 実験動物管理者は、施設等を廃止するときは、必要に応じて、動物実験責任者と協力し、飼養保管中の実験動物を他の飼養保管施設に譲り渡すよう努めるものとする。
(実験動物の飼養及び保管)
第21条 実験動物管理者及び動物実験責任者は、実験動物の飼養保管の標準操作手順を定め、動物実験実施者及び飼養者に周知しなければならない。
(実験動物の健康及び安全の保持)
第22条 動物実験責任者、動物実験実施者及び飼養者は、実験動物の健康管理に当たっては、実験動物が動物実験等の目的と無関係に傷害を負い、又は疾病にかかることを予防するため必要な健康管理を行うものとする。
2 動物実験責任者、動物実験実施者及び飼養者は、実験動物が前項の傷害を負い、又は疾病にかかったときは、管理者及び実験動物管理者と協議の上、他の動物や人への感染等の防止、当該実験動物の苦痛の軽減等のために必要な措置を講じるものとする。
(実験動物の導入)
第23条 実験動物管理者及び動物実験責任者は、実験動物の導入に当たっては、基本指針等に基づき適正に管理されている機関より導入するものとする。
2 実験動物管理者及び動物実験責任者は、適切な検疫、隔離飼育を行うとともに、飼養環境への順化・順応を図るための措置を講じるものとする。
(給餌・給水)
第24条 動物実験実施者及び飼養者は、実験動物の生理、生態、習性等に応じて、適切に給餌・給水を行うものとする。
(異種又は複数動物の飼育)
第25条 動物実験実施者及び飼養者は、異種又は複数の実験動物を同一施設内で飼養保管する場合は、その組み合わせを考慮した収容を行うものとする。
(記録の保存及び報告)
第26条 動物実験責任者は、実験動物の入手先、飼育履歴、病歴等に関する記録を整備保存するものとする。
2 実験動物管理者は、年度ごとに管理下にある飼養保管施設で保管した実験動物の種類と数等について、管理者に報告しなければならない。
(譲渡等の際の情報提供)
第27条 実験動物管理者及び動物実験責任者は、実験動物を譲渡するときは、その特性、飼養保管の方法、感染性疾病等に関する情報を譲渡先に提供するものとする。
(輸送)
第28条 実験動物管理者及び動物実験責任者は、実験動物を輸送するときは、飼養保管基準を遵守し、実験動物の健康及び安全の確保、人への危害防止に努めるものとする。
(実験動物等の廃棄)
第29条 実験動物管理者及び動物実験責任者は、実験動物及び実験に使用した用具等を廃棄するときは、国立大学法人上越教育大学実験廃棄物等取扱規程(平成16年規程第68号)の定めるところによる。
(危害防止)
第30条 実験動物管理者は、実験動物が逸走した場合の捕獲方法等をあらかじめ定めるものとする。
2 管理者は、人に危害を加える等の恐れのある実験動物が施設等外に逸走したときは、速やかに関係機関へ連絡しなければならない。
3 実験動物管理者は、動物実験責任者、動物実験実施者及び飼養者に対して、実験動物由来の感染症への感染及び実験動物による咬傷等の予防及び発生時の必要な措置を講じなければならない。
4 管理者は、毒ヘビ等の有毒動物を飼養又は保管する場合は、人への危害防止のため、飼養保管基準に基づき必要な事項を別に定めるものとする。
5 管理者は、実験動物の飼養や動物実験等の実施に関係のない者が実験動物に接触しないよう、必要な措置を講ずるものとする。
(緊急時の対応)
第31条 実験動物管理者は、地震、火災等の緊急時に執るべき措置の計画をあらかじめ作成し、関係者に対して周知するものとする。
2 緊急事態の発生時には、実験動物の保護及び実験動物の逸走による危害防止に努めるものとする。
(教育訓練)
第32条 管理者は、委員会に実験動物管理者、動物実験責任者、動物実験実施者及び飼養者に対し、次に各号に掲げる事項について、教育訓練を行わせるものとする。
(1) 基本指針等及び学内規則等
(2) 動物実験等の方法に関する基本的事項
(3) 実験動物の飼養保管に関する基本的事項
(4) 安全確保及び安全管理に関する事項
(5) その他適切な動物実験等の実施に関する事項
2 委員会は、教育訓練の実施日、教育内容、講師及び受講者名の記録を保存するものとする。
(自己点検・評価及び検証)
第33条 管理者は、委員会に基本指針等との適合性に関し、自己点検・評価を行わせるものとする。
2 委員会は、本学で行われる動物実験等の実施状況等に関する自己点検・評価を行い、その結果を管理者に報告しなければならない。
3 委員会は、動物実験責任者、動物実験実施者及び飼養者に対し、自己点検・評価のための資料を提出させることができる。
4 管理者は、自己点検・評価の結果について、本学以外の者による検証を受けるよう努めるものとする。
5 自己点検・評価の実施方法等に関し必要な事項は、委員会が別に定める。
(情報公開)
第34条 管理者は、本学における動物実験等に関する情報(動物実験等に関する学内規則等、実験動物の飼養保管状況、自己点検・評価及び検証の結果等の公開方法等をいう。)を毎年1回程度、適切な方法により公表するものとする。
(準用)
第35条 本学において行われる哺乳類、鳥類及び爬虫類に属する動物以外の動物を使用した動物実験等については、この規程の趣旨に沿って行うよう努めるものとする。
(適用除外)
第36条 畜産に関する飼養管理の教育若しくは試験研究又は畜産に関する育種改良を目的とした実験動物(産業用家畜と見なされる動物種に限る。)及び生態の観察を行うことを目的とした実験動物の飼養又は保管については、この規程を適用しない。
(事務の処理)
第37条 動物実験等及び委員会に関する事務は、研究連携課において処理する。
(その他)
第38条 この規程に定めるもののほか、この規程の実施に関し必要な事項は、学長が別に定める。
附 則
この規程は、平成23年10月12日から施行する。
附 則(平成25年規程第7号(平成25年3月22日))
この規程は、平成25年4月1日から施行する。
附 則(平成27年規程第14号(平成27年3月24日))
この規程は、平成27年4月1日から施行する。
附 則(令和3年規程第7号(令和3年2月3日))
この規程は、令和3年4月1日から施行する。
別記第1号様式(第14条関係)
動物実験(実施・変更)計画書

別記第2号様式(第16条関係)
動物実験(終了・中止)報告書

別記第3号様式(第17条関係)
飼養保管施設(設置・変更)申請書

別記第4号様式(第18条関係)
動物実験室(設置・変更)申請書

別記第5号様式(第20条関係)
施設等廃止届