○奈良国立大学機構職務発明規程
(令和7年1月20日機構規程第48号) |
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目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 知的財産の帰属等(第3条-第20条)
第3章 報奨(第21条・第22条)
第4章 発明審査委員会(第23条-第26条)
第5章 雑則(第27条・第28条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この規程は、奈良国立大学機構(以下「機構」という。)の職員等が行った発明等の取扱いを定め、発明者等の権利を保障するとともに知的財産権の適正な管理を実現することにより、発明等の促進、研究意欲の向上及び成果の普及を図り、社会に貢献することを目的とする。
(用語の定義)
第2条 この規程における用語は、次の定義のとおりとする。
(1) 「発明等」とは、次に掲げるものをいう。
イ 特許権の対象となる発明
ロ 実用新案権の対象となる考案
ハ 意匠権の対象となる意匠の創作
ニ 回路配置利用権の対象となる回路配置の創作
ホ 育成者権の対象となる品種の育成
ヘ 著作物の対象となる創作
ト ノウハウの案出
チ データの収集又は生成
(2) 「職務発明等」とは、職員等が行った発明等(前号へ、ト及びチを除く。以下この号において同じ。)であって、その内容が機構の業務範囲に属するもののうち、当該発明等をするに至った行為が、職員等の現在又は過去の職務(公的研究資金又は機構が資金その他の支援をして行う研究、機構が管理する施設設備を利用して行った研究等(以下「機構における研究等」という。)を含む。)に属する発明等をいう。
(3) 「職務著作物」とは、機構の発意に基づいて職員等が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)であって、機構の著作の名義の下に公表するもの、又は機構の発意に基づいて職員等が職務上作成するプログラムの著作物をいう。
(4) 「職務関連著作物」とは、機構における研究等において、職員等が作成した著作物(学術論文、個人名義の出版物、講演及びそれらに付随する実験データの図表等の著作物は除く。)をいう。
(5) 「職務関連ノウハウ」とは、ノウハウのうち次に掲げるものをいう。
イ 共同研究契約又はその他の契約により機構が承継すべきもの
ロ 機構における研究等において職員等が案出した、機構が承継又は譲渡を受けた特許権等又は著作権を活用する上で必要なもの
ハ 機構における研究等において職員等が案出した、第三者に譲渡又は使用許諾を要するためもの
(6) 「職務関連データ」とは、データのうち次に掲げるものをいう。
イ 共同研究契約又はその他の契約により機構が承継すべきもの
ロ 機構における研究等において職員等が作成し、機構が承継又は譲渡を受けた特許権等又は著作権を活用する上で必要なもの
ハ 機構における研究等において職員等が作成し、第三者に譲渡又は利用許諾するもの
(7) 「特許権等」とは、次に掲げるものをいう。
イ 特許法(昭和34年法律第121号)に規定する特許権、実用新案法(昭和34年法律第123号)に規定する実用新案権、意匠法(昭和34年法律第125号)に規定する意匠権、半導体集積回路の回路配置に関する法律(昭和60年法律第43号)に規定する回路配置利用権及び種苗法(平成10年法律第83号)に規定する育成者権並びに外国におけるこれらに相当する権利
ロ 特許法に規定する特許を受ける権利、実用新案法に規定する実用新案登録を受ける権利、意匠法に規定する意匠登録を受ける権利、半導体集積回路の回路配置に関する法律第3条第1項に規定する回路配置利用権の設定の登録を受ける権利及び種苗法第3条第1項に規定する品種登録を受ける権利並びに外国におけるこれらに相当する権利
(8) 「著作権」とは、著作権法(昭和45年法律第48号)第21条から第28条までに規定する権利及び外国におけるこれらに相当する権利
(9) 「ノウハウ」とは、秘密性を有し、適当な形で特定・識別され、かつ一群の技術情報であって、特許権等及び著作権では包含されない財産的な価値を持つ権利
(10) 「データ」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他知覚によっては認識できない方式で作成される記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)により相当量が蓄積され、許可を得ていない職員等及び第三者が閲覧又は取得できないように管理されたものであって、特許権等及び著作権では包含されない財産的な価値を持つ権利
(11) 「知的財産権」とは、職務発明に係る特許権等、職務関連著作物に係る著作権、職務関連ノウハウ及び職務関連データをいう。
(12) 「出願等」とは、特許出願、実用新案登録出願、意匠登録出願、回路配置登録申請及び品種登録出願をいう。
(13) 「発明者」とは、職務発明等を行った職員等をいう。
(14) 「創作者」とは、職務著作物又は職務関連著作物を創作した職員等をいう。
(15) 「案出者」とは、職務関連ノウハウを案出した職員等をいう。
(16) 「作成者」とは、職務関連データを収集又は生成した職員等をいう。
(17) 「発明者等」とは、発明者、創作者、案出者及び作成者をいう。
(18) 「職員等」とは、次に掲げるものをいう。
イ 機構の役員、職員、非常勤職員(短時間勤務職員)及び非常勤職員(定時勤務職員)
ロ 学生、客員教員、協力研究員等であって、職務発明等につき、機構との間に契約を交わしている者
第2章 知的財産の帰属等
(職務発明等の帰属)
第3条 機構は、職員等の行った職務発明等に係る特許等を受ける権利(前条第7号ロをいう。以下同じ。)を承継することができる。
2 機構は、職務発明等について二以上の発明者等がいる場合は、職員等が有する職務発明等の特許等を受ける権利の持分を承継することができる。
(職務発明等の届出)
第4条 職員等は、発明等(第2条第1号へ、ト及びチを除く。)を行ったときは、別に定める様式による「特許等の届出書」及び「特許等の経過及び内容説明書」を速やかに理事長に届け出るものとする。
(職務著作物及び職務関連著作物の帰属)
第5条 職員等の作成した職務著作物の著作者は、機構とし、機構はその著作者人格権及び著作権を保有する。
2 職員等の作成した職務関連著作物の著作者は、当該職務関連著作物を創作した職員等とし、当該職員等はその著作者人格権及び著作権を保有する。
(職務関連著作物の届出)
第6条 職務関連著作物の著作権を、職員等以外の第三者(以下「学外者」という。)に使用許諾を行う必要が生じた場合、又は当該職務関連著作物の著作権の譲渡を行う必要が生じた場合、当該職務関連著作物を創作した職員等は別に定める様式による「著作物の届出書」及び「著作物の経過及び内容説明書」を理事長に届け出るものとする。
(ノウハウの帰属)
第7条 職員等の案出したノウハウは、原則として当該ノウハウを案出した職員等に帰属する。
(職務関連ノウハウの届出)
第8条 職務関連ノウハウを案出した職員等は、別に定める様式による「ノウハウの届出書」及び「ノウハウの経過及び内容説明書」を理事長に届け出るものとする。
(データの帰属)
第9条 職員等の収集又は生成したデータは、原則として当該データを収集又は生成した職員等に帰属する。
(職務関連データの届出)
第10条 職務関連データを作成した職員等は、別に定める様式による「データ利用の届出書」及び「データ利用の経過及び内容説明書」を理事長に届け出るものとする。
(発明審査委員会の審議)
第11条 理事長は、発明審査委員会の議を経て、知的財産権の承継又は不承継の決定を行うものとする。
2 理事長は、前項の規定により承継の決定をしたときは、別に定める様式による「発明等の決定通知書」により届出を行った職員等に通知するものとする。
(権利譲渡書の提出)
第12条 前条第2項の通知を受けた職員等は、別に定める様式による「権利譲渡書」を理事長に提出しなければならない。
(異議申立)
第13条 第11条第2項の通知を受けた職員等は、同条第1項による理事長の決定に異議があるときは、通知を受けたときから2週間以内に理事長に異議を申立てることができる。
[第11条第2項]
2 理事長は、前項の申立てがあったときには、発明審査委員会の議を経て、異議申立ての当否を決定するものとする。
3 理事長は、意義申立の当否の決定結果について、異議申立を行った職員等に通知するものとする。
(任意譲渡)
第14条 職員等以外の個人、法人又は国から、特許権等、著作権、ノウハウ又はデータを機構に譲渡等する申し出があったときは、理事長は、発明審査委員会の審議を経て、これらの権利の承継の可否を決定する。
2 前項の決定に伴う通知及び機構への権利譲渡等の手続きについては、第4条、第6条、第8条、第10条、第11条及び第12条を準用する。
(権利の帰属)
第15条 第11条第1項の規定により、機構が知的財産権を承継する旨決定した場合は、これらの権利は機構に帰属する。ただし、職務関連著作物の著作者は、当該職務関連著作物に係る著作権について、機構に対して著作者人格権を行使しないものとする。
[第11条第1項]
2 第11条第1項の規定により、機構が不承継と決定したものについては、知的財産権の発明者等である当該職員等に帰属する。
[第11条第1項]
(共同研究等)
第16条 共同研究、受託研究等による、知的財産権については、相手方との間で、当該研究の資金、施設、設備その他の資源の提供度合に応じてその成果の帰属とその持分を契約等により定めることができる。
(制限行為)
第17条 職員等は、発明等(第2条第1号へ、ト及びチを除く。以下この条で同じ。)について、理事長が職務発明等でないと決定し、又は職務発明等であるがその権利を機構が承継しないと決定した後でなければ出願等をし、又は発明等に係る特許権等を第三者に譲渡してはならない。
(特許権等の取得及び管理)
第18条 理事長は、第14条及び第15条の規定に基づき機構が承継すると決定した特許権等について、速やかに出願等の手続を行い適正に管理するものとする。
2 理事長は、発明者に対し、発明等に係る公表を一定期間行わないことを求めることができる。
3 理事長は、第1項の出願等の手続が完了したときは、その旨を速やかに発明者に通知するものとする。
4 職員等は、第4条の規定に基づき届出をした発明等について、機構が出願手続又は第三者からの特許異議申立て等に対する協力を依頼したときは、これに応じなければならない。
[第4条]
(権利の放棄)
第19条 理事長は、前条の規定にかかわらず、特許権等が次の各号のいずれかに該当するときは、発明審査委員会の議を経て、その権利化を断念することができる。
(1) 発明等の権利化の可能性又は重要性が著しく低下したとき
(2) 権利化後における技術移転が見込めないと判断されるとき
2 理事長は、前条の規定にかかわらず、特許等が次の各号のいずれかに該当するときは、発明審査委員会の議を経て、その権利を放棄することができる。
(1) 重要性が著しく低下したとき
(2) 権利化後5年を経過して技術移転先が無いとき
3 理事長は、第1項の規定により当該特許権等の権利化を断念又は前項の規定により当該特許権等を放棄するときは、当該発明者等に当該特許権等を譲渡することができる。ただし、当該譲渡に係る手続き費用等について、機構は負担しない。
(守秘義務)
第20条 発明者等及び発明等の内容を知りえた職員等は、当該発明等の内容及びこれに関係する事項が公知となるまでの期間中、秘密を守らなければならない。ただし、機構と発明者等が合意のうえ公表する場合及びこれらの者の責任によらずに公知となったときはこの限りでない。
2 前項の規定は、発明者等及び発明等の内容を知りえた職員等が機構を退職、卒業、修了又は退学した後も適用する。
第3章 報奨
(報奨の種類と給付対象者)
第21条 理事長は、機構が承継した知的財産権の職務発明等つき、第1国への出願(PCT国際出願を含む。)をしたとき、1件当たり6,000円の出願報奨金を発明者に支払う。ただし、当該第1国への出願から派生した出願(第2国における出願を含む)については、出願報奨金は支払わない。
2 理事長は、機構が承継した知的財産権について実施許諾、使用許諾又は譲渡等により第三者から収益を得たとき、機構は発明者等に別表の実績報奨金を支払う。
[別表]
3 第1項及び前項の規定は、発明者等が機構の職員等でなくなったとき(学生の場合は、卒業、修了又は退学をいう。)にも適用し、発明者等が死亡したときは、その相続人がこれを承継する。
4 報奨金を受ける権利を有する発明者等は、その居所等の連絡先を機構に届け出なければならない。ただし、連絡先の届け出がなく、機構から当該発明者等に対して一定期間連絡が取れなくなったときは、当該発明者等は実績報奨金を受ける権利を放棄したものとみなす。
(共同発明者に対する報奨)
第22条 前条の実績報奨金は、当該実績報奨金を受ける権利を有する発明者等が2人以上あるときは、第4条、第6条、第8条及び第10条に定める届出に記載されたそれぞれの持分に応じて支払うものとする。
第4章 発明審査委員会
(発明審査委員会の設置)
第23条 理事長は、機構における発明等に関する事項を審議するため、発明審査委員会を設置する。
2 発明審査委員会は、次に掲げる事項を審議する。
(1) 第4条、第6条、第8条及び第10条に基づく届出に関する知的財産権の承継の妥当性の審査(職務発明等の該当性の判断を含む。)
(2) 発明者等の確定に係る事項
(3) 職務発明等の技術的評価
(4) 機構帰属の特許権等について維持するか否かの審査
(5) 機構帰属の知的財産権についての紛争、訴訟等の対応に係る事項
(6) その他知的財産権の管理・運用に関すること
3 発明審査委員会は、特許権等の審議に際しては、当該発明等の権利化の可能性、権利化に要する費用、知的財産権の実施による収益及び維持管理に係る費用その他諸般の要素を総合的に考慮するものとする。この場合において、発明審査委員会は、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(平成20年6月11日法律第63号)第34条の4第2項等を踏まえ機構の研究開発の成果に係る成果活用事業者が円滑に新たな事業を創出し、又はその行う事業の成長発展を図ることができることに配慮するものとする。
4 発明審査委員会は、必要に応じ、当該発明者等からヒアリングを行うことができる。
(発明審査委員会の組織)
第24条 発明審査委員会は、次に掲げる者をもって組織する。
(1) 理事長が指名する理事
(2) 奈良教育大学及び奈良女子大学の研究担当副学長
(3) 事務局長
(4) その他理事長が必要と認める者
2 理事長は前項第四号の委員として、機構に所属しない知的財産権に関し専門的知識を有する者に委嘱することができる。
3 第1項第四号の委員の任期は2年とし、再任を妨げない。
4 発明審査委員会に委員長置き、第1項第一号に定める委員の中から理事長が指名する。
5 委員長は、発明審査委員会を招集しその議長となる。
6 発明審査委員会に副委員長を置き、委員長が指名した者をもって充てる。
7 委員長に事故あるときは、副委員長がその職務を代行する。
8 発明審査委員会は、委員の過半数の出席がなければ開くことができない。
9 議事は、出席委員の過半数をもって決し、可否同数のときは議長の決するところによる。
10 議事は、緊急やむを得ない場合には持ち回りにより決することができる。
11 職員等は、委員長の求めにより発明審査委員会に出席し、意見等を述べることができる。
(部会の設置)
第25条 発明審査委員会に奈良教育大学部会及び奈良女子大学部会を設けることができる。
2 発明審査委員会は前項に定める部会に第23条第2項に掲げる各号の事項の審議を委任することができる。
[第23条第2項]
3 部会に関する必要な事項は別に定める。
(事務)
第26条 発明審査委員会の事務は、奈良教育大学教育研究支援課及び奈良女子大学研究協力課において処理する。
第5章 雑則
(事務の委任)
第27条 理事長は、この規程に規定する事務の全部又は一部及びそれらに付随する業務を他の者に委任することができる。
(その他)
第28条 この規程に定めるもののほか必要な事項は、理事長が定める。
附 則
この規程は、令和7年4月1日から施行する。
別表(第21条第2項関係)
実績報奨金の配分率
区分 | 配分率 | |
奈良教育大学において実施した
研究に係る発明等 | 奈良女子大学において実施した
研究に係る発明等 |
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発明者 | 40% | |
部局・研究室 | ― | 30% |
大 学 | 50% | 20% |
機 構 | 10% |
注: 発明者等への配分率については、発明者等の寄与度が著しく高い場合や発明等の価値が著しく高い場合又は発明等の完成に至るまで著しく長い年月がかかった場合など、発明等に至った経緯、発明等の財産的価値を有するに至った経緯等の諸事情を考慮して、上記の配分率を20%から60%までの範囲で増減させることができるものとする。この場合において、部局・研究室、大学及び機構への配分は、発明者等への報奨を行った残額について、上記各比率で按分するものとする。