○奈良国立大学機構における大学発ベンチャー企業への支援に伴い取得する株式等の取扱に関する規程
(令和7年1月20日機構規程第52号)
(趣旨)
第1条
この規程は、奈良国立大学機構(以下「機構」という。)が、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(平成20年法律第63号)を踏まえ、機構が設置する大学の研究開発の成果の普及及び活用の促進を図るため、大学発ベンチャー企業の支援を行う場合において、支援の対価として株式等を取得する場合の取扱いに関し必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条
この規程において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるところによる。
(1)
「知的財産権」とは、奈良国立大学機構職務発明規程(令和6年機構規程第48号。以下「職務発明規程」という。)第2条第11号に規定する知的財産権をいう。
[
奈良国立大学機構職務発明規程(令和6年機構規程第48号。以下「職務発明規程」という。)第2条第11号
]
(2)
「ライセンス等」とは、知的財産権の譲渡及び提供、実施権の設定及び実施許諾並びに利用権の設定及び利用許諾をいう。
(3)
「株式等」とは、株式及び新株予約権(新株予約権付社債を含む。)をいう。
(4)
「大学発ベンチャー企業」とは、奈良国立大学機構における大学発ベンチャー認定等に関する規程(令和6年機構規程第53号)に基づき、機構が大学発ベンチャーの称号を授与し、その有効期間中である事業者をいう。
(5)
「インサイダー取引」とは、金融商品取引法(令和6年法律第52号。以下「金商法」という。)第166条に規定する有価証券の取引等をいう。
(6)
「収益を伴う事業」とは、国立大学法人法(平成15年法律第102号)第22条第1項各号に規定する業務の範囲のうち、収益を目的とした次に掲げる事業をいう。
ア
知的財産権の譲渡,実施許諾及び利用許諾
イ
学術指導の提供
ウ
研究成果有体物の提供
エ
機構又は大学が所有又は占有する施設,設備その他の資産の貸与
オ
その他理事長が特に必要と認めた事業
(株式等の受入の基準)
第3条
機構は、大学発ベンチャー企業が次の各号のすべてに該当する場合、当該大学発ベンチャー企業から収益を伴う事業による対価の全部又は一部を株式等により取得することができる。
(1)
大学発ベンチャー企業が希望するとき。
(2)
大学発ベンチャー企業の事業の有望性が高いと認められるとき。
(3)
現金による支払の免除又は軽減が当該大学発ベンチャー企業の成長に資すると認められるとき。
2
前項の規定に関わらず、次の各号のいずれかに該当する場合、株式等を取得してはならない。
(1)
大学発ベンチャー企業の事業内容が公序良俗に反すると認められるとき。
(2)
大学発ベンチャー企業と反社会勢力等との関係が認められるとき。
(3)
理事長が機構の経営に支障があると判断したとき。
(審査)
第4条
機構は、大学発ベンチャー企業から収益を伴う事業の対価として株式等による支払いの申し込みを受けた場合、理事長の下に案件毎に審査会を設置し、当該大学発ベンチャー企業の財務状況、事業計画、その他株式等の取得の妥当性を判断するために必要な情報を収集し、取得株式等の数等について当該大学発ベンチャー企業と交渉を行った上で、それらの事項に基づき、株式等の取得の可否、取得株式等の妥当な数等(以下「株式等の取得の可否等」という。)について審査を行う。
2
前項の審査会に株式等の価値を公正かつ客観的に評価するため、必要に応じて外部専門家を加えることができる。
(取得の決定)
第5条
理事長は、株式等の取得の可否等について、前条の審査結果に基づき、決定するものとする。
(契約及び取得)
第6条
前条により株式等の取得が決定した場合、機構は大学発ベンチャー企業と株式等の取得について規定した契約書を締結し、当該株式等を取得する。
(株式等の管理)
第7条
大学発ベンチャー企業から取得した株式等は、奈良国立大学機構会計規程(令和4年機構規程第70号)の定めるところにより機構事務部が管理する。
[
奈良国立大学機構会計規程(令和4年機構規程第70号)
]
2
機構事務部は株式等を適正に管理するために管理責任者を置き、理事(総務・財務担当)をもって充てる。
3
取得した株式等は、管理責任者の指示のもと管理するものとする。
(株式等保有の正当性確保)
第8条
管理責任者は、前条の規定に基づき株式等を保有している間、機構財務諸表の附属明細書において、保有株式等の名称及び保有理由を開示することにより、保有の正当性を担保しなければならない。
(新株予約権の行使)
第9条
管理責任者は、株式の上場等により新株予約権の行使が可能となった場合は、速やかに新株予約権を行使し、株式を取得するものとする。
ただし、行使価格が売却価格を上回ると見込まれるときは、行使しないものとする。
2
前項に定める場合のほか、管理責任者が必要と認めた場合には、適時に新株予約権を行使することができる。
3
管理責任者は、機構が管理する新株予約権の行使前に、新株予約権発行会社の吸収合併等により第三者から当該新株予約権の買取りの申出があったときは、当該新株予約権の売却を決定することができる。
4
管理責任者は、機構が管理する新株予約権について、行使期間満了までに株式公開等が見込めない場合は、新株予約権の売却等を行うものとする。
5
管理責任者は、新株予約権の行使又は売却等を行った場合は、速やかに理事長に報告する。
(株主としての権利行使)
第10条
理事長は、第4条及び第5条の規定により取得した株式等に基づく株主総会における剰余金の配当を受ける権利等、当該大学発ベンチャー企業から経済的利益を受けることを内容とする権利について、行使することができる。
[
第4条
] [
第5条
]
2
理事長は、第6条の規定により取得した株式等に基づく株主総会における議決権等、当該大学発ベンチャー企業の経営に参加し又は業務執行の監督・是正を行うことを内容とする権利について、原則として行使しない。
ただし、議決権を行使しないことが当該大学発ベンチャー企業の経営に著しい影響を与える可能性があると考えられる場合においては、この限りではない。
[
第6条
]
(株式の売却等)
第11条
株式の売却にあたっては、原則として、換金可能な状態になった時点で、金商法等の関連規程を遵守し、適切に売却するものとする。
2
前項の規定に関わらず、次の各号に該当する場合、理事長は、当該株式の保有を決定することができる。
(1)
換金可能な状態になった時点で、収益を伴う事業の対価に見合わないと判断した場合
(2)
一斉かつ大量に売却することにより価値の急激な下落を招く恐れがある場合
3
第1項により株式を売却する際は、インサイダー取引防止の観点から、原則として有価証券処分信託、株式処分信託等を利用して行うものとする。
4
理事長は、第1項の株式の売却及び第2項の決定について、速やかに役員会に報告する。
(インサイダー取引の防止)
第12条
管理責任者は,株式を売却するにあたっては,インサイダー取引に係る規制その他の関係法令に基づく規制を遵守するために必要な措置を講じなければならない。
(実施報奨金の配分)
第13条
収益を伴う事業の対価として株式等を取得した場合における当該知的財産権に係る発明者等への実施報奨金については、株式等を取得した後、当該株式等を換金した収入を得たときに限り、職務発明規程を準用する。
(雑則)
第14条
この規程に定めるもののほか必要な事項は、別に定める。
附 則
この規程は、令和7年4月1日から施行する。