名古屋大学ハラスメント救済措置等に関する細則

(平成27年3月16日細則第26号)

改正	平成27年3月31日規程第108号	平成30年2月6日細則第16号
	令和2年4月1日名大細則第6号	令和3年3月1日名大細則第18号
	令和4年3月31日名大規程第122号

第1章　総則(第1条－第14条)

第2章　調停手続(第15条－第37条)

第3章　事実調査手続(第38条－第57条)

第4章　雑則(第58条－第63条)

附則

第1章　総則

(趣旨)

第1条　この細則は，ハラスメント相談センター（以下「センター」という。）及びハラスメント防止対策委員会（以下「防止対策委員会」という。）が実施する相談，通知，環境調整，緊急対応，救済申立て，調停，事実調査等（以下「救済措置等」という。）に関し必要な事項を定める。

(定義)

第2条　この細則において，次の各号に掲げる用語の意義は，当該各号に定めるところによる。

一　構成員　総長，副総長，本学の職員，学生，生徒及び名誉教授その他本学において教育，研究，職務，学業等に従事するすべての者をいう。

二　関係者　本学の学生又は生徒の保護者及び関係業者をいう。

三　相談受付　構成員及び関係者（以下「構成員等」という。）が，センターに対し，ハラスメント，二次加害行為等（以下「ハラスメント等」という。）に関する助言，カウンセリング等を求める行為に対し，センターがこれに応じることをいう。

四　通知　センターの助言に基づき，防止対策委員会委員長が，ハラスメントの相談を受け付けたことを相手方である構成員等に文書により通知することをいう。

五　環境調整　防止対策委員会への救済申立ての取次ぎの前後にかかわらず，ハラスメント等による被害を受けたとする本人（以下「本人」という。）の同意の下，センター長の判断により，センターが，職場環境，教育・研究環境及び人間関係の改善のための協力を構成員等に求めることをいう。

六　緊急対応　防止対策委員会への救済申立ての取次ぎの有無及びその前後にかかわらず，本人の保護のために迅速な対応が必要である場合に，本人の同意の下，センターの助言に基づき，防止対策委員会委員長が，関係部局長，学内又は学外の専門家又は専門機関等の協力を求める等の緊急の対応を行うことをいう。

(相談受付)

第3条　センターは，次に掲げる構成員等（以下「相談者」という。）からの相談に応じる。

一　本人

二　他の者がハラスメント等を受けているのを見て不快に感じたという者

三　他の者からハラスメント等に関する相談を受けたという者

四　他の者からハラスメント等をしている旨の指摘を受けたという者

五　元構成員等で，現構成員より，在職，在学又は関係者である間にハラスメント等の被害を受けたとする者。ただし，申立てを行うことができる期間は，離職，卒業，退学等により構成員等でなくなった日から，原則として１年以内とする。

2　相談受付は，次の各号に掲げる申込みの方法による。

一　電話，ファクシミリ，メール，手紙又は訪問による申込み

二　部局に配置された部局受付窓口担当員への申出を通じての申込み

(通知)

第4条　特定の構成員等に関するハラスメントの相談数が同時期若しくは一定期間において複数となった場合，又は単数であっても，相談者が希望し，かつ，相手方の注意喚起を要する場合には，センターの助言に基づき，防止対策委員会委員長は，ハラスメントの相談を受け付けたことを当該構成員等に通知することができる。

2　通知を行う場合，特に必要と認められる場合には，防止対策委員会委員長は，他の構成員等に協力を求めることができる。

3　通知を行う場合，防止対策委員会委員長は，相談者及び当該通知を受ける者のプライバシーに十分配慮し，かつ，教育，研究，就業及び修学に関して不利益及び損害が生じないよう配慮しなければならない。

4　通知を行った場合，防止対策委員会委員長は，防止対策委員会に事後報告を行う。この場合において，当該報告は，匿名化により行うものとする。

(環境調整)

第5条　センターは，相談受付後，防止対策委員会への救済申立ての取次ぎの前後にかかわらず，センター長の判断により，必要と認められる場合には，本人の同意の下で，本人の職場環境，教育・研究環境及び人間関係を改善するための協力を構成員等に求める等の環境調整を行うことができる。

2　センターは，環境調整を行った場合には，防止対策委員会委員長に事後報告を行うとともに，ハラスメント防止対策運営委員会委員長に遅滞なく報告するものとする。この場合において，当該報告は，匿名化により行うものとする。

(緊急対応)

第6条　防止対策委員会委員長は，センターへの相談受付後，防止対策委員会への救済申立ての取次ぎの有無又はその前後にかかわらず，本人の保護のために迅速な対応が必要である場合には，本人の同意の下，センターの助言に基づき，関係部局長，学内又は学外の専門家又は専門機関等の協力を求める等の緊急対応を行うことができる。

2　防止対策委員会委員長は，緊急対応の実施に当たっては，必要に応じてハラスメント連絡調整会議を開催することができる。

3　防止対策委員会委員長は，緊急対応を行った場合には，防止対策委員会に事後報告を行う。この場合において，当該報告は，匿名化により行うものとする。

(救済申立て)

第7条　救済申立ては，防止対策委員会に対して行う。

2　申立人は，防止対策委員会が定めるハラスメント救済申立書（以下「申立書」という。）によって申立てを行わなければならない。

3　申立人は，救済申立てを行うに当り，センターの相談員と面談するものとする。この場合において，センターは，救済申立ての受付を行い，これをハラスメント防止対策運営委員会（以下「運営委員会」という。）に取り次ぐ。

4　申立人（申立人が本人でない場合は，申立人及び本人をいう。以下同じ。）は，防止対策委員会が事案の最終報告を受理するまでは，いつでも救済申立てを取り下げることができる。ただし，調査開始後にあっては，被申立人の同意を必要とする。

5　前項の取下げは，第13条の審理を経た後は，原則として，書面をもって行わなければならない。

[第13条]

6　申立人が第4項の取下げをした場合は，同一の事案につき再度の救済申立てをすることはできない。ただし，再度の救済申立てを認めるべき相当の理由がある場合は，この限りでない。

7　悪意をもって虚偽の申立てを行った申立人は，処分等に付されることがある。ただし，第44条の事実調査の結果，申立てに相当する事実が認められなかった場合であっても，直ちにこのことをもって，虚偽の申立てを行ったとみなし，申立人に対して不利益な取扱いをしてはならない。

[第44条]

(救済の申立人及び相手方)

第8条　救済の申立人は，次に掲げる者とする。

一　構成員等によるハラスメント等により被害を受けたとする構成員等

二　本人の同意の下，本人に代わって申立てをする構成員等

三　元構成員等で，在職，在学又は関係者である間に，現構成員からハラスメント等の被害を受けたとする者

2　救済申立ての相手方は，本学の現構成員とする。

(補佐人)

第9条　申立人及び相手方（以下「当事者」という。）は，補佐人を立てることができる。

2　当事者は，弁護士でない者を補佐人とする場合は，防止対策委員会において救済申立てが受理される前に，防止対策委員会委員長に許可を申請しなければならない。

3　防止対策委員会委員長は，いつでも前項の許可を取り消すことができる。

4　防止対策委員会において救済申立てが受理された後に，弁護士でない者を補佐人とする場合の手続は，調停手続を行う場合にあっては，第23条第3項，事実調査に基づく勧告救済手続を行う場合にあっては，第41条第2項の定めるところによる。

[第23条第3項] [第41条第2項]

5　第1項の場合において，当事者は，補佐人を立てた旨を，センターに届け出ることにより，運営委員会に通知する。

(センターの取次ぎ)

第10条　センターは，救済申立てを受け付けるに当たり，申立人に対し，救済手続についての情報提供を行うものとする。

2　救済申立てを受け付けたセンターは，次に掲げる事項を行うものとする。

一　救済申立て手続において申立人が求める対応の確認

二　事実関係の聞き取り

三　緊急対応の必要性の有無の確認

四　聞き取り経過に関する記録の作成

3　センターは，前項の事項を行うに当たって，個人のプライバシーを尊重し，申立人の主張に真摯に耳を傾け，丁寧に話を聞くように心がけなければならない。

4　センターは，必要に応じて申立人に対し，救済申立て受付以後は直接相手方に接触を図らないように指示しなければならない。

(センターにおけるカウンセリング)

第11条　センターは，救済申立ての取次ぎと並行して，申立人が求める場合は，申立人に対するカウンセリング等の援助を行うことができる。

2　センターは，必要と認める場合は，申立人に対し，カウンセリングを勧めることができる。

(運営委員会での審理)

第12条　運営委員会は，センターから救済申立てを引き継いだ後，救済申立てに係る手続の開始の要否を審理する。

2　運営委員会は，救済申立てが明らかに失当な場合は，防止対策委員会委員長と協議の上，不受理決定を行うことができる。この場合において，運営委員会は，不受理決定を行う前に，センターに対して意見照会することができる。

3　前項の決定は，運営委員会が理由を付して書面により申立人に通知しなければならない。

4　運営委員会は，防止対策委員会での審理が適当と判断した場合は，匿名処理した申立書を防止対策委員会に提出する。

(防止対策委員会での審理)

第13条　防止対策委員会は，前条第4項の救済申立てを受理した後，救済申立てに係る調停又は事実調査の要否を審理する。ただし，防止対策委員会委員長は，防止対策委員会の審理を経ずに，運営委員会に救済申立てに係る調停又は事実調査の手続開始を命じた場合には，当該事案について，防止対策委員会に報告するものとする。

2　防止対策委員会は，申立人の救済申立ての内容が不明瞭な場合においては，申立人に対し，相当の期間を定め，センターを通じて救済申立ての補正を命じることができる。

3　防止対策委員会は，以下の各号に掲げる場合には，救済申立ての不受理を決定できる。この場合において，防止対策委員会は，不受理決定を行う前に，センターに対して意見照会することができる。

一　申立てが第7条第2項に定める申立書によらない場合

[第7条第2項]

二　ハラスメント等に対する救済申立てに該当しないことが明らかである場合

三　前項により定められた期間内に申立人が補正に応じない場合

四　防止対策委員会が行った決定への不服申立てである場合

4　防止対策委員会は，以下の各号に掲げる場合には，救済申立てに係る調停又は事実調査を開始しない旨を決定できる。

一　申立人の求める事項が，調停又は事実調査に基づく救済勧告手続をすることなく解決に至り得ると判断した場合

二　申立人の求める事項が，調停又は事実調査に基づく救済勧告手続によっても解決不能と判断した場合

三　救済申立てに係る事実の発生の日から３年を超えて申立てがされた場合。ただし，救済申立てに係る事実の発生の日から３年以内にされなかったことに相当の理由がある場合は，この限りでない。

四　救済申立てに係る紛争について，すでに学外において，裁判，調停その他の裁判外紛争処理手続（労働組合への交渉依頼を含む。以下同じ。）が係属している場合

5　前2項の決定は，防止対策委員会が理由を付して書面により申立人に通知する。

6　防止対策委員会における救済申立てに係る審理は，当該救済申立てに係る関係者を匿名化して行わなければならない。

(調停又は事実調査に基づく救済勧告手続の開始)

第14条　前条第3項又は第4項に該当する場合を除き，防止対策委員会は，申立人の救済申立てに従い，調停又は事実調査に基づく救済勧告手続を開始する。

2　申立人が，調停及び事実調査に基づく救済勧告手続の双方を申し立てた場合は，調停を先行し，調停終了後に事実調査に基づく救済勧告手続を行う。この場合，ハラスメント調停専門委員会委員長は，調停の先行により必要証拠が散逸することのないように当事者に対し注意を促すものとする。

3　事実調査に基づく救済勧告手続を開始した後であっても，当事者は，防止対策委員会に対し，調停の申立てをすることができる。当事者の合意により調停手続を開始した場合は，事実調査に基づく救済勧告手続は，調停手続の終了まで中断する。

4　防止対策委員会が必要と認める場合は，救済申立ての有無にかかわらず，当事者に対して，調停を勧めることができる。

5　申立人が調停を望まない場合又は調停終了後に申立人が事実調査に基づく救済勧告手続を申し出たときには，防止対策委員会は，速やかに事実調査に基づく救済勧告手続を開始しなければならない。ただし，申立人又は相手方が複数存在し，その中のいずれかにおいて調停手続が係属している場合は，原則として，すべての調停手続の終了後，事実調査に基づく救済勧告手続を開始する。

6　調停又は事実調査に基づく救済勧告手続の係属中に，当該救済申立てに係る紛争について，学外において，裁判，調停その他の裁判外紛争処理手続が開始された場合は，それらの手続が終了するまで，調停又は事実調査に基づく救済勧告手続を中断することができる。

7　防止対策委員会は，前項の中断事由が解消した場合，調停又は事実調査に基づく救済勧告手続を再開する。

第2章　調停手続

(調停専門委員リストの作成)

第15条　運営委員会は，防止対策委員会委員その他の有識者からなるハラスメント調停専門委員候補者リスト（以下「調停専門委員リスト」という。）を作成しなければならない。

2　前項の調停専門委員リストの人数は，6人を下回ることはできない。

3　調停専門委員リストの作成に当たっては，男女の構成比率が等しくなるように努めなければならない。

(調停の申立て)

第16条　調停の申立ては，申立書により，申立ての趣旨及び事案の概要を明らかにしなければならない。

2　申立人は，申立ての際に，証拠書類又は調停の審理に参考になるものの原本又は写しを提出することができる。

(複数の申立て)

第17条　調停は，原則として，申立人又は相手方が複数存在する場合は，申立人又は相手方ごとに個別に行うものとする。ただし，調停専門委員が事案の解決のために合同の進行を要すると認める場合は，この限りでない。

(調停意思の確認)

第18条　防止対策委員会が調停の申立てを受理したときは，防止対策委員会委員長は，その旨を名古屋大学ハラスメント防止対策運営委員会細則（平成26年度細則第21号）第9条に定める調停コーディネーターに通知しなければならない。

[名古屋大学ハラスメント防止対策運営委員会細則（平成26年度細則第21号）第9条]

2　調停コーディネーターは，前項により調停の申立ての連絡を受けたときは，遅滞なく相手方に調停に応じる意思があるかどうかの確認を行わなければならない。

3　調停コーディネーターは，相当の手段を講じて相手方に連絡を試みても相手方と連絡が取れない場合又は連絡が取れた後2週間以内に相手方が調停応諾の確答をしない場合は，相手方は調停に応じる意思がないものとみなすことができる。

4　前項により相手方が調停に応ずる意思がないと判断された場合は，調停コーディネーターは，その旨を申立人に通知し，事案を終了させる。

5　調停コーディネーターは，前項において相手方に調停に応ずる意思を確認する過程で二次加害行為が発生し，手続の進行が妨げられた場合は，当事者の意思に関係なく，当該申立事案に係る調停手続を終了させることができる。この場合において，調停コーディネーターは，直ちにその旨を当事者に通知しなければならない。

6　調停コーディネーターは，前2項により調停を終了させた場合は，その旨を防止対策委員長に報告しなければならない。

(調停専門委員の選任)

第19条　調停コーディネーターは，相手方が調停に応じる意思のある場合は，速やかにハラスメント調停専門委員会（以下「調停専門委員会」という。）の設置の手続を開始する。

2　調停専門委員会は2名の委員で組織する。

3　調停コーディネーターは，当事者にあらかじめ準備された調停専門委員リストを示し，各自1名の調停専門委員を指名するよう求めなければならない。

4　当事者は，調停専門委員の指名に当たり，調停コーディネーターに助言を求めることができる。

5　調停専門委員は，申立人又は相手方が複数存在する調停の場合は，原則として，各調停に係る調停専門委員2名には同一人を選任する。ただし，緊急等相当の事情がある場合は，当該調停専門委員とは別の調停専門委員を選任することができる。

6　当事者の一方又は双方が，第3項の調停専門委員の指名に係る要請があった翌日から１週間以内に当該指名を行わない場合は，調停コーディネーターが代わりに指名を行う。

7　当事者が同一人を指名した場合は，調停コーディネーターが2人目を指名する。

8　第5項の調停専門委員の選任において，申立人又は相手方は，個々に調停専門委員を指名することができる。この場合において，それぞれの指名が，当事者の内部で一致しない場合は，調停コーディネーターが指名の一致しない複数の申立人又は相手方に代わって1名の調停専門委員を指名する。

9　調停専門委員は，同一事案のハラスメント調査専門委員会委員となることはできない。

(相手方の資料提出)

第20条　相手方は，調停の応諾後，証拠書類その他の調停の審理に参考となるものの原本又は写しを調停専門委員会に提出することができる。

(当事者への通知)

第21条　調停コーディネーターは，調停専門委員の指名があった後，遅滞なく当事者に調停専門委員会の設置及び調停専門委員の氏名を書面により通知しなければならない。

(当事者の呼出し)

第22条　調停専門委員会は，期日を定めて，当事者を呼び出さなければならない。

2　調停は，名古屋大学（以下「本学」という。）の施設で行う。ただし，調停専門委員会が，本学の施設以外での実施を適切と判断した場合はこの限りでない。

(当事者の出席)

第23条　呼出しを受けた当事者は，自ら出席しなければならない。ただし，やむを得ない事由がある場合は，補佐人を出席させ，又は補佐人とともに出席することができる。

2　前項ただし書の場合において，呼出しを受けた当事者は，センターの担当相談員を陪席させることができる。

3　当事者は，弁護士以外の者を第1項の補佐人とするときは，調停専門委員会の許可を得なければならない。

4　調停専門委員会は，調停の場において，補佐人の言動が調停の進行を妨げていると判断したときは，退席を求めることができる。

5　調停専門委員会は，いつでも第3項の許可を取り消すことができる。

(調停の非公開)

第24条　調停は，非公開とする。ただし，調停専門委員会は，必要と認める者の傍聴を許可することができる。

(職権調査)

第25条　調停専門委員会は，職権で，事実の調査及び必要と認める証拠調べをすることができる。ただし，その実施に当たっては，当事者の意向を尊重するとともに，関係者の名誉，プライバシーその他の人権を侵害することのないよう，慎重に対処しなければならない。

2　調停専門委員会が，必要と認めたときは，専門家の出席を求め，その意見を聴取することができる。

3　調停専門委員会は，前2項で得られた証拠その他の資料を，事実調査，訴訟その他当該調停以外において引用することはできない。

(調停専門委員会の審理)

第26条　調停専門委員会は，当事者からの事情聴取，事実調査等により事案の事実関係を把握した後に，当事者の互譲による事案の解決のための提案を行わなければならない。

2　調停専門委員会は，調停の進行に当たっては，中立性を維持するとともに公正な審理を行わなければならない。

(接触の禁止)

第27条　調停専門委員会は，必要に応じて，当事者及び調査協力者並びに補佐人に対して，相互の接触を禁じる等の要請を行うことができる。

(調停期間)

第28条　調停専門委員会は，調停の進捗状況を1月ごとに調停コーディネーターに報告しなければならない。

2　調停専門委員会は，第1回目の調停開催日より3月以内に調停を終了させるよう努めなければならない。

3　調停専門委員会は，調停中の当事者のいずれか一方が離職，卒業等により本学の構成員でなくなる場合，調停が3月を超えることが明らかになった場合等において，両当事者が希望するときは，原則として，3月の範囲内で調停期間を延長することができる。

(調停における合意)

第29条　調停における当事者間の合意は，名古屋大学ハラスメント防止基本宣言の基本理念に沿った公正なものでなければならない。

(調停の成立)

第30条　調停において当事者間に合意が成立した場合は，それを書面に記載することをもって，調停が成立したものとする。

2　前項の書面には，両当事者が署名捺印をすることを要する。

3　第１項の記載は，民法上の和解としての効力を有する。

4　調停成立の場合は，調停専門委員会は，調停コーディネーターを通じて運営委員会に直ちにその旨を報告しなければならない。

(調停条項中の要望)

第31条　両当事者は，調停の条項中に当事者間の合意内容を記載するほか，防止対策委員会に対して，救済措置，二次加害行為防止措置又は再発防止措置について，一致した要望を示すことができる。

2　前項の要望は，調停専門委員会が調停コーディネーターを通じて運営委員会に通知しなければならない。

3　運営委員会は，必要に応じて当事者を匿名化したうえで，防止対策委員会に当事者の要望を踏まえた提案を行なわなければならない。

4　防止対策委員会は，前項の提案を第7条における救済申立てに準じるものとして審理する。

[第7条]

5　防止対策委員会は，前項の審理を行うに当たり，第１項の要望を尊重するよう努めるものとする。

(調停の不成立)

第32条　調停専門委員会は，当事者間に合意が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合には，調停が成立しないものとして，事案を終了させることができる。

2　調停専門委員会は，調停の公平性を維持できない事情又は調停の進行を妨げる事態が発生したと判断した場合は，調停が成立しないものとして事案を終了させることができる。

3　前2項の場合には，調停専門委員会は，直ちに，調停コーディネーターを通じて運営委員会にその旨を報告するとともに，当事者にもその旨を書面で通知しなければならない。

(防止対策委員会への報告)

第33条　調停コーディネーターは，第30条第4項及び前条第3項の報告を受けたときは，当該報告に係る調停の結果を運営委員会に報告しなければならない。

[第30条第4項]

2　運営委員会は，必要に応じて前項の調停の結果について当事者を匿名化したうえで，防止対策委員会に報告しなければならない。

3　調停コーディネーターは，調停の進捗状況について，適宜運営委員会に報告しなければならない。

(当事者又は調査協力者からの要望)

第34条　調停委員会は，調停開始から終了までの間において，当事者及び調査協力者から二次加害行為防止，調停の進行中における配慮等に関する要望が出された場合は，その対応を行わなければならない。ただし，調停専門委員会において対応不可能な要望については，その要望を調停コーディネーターを通じて運営委員会へ報告しなければならない。

2　当事者は，要望した調停の事項以外に新たな要望の追加がある場合は，書面に要望事項を記載して運営委員会に提出することができる。

3　調停専門委員会は，第1項ただし書による報告を行った場合は，その旨を当事者に通知しなければならない。

(調停の合意内容の非公開)

第35条　調停の合意内容は，非公開とする。ただし，当事者に別段の合意がある場合は，この限りでない。

(費用)

第36条　第30条の規定により調停が成立した場合において，調停の条項に費用の負担に関する定めをしないときには，両当事者は，その支出した費用を自ら負担するものとし，調停が不成立の場合も同様とする。

[第30条]

2　学外の有識者を調停専門委員として選任した場合の費用は，本学が負担する。

(調停コーディネーターの権限)

第37条　調停コーディネーターは，調停の進め方又は調停案の内容について，必要に応じ調停専門委員会に意見を述べることができる。

第3章　事実調査手続

(調査専門委員会の設置)

第38条　防止対策委員会は，事実調査の必要があると認めた場合は，ハラスメント調査専門委員会（以下「調査専門委員会」という。）を設置しなければならない。

(調査専門委員会委員の選出)

第39条　防止対策委員会委員長は，調査専門委員会の委員長及び委員の候補者2名を指名した場合，防止対策委員会の承認を得るものとする。この場合において，調査専門委員会委員長及び委員は，防止対策委員会委員のうちから指名しなければならない。

2　前項後段の規定にかかわらず，防止対策委員会委員長は，事実調査に必要な専門知識を有する者を，防止対策委員会委員以外から調査専門委員会委員に指名することができる。この場合において，防止対策委員会委員長は，防止対策委員会の承認を得なければならない。

3　前2項の承認は，緊急の場合にあっては，事後の承認により行うことができるものとする。

4　第1項の指名において，センタ－長及び事案に関係する部局に所属する防止対策委員会委員を除かなければならない。

5　第1項の指名において，当該事案と関わりのある防止対策委員会委員は，調査専門委員会委員長及び委員となることを辞退しなければならない。

6　第1項の指名の後，調査専門委員会委員長又は委員が当該事案との関わりがあることが判明した場合，防止対策委員会委員長は，直ちに当該委員長又は委員を交代しなければならない。

7　防止対策委員会委員は，原則として，同時に2つ以上の事件の調査専門委員会委員を兼ねることはできない。ただし，名古屋大学ハラスメント防止対策委員会規程（平成20年度規程第33号）第3条第1項第9号に規定する委員は，この限りではない。

[名古屋大学ハラスメント防止対策委員会規程（平成20年度規程第33号）第3条第1項第9号]

8　防止対策委員会委員長は，事情により，事実調査を担当する委員の候補者を得られない場合は，速やかに防止対策委員会委員の補充を行わなければならない。

(調査専門委員会の権限)

第40条　調査専門委員会は，事実調査を行うに当たり，次の権限を行使することができる。

一　当事者に対して，事情聴取を行うこと。

二　当事者以外の第三者に対して，事情聴取を行うこと。

三　専門家に対する意見聴取を行うこと。

四　当事者及び第三者から関係書類その他必要な証拠の収集を行うこと。

五　事実調査を実施する場合に関係部局に対して協力要請を行うこと。

(補佐人)

第41条　事実調査に当たっては，当事者及び調査協力者は，補佐人を立ち会わせることができる。この場合において，補佐人は本人に代わって陳述することはできない。ただし，調査専門委員会委員長の許可を得て，陳述することができる。

2　当事者又は調査協力者は，弁護士以外の者を前項の補佐人とするときは，調査専門委員会の許可を得なければならない。

3　調査専門委員会は，いつでも前項の許可を取り消すことができる。

4　調査専門委員会委員長は，事情聴取の場において，補佐人の言動が事実調査の進行を妨げていると認めたときは，退席を求めることができる。

(申立て事項の確認)

第42条　調査専門委員会は，必要と認める場合は，事実調査に先立ち，申立人に対して，申立て内容，相手方への要求，事実調査についての要望事項等に係る確認を行うことができる。

2　調査専門委員会は，申立人に対して，事実調査に先立ち事実調査の手続についての案内を行うものとする。

(事実調査の開始)

第43条　調査専門委員会は，事実調査を開始する場合は，その旨を運営委員会を通じ，防止対策委員会委員長に報告しなければならない。

2　防止対策委員会委員長は，事実調査を開始した場合は，その旨を当事者及び関係部局長（関係部局長が事実調査の対象者の場合は，当該部局の防止対策委員会が指定する者とする。以下同じ。）に書面で通知する。

3　前項により通知を受けた関係部局長は，秘密保持に留意し，事実調査への協力及び二次加害行為の防止を行わなければならない。

(事実調査の実施方法)

第44条　事実調査は，当事者及び調査協力者に対する事情聴取，書面審理，電話による聴取等調査専門委員会が必要とする任意の方法により行うことができる。

2　調査専門委員会は，事実調査の実施に際しては，当事者及び調査協力者に対して，事実調査の目的等について説明するとともに，秘密保持及び二次加害行為の防止について協力を求めなければならない。

3　前項の協力要請は，補佐人に対しても行わなければならない。

(当事者又は調査協力者への出席要請)

第45条　調査専門委員会は，当事者又は調査協力者に出席を依頼する場合には，その者の意向を十分に聞いた上で，あらかじめ出席の場所，時間，連絡方法等を明示して依頼しなければならない。

(事実調査の実施)

第46条　事実調査は，調査専門委員会委員長の指揮の下，調査専門委員会が直接行うものとする。

2　事実調査は，非公開とする。

3　調査協力者は，調査専門委員会の許可を得て，付添人を同伴することができる。ただし，付添人は，発言権を有しない。

4　当事者は，センターの担当相談員を陪席させることができる。

5　調査専門委員会は，事実調査の実施に際して，当該調査事項に関する専門家に意見を求めることができる。

6　前項の場合において，調査専門委員会は，当該専門家に対し，その意見を求める目的の範囲内で必要な情報を提供することができる。

(事情聴取の記録)

第47条　調査専門委員会は，当事者又は調査協力者に対する口頭での事情聴取を行う場合には，可能な限りその過程を録音しなければならない。

2　前項の録音は，当事者又は調査協力者への交付のために複数の録音機材を用いて行わなければならない。

3　当事者又は調査協力者は，自らの事情聴取に係る録音媒体の交付を要求することができる。

(当事者又は調査協力者への要請)

第48条　調査専門委員会は，必要に応じて，当事者及び調査協力者に対して，相互の接触を禁じる等の要請を行うことができる。

2　前項の要請は，補佐人に対しても行うことができる。

(当事者又は調査協力者からの要望)

第49条　調査専門委員会は，事実調査開始から終了までの間において，当事者及び調査協力者から二次加害行為防止，事実調査中における配慮等に関する要望があった場合は，対応を行わなければならない。ただし，調査専門委員会で対応不可能な要望については，その要望を運営委員会へ報告しなければならない。

2　当事者及び調査協力者は，要望した事実調査の事項以外に新たな要望の追加がある場合は，書面に要望事項を記載して運営委員会に提出することができる。

3　調査専門委員会は，第1項ただし書による報告を行った場合は，その旨を当事者及び調査協力者に通知しなければならない。

(調査期間)

第50条　調査専門委員会は，事実調査を開始した場合は，当該調査に専念するとともに，第1回調査専門委員会開催日から6月以内に当該調査を終了するように努めなければならない。

2　調査専門委員会は，事実調査が第1回調査専門委員会開催日から6月を超えることが明らかになった場合は，当事者に対し，その旨に理由を付して，その旨を速やかに通知しなければならない。

3　調査専門委員会は，事実調査の進行状況について，当事者から問合せがあった場合には，当該調査に支障を来さない範囲内で，速やかに回答しなければならない。

(調停による中断)

第51条　事実調査の過程で調停を開始した場合は，当該事実調査は，中断するものとする。

2　前項の中断後，調停が不成立に終わった場合は，事実調査は，申立人の申出をもって再開するものとする。

3　調停が成立した場合は，当事者間に別段の合意がある場合を除き，事実調査は，終了する。

(防止対策委員会への報告)

第52条　調査専門委員会は，事実調査を終了したときは，当該調査結果を報告書（以下「事実調査報告書」という。）にまとめ，運営委員会に提出しなければならない。

2　事実調査報告書には，次に掲げる事項を記載しなければならない。

一　事実調査の経過

二　認定された事実

三　事実認定の理由

四　懲戒処分又は訓告若しくは厳重注意（以下「処分等」という。）相当か否かの判断

五　処分等を相当とする場合の問責事項

3　運営委員会は，提出された事実調査報告書を匿名化した上で，防止対策委員会に提出しなければならない。

4　防止対策委員会は，調査専門委員会の事実調査が不十分と判断した場合には，提出された事実調査報告書を当該調査専門委員会へ差し戻すことができる。

(事実調査報告書の審議及び勧告内容の決定)

第53条　防止対策委員会は，事実調査報告書の内容について審議し，事実調査報告書に基づいて勧告内容を決定する。この場合において，防止対策委員会が必要と認めたときを除き，当該内容の審議に次の者は出席することができない。

第54条　防止対策委員会は，事実調査の結果により，環境改善等の救済措置が必要であると判断した場合は，総長及び関係部局長に対しその旨の勧告を行い，処分等の必要があると判断した場合は，総長に対しその旨の勧告を行うとともに，関係部局長に対しその旨の伝達をする。

2　前項の勧告は，書面をもって行い，必要に応じて，防止対策委員会委員長の口頭による説明を付すことができる。

3　当事者は，防止対策委員会に対し，防止対策委員会委員長が認めた部分に関する勧告書の写しの提出及び第52条第3項により防止対策委員会に提出された事実調査報告書（以下「匿名化された事実調査報告書」という。）のうち防止対策委員会委員長が認めた部分の閲覧を求めることができる。

[第52条第3項]

4　関係部局長は，防止対策委員会に対し，勧告書の写し及び匿名化された事実調査報告書のうち防止対策委員会委員長が認めた部分の閲覧を求めることができる。

5　勧告を受けた関係部局長は，救済措置に係る具体的措置の実施について総長に対し報告しなければならない。

6　総長は，前項に規定する関係部局の措置等について防止対策委員会に通知する。

7　前項の通知を受けた防止対策委員会は，当事者へ書面等により伝達を行う。

8　第1項において，防止対策委員会が，救済措置等が必要でないと判断した場合は，当事者に対して，その旨を書面等により通知する。

(経過報告)

第55条　防止対策委員会は，前条第１項の勧告に基づく関係部局の措置の実施後3月以内に，センターを通じ，申立人に対して事情聴取を行い，事態の改善状況を調査しなければならない。

2　防止対策委員会は，前項の調査の結果，事態の改善が認められないと判断した場合は，総長及び関係部局長に対し，再度必要に応じた救済措置について勧告を行う。

3　前項の再度の勧告においては，前条第2項から第7項までの規定を準用する。

(事実調査の終了)

第56条　事実調査手続は，防止対策委員会が事実調査報告書を受理した時点で終了する。

2　調査専門委員会が，事実調査の公平性を維持できない事情又は事実調査の進行を妨げる事態が発生したと認めた場合は，結論を出さずに事実調査を終了することができる。

3　前項の場合において，調査専門委員会委員長は，理由を付して事実調査が終了した旨を防止対策委員会に報告し，その了承を得なければならない。

4　防止対策委員会は，前項の了承をした場合は，申立人に対して，理由を付して事実調査が終了した旨を通知しなければならない。

(記録の保管)

第57条　調査専門委員会は，事実調査終了まで，当該調査に係るすべての資料，録音テープ，記録，証拠等を厳密に保管しなければならない。

2　事実調査における資料等の複写は，原則として行わない。ただし，調査専門委員会委員長が必要と認めた場合は，これを行うことができる。

3　前項ただし書の事実調査に係る資料等の複写は，調査専門委員会委員長が行う。

4　調査専門委員会は，事実調査終了後，当該調査に係るすべての資料，録音テープ，記録，証拠等を防止対策委員会委員長に引き渡さなければならない。

第4章　雑則

(研修の義務)

第58条　調停又は事実調査に基づく救済勧告手続を実施するすべての者は，防止対策委員会が適切と認める研修を受けなければならない。ただし，研修は，中立公平な立場で行われるものとする。

(二次加害行為等への対応)

第59条　防止対策委員会は，相談の受付後又は救済申立て受付後に次に掲げる行為を行った者については，当該行為を受けた者の申立てに基づき，緊急対応等を実施する。

一　相談者，当事者及び事実調査の協力者に対する報復，報復のほのめかし，誹謗中傷等の行為

二　風説の流布等により当事者及び事実調査の協力者のプライバシー，名誉等の人権を侵害する行為

三　相談員，防止対策委員会委員等に対する嫌がらせ行為

2　前項の行為に係る事実調査は，防止対策委員会が自ら行い得るほか，防止対策委員会が必要と認める場合は，調査専門委員会に，当該事実調査を要請することができる。

3　防止対策委員会は，第1項の行為による被害の救済又は再発防止のために，必要に応じて，当事者に調停を勧めることができる。

4　防止対策委員会は，第2項の事実調査に基づき，その者の処分等の実施を総長に対し勧告する。

(調停又は事実調査に基づく救済勧告手続の過程における対応)

第60条　防止対策委員会は，第6条及び前条の事項以外に，調停及び事実調査に基づく救済勧告手続の進行を促進するため，又は当事者等から提出された要望に適宜対応するため，関係部局長，センター，学内又は学外の専門家又は専門機関の協力を求めることができる。

[第6条]

(配慮義務)

第61条　救済措置等に関わるすべての者は，手続を遂行するに当たり，次に掲げる事項について十分な配慮をしなければならない。

一　関係者の名誉，プライバシーその他の人権を侵害することのないよう慎重に対処すること

二　手続の実施過程においてハラスメント等に該当するような言動を行わないこと

(守秘義務)

第62条　救済措置等に関わるすべての者は，任期中及び任期満了後において，職務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。

(事務)

第63条　救済申立ての庶務は，総務部人事労務課及び教育推進部学生支援課において処理する。

附　則

この細則は，平成27年4月1日から施行する。

附　則(平成27年3月31日規程第108号)

この規程は，平成27年4月1日から施行する。

附　則(平成30年2月6日細則第16号)

この細則は，平成30年2月6日から施行する。

附　則(令和2年4月1日名大細則第6号)

この細則は，令和2年4月1日から施行する。

附　則(令和3年3月1日名大細則第18号)

この細則は，令和3年3月1日から施行する。

附　則(令和4年3月31日名大規程第122号)

この規程は，令和4年4月1日から施行する。