○岐阜大学大学院医学系研究科ヒトES細胞使用に関する規程
(平成19年5月16日岐阜大学医学部規則第10号)
改正
平成19年10月16日
平成20年3月19日
平成22年2月17日
平成23年7月20日
平成27年4月1日
平成28年9月14日
令和元年9月10日岐阜大学医学部規則第100号
令和2年3月30日規程第61号
(趣旨)
第1条
岐阜大学大学院医学系研究科及び医学部附属病院(以下「部局」という。)におけるヒトES細胞の使用に際して遵守すべき技術的及び倫理的事項については,ヒトES細胞の使用に関する指針(平成31年文部科学省告示第68号。以下「指針」という。)に従うとともに,それに基づくこの規程の定めるところによる。
(定義)
第2条
この規程において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。
一
胚 ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律(平成12年法律第146号。以下「法」という。)第2条第1項第1号に規定する胚をいう。
二
ヒト胚 ヒトの胚(ヒトとしての遺伝情報を有する胚を含む。)をいう。
三
ヒトES細胞 ヒト胚から採取された細胞又は当該細胞の分裂により生ずる細胞であって,胚でないもののうち,多能性を有し,かつ,自己複製能力を維持しているもの又はそれに類する能力を有することが推定されるものをいう。
四
生殖細胞 始原生殖細胞から精子又は卵子に至るまでの細胞をいう。
五
樹立機関 ヒトES細胞を樹立する機関をいう。
六
分配機関 他の機関から寄託されたヒトES細胞(基礎的研究の用に供するものに限る。)を第三者に分配する業務を実施する機関をいう。
七
使用部局 ヒトES細胞を使用して基礎的研究を行う部局をいう。
八
臨床利用機関 法令に基づき,医療(臨床研究及び治験を含む。以下同じ。)に用いることを目的としてヒトES細胞を使用する機関(海外機関を除く。)をいう。
ただし,ヒトES細胞を使用して基礎的研究を行う場合を除く。
九
海外機関 外国において基礎的研究又は医療に用いることを目的としてヒトES細胞を使用する機関をいう。
十
使用計画 使用部局が行うヒトES細胞の使用に関する計画をいう。
十一
使用責任者 使用部局において,ヒトES細胞の使用を総括する立場にある者をいう。
十二
研究者等 使用責任者の監督の下で使用機関において,ヒトES細胞を取り扱う研究者及び技術者をいう。
(ヒトES細胞に対する配慮)
第3条
ヒトES細胞を取り扱う者は,ヒトES細胞が,人の生命の萌芽であるヒト胚を滅失させて樹立されたものであること及び全ての細胞に分化する可能性があることに配慮し,誠実かつ慎重にヒトES細胞の取扱いを行うものとする。
(使用の要件)
第4条
ヒトES細胞の使用(次項に定めるものを除く。)は,次に掲げる要件を満たす場合に限り,行うことができるものとする。
一
次のいずれかに資する基礎的研究を行うものであること。
イ
ヒトの発生,分化及び再生機能の解明
ロ
新しい診断法,予防法若しくは治療法の開発又は医薬品等の開発
二
ヒトES細胞を使用することが前号に定める研究において科学的合理性及び意義を有すること。
2
人クローン胚を用いて樹立されたヒトES細胞の使用は,特定胚の取扱いに関する指針(平成31年文部科学省告示第31号。以下「特定胚指針」という。)第六条第二項に規定する目的に限り,行うことができるものとする。
3
使用に供されるヒトES細胞は,次に掲げるものに限るものとする。
一
ヒトES細胞の樹立に関する指針(平成31年文部科学省・厚生労働省告示第4号。以下「樹立指針」という。)で定める要件を満たして樹立されたヒトES細胞(生殖細胞の作成の用に供される場合には,生殖細胞の作成を行うことについてのインフォームド・コンセントを受けていることその他の樹立指針で定める要件を満たして樹立されたヒトES細胞に限る。)
二
外国で樹立されたヒトES細胞で,樹立指針と同等の基準に基づき樹立されたものと認められるもの(生殖細胞の作成の用に供される場合には,当該外国の法令等及びヒトES細胞の提供に関する条件においてヒトES細胞から生殖細胞を作成しないこととされていないものに限る。)
(禁止行為)
第5条
使用責任者等は,次に掲げる行為を行ってはならないものとする。
一
ヒトES細胞を使用して作成した胚の人又は動物の胎内への移植その他の方法によりヒトES細胞から個体を生成すること。ただし,法第四条に定める特定胚を作成する場合であって,特定胚指針の適用を受ける場合にあってはこの限りでない。
二
ヒト胚へヒトES細胞を導入すること。
三
ヒトの胎児へヒトES細胞を導入すること。
四
ヒトES細胞から生殖細胞の作成を行う場合には,当該生殖細胞を用いてヒト胚を作成すること。
(使用部局の長)
第6条
使用部局の長は,次に掲げる業務を行うものとする。
一
使用計画の妥当性を確認し,その実施を了承すること。
二
ヒトES細胞の使用の状況を把握し,必要に応じ,使用責任者に対しその留意事項,改善事項等に関して指示を与えること。
三
ヒトES細胞の使用を監督すること。
四
使用部局において指針及び本規程を周知徹底し,これを遵守させること。
五
ヒトES細胞の使用にかかる倫理的事項及び技術的事項に関する教育研修を1年に1回以上実施すること。
(使用責任者)
第7条
使用責任者は,次に掲げる業務を行うものとする。
一
ヒトES細胞の使用に関して,内外の入手し得る資料及び情報に基づき使用計画又はその変更の科学的妥当性及び倫理的妥当性について検討し,その結果に基づき,使用計画を記載した書類(以下「使用計画書」という。)を作成すること。
二
ヒトES細胞の使用を総括し研究者等に対し必要な指示をすること。
三
ヒトES細胞の使用が使用計画書に従い適切に実施されていることを随時確認すること。
四
ヒトES細胞を扱う実験室(以下「実験室」という。)の鍵を管理すること。
五
ヒトES細胞を凍結保存する細胞保管容器(以下「細胞保管容器」という。)の鍵を管理すること。
六
ヒトES細胞の使用記録簿を作成し,使用の都度,使用責任者及び研究者等(以下「使用責任者等」という。)の氏名,日時及び操作内容等を記載し,これを保存すること。
七
ヒトES細胞の保管記録簿を作成し,凍結保存チューブごとのヒトES細胞の名称,凍結保存を行った使用責任者等の氏名及び凍結保存を開始した日時等を記載し,これを保存すること。
八
前条第5号に規定する教育研修に研究者等を参加させること。
2
使用責任者は,ヒトES細胞に関する倫理的な認識並びに十分な専門的知識及び技術的能力を有するとともに前項各号に掲げる業務を的確に実施できる者とする。
(技術的遵守事項)
第8条
使用責任者等は,次に掲げる技術的事項を遵守しなければならない。
一
実験室は,関係者の承諾なしにみだりに立ち入ることができないようにすること。
二
ヒトES細胞の使用に係るインキュベーター,クリーンベンチ,細胞保管容器及び培養に必要な実験機器は,実験室に設置すること。
三
細胞保管容器は,常時施錠すること。
(倫理的遵守事項)
第9条
使用責任者等は,次に掲げる倫理的事項を遵守しなければならない。
一
ヒトES細胞に関し十分な倫理的認識を有し,その倫理的認識を維持できるように努めること。
二
ヒトES細胞の使用に関し,常に倫理的妥当性を検証すること。
2
指針及び法令等を遵守すること。
(倫理審査委員会)
第10条
ヒトES細胞の使用に関し審議及び調査するため,岐阜大学大学院医学系研究科に,ヒトES細胞に関する倫理審査委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2
委員会に関し必要な事項は別に定める。
(使用計画の申請)
第11条
使用を行おうとする使用責任者は,ヒトES細胞使用申請書(別紙様式第1号)及びヒトES細胞使用計画書(別紙様式第2号)を医学系研究科長に提出し,その許可を得なければならない。
2
使用計画を変更しようとする使用責任者はヒトES細胞使用変更書(別紙様式第3号)を医学系研究科長に提出し,その許可を得なければならない。ただし,使用計画の実質的な内容に係らない変更については,医学系研究科長に報告することをもって足りる。
3
医学系研究科長は,前2項の申請があった場合は,新規の申請にあってはヒトES細胞の使用に関する審査申請書(別紙様式第4号)に前2項に規定する使用申請書及び使用計画書を添えて,使用計画の変更申請にあっては使用計画変更書に変更前の使用計画書を添えて,委員会に審査を付託するものとする。
(審査の報告及び使用計画の許可)
第12条
ヒトES細胞に関する倫理審査委員会委員長(以下「委員長」という。)は,使用計画の審査終了後速やかに,その判定をヒトES細胞の使用に関する倫理審査報告書(別紙様式第5号)により医学系研究科長に報告するものとする。この場合において,審査結果が岐阜大学大学院医学系研究科ヒトES細胞に関する倫理審査委員会細則(平成16岐阜大学医学部規則第6号。以下「細則」という。)第6条第3項第2号のときにあってはその条件を,同項第3号から第6号までのときにあってはその理由を付記するものとする。
2
医学系研究科長は,委員会の審査結果に基づき,申請のあった使用計画について許可を与えるか否かの決定を行うものとする。この場合において,委員会が不承認の判定を下した使用計画については,その実施を許可してはならない。
3
医学系研究科長は,前項の決定を行った場合には,速やかにヒトES細胞の使用に関する審査通知書(別紙様式第6号)により申請者に通知するとともに,使用計画の実施について文部科学大臣に届け出るものとする
(調査結果の報告)
第13条
委員長は,実施中の使用計画に係る調査の審議終了後速やかに,その意見をヒトES細胞の使用に関する調査報告書(別紙様式第7号)により医学系研究科長に進言するものとする。この場合において,調査結果が細則第6条第6項第2号から第4号までに掲げる意見の場合には,その理由を付記するものとする。
2
医学系研究科長は,委員会の調査結果に基づき,速やかにヒトES細胞の使用に関する調査報告書(別紙様式第8号)により使用責任者に通知するものとする。
3
医学系研究科長は,委員会調査について,必要な便宜を委員会に与えるものとする。
(緊急の調査)
第14条
委員長は,緊急を要する場合には,医学系研究科長又は複数の委員と協議の上,使用責任者に対して,実施中の使用計画を一時中止させることができる。
2
委員長は,前項の指示を行った場合には,速やかに緊急事態報告書(別紙様式第9号)により医学系研究科長に報告するものとする。
3
委員長は,第1項の指示を行った場合は,速やかに委員会を招集し,その後の取扱いについて協議するものとする。
(使用の進行状況の報告)
第15条
使用責任者は,ヒトES細胞の使用の進行状況を医学系研究科長及び委員長に随時報告するものとする。
2
生殖細胞の作成を行う場合は,前項の報告に加え,少なくとも毎年1回,生殖細胞の作成状況を記載した報告書を作成し,使用部局の長に提出するものとする。
(使用の終了)
第16条
使用責任者は,ヒトES細胞の使用を終了したときは,速やかに,使用の結果を記載したヒトES細胞使用終了報告書(別紙様式第10号)を作成し,医学系研究科長に提出するものとする。
2
医学系研究科長は,前項の報告書の提出を受けたときは,速やかに,その写しを委員長及び文部科学大臣に提出するものとする。
(分配の要件)
第17条
使用部局は,分配機関へのヒトES細胞の寄託のほか,他の使用機関,臨床利用機関又は海外機関に対してヒトES細胞を分配することができるものとする。
2
使用部局からの臨床利用機関に対するヒトES細胞の分配は,当該ヒトES細胞が分配機関から分配を受けたものでない場合であって,契約その他の方法により,次に掲げる要件を満たす場合に限り,行うことができるものとする。
一
ヒトES細胞を使用して作成した胚の人又は動物の胎内への移植その他の方法による個体の生成,ヒト胚及び人の胎児へのヒトES細胞の導入並びにヒトES細胞から生殖細胞の作成を行わないこと。
二
分配を受けたヒトES細胞を,他の機関に対して分配又は譲渡をしないこと。
三
ヒトES細胞の使用に関する教育研修計画が定められていること。
四
個人情報の保護のための十分な措置が講じられていること。
五
作成した分化細胞を譲渡する場合には,当該分化細胞がヒトES細胞に由来するものであることを譲渡先に通知すること。
六
前各号に掲げる要件に反することとなった場合においては,直ちにヒトES細胞の使用を終了すること。
3
使用部局による海外機関へのヒトES細胞の分配は,分配先との契約その他の方法により,次に掲げる要件を満たす場合に限り,行うことができるものとする。
一
分配をするヒトES細胞の使用が,当該海外機関が存する国又は地域の制度等に基づき承認されたものであること。
二
ヒトES細胞の取扱いについて,当該海外機関が存する国又は地域の制度等を遵守すること。
三
分配を受けたヒトES細胞を,他の機関に対して分配しないこと。
四
ヒトES細胞を使用して作成した胚の人又は動物の胎内への移植その他の方法による個体の生成,ヒト胚及びヒトの胎児へのヒトES細胞の導入並びにヒトES細胞から作成した生殖細胞を用いたヒト胚の作成を行わないこと。
五
基礎的研究及び医療目的以外の利用を行わないこと。
六
人クローン胚を用いて樹立されたヒトES細胞を分配しようとする場合,個人情報の保護のための十分な措置が講じられていること。
七
前各号に掲げる要件に反することとなった場合においては,直ちにヒトES細胞の使用を終了すること。
4
使用責任者は,臨床利用機関又は海外機関に対してヒトES細胞を分配したときは,分配の状況を記載した報告書を作成し,使用部局の長に提出するものとする
5
医学系研究科長は,前項の報告書の提出を受けたときは,速やかに,その写しを委員長及び文部科学大臣に提出するものとする。
(分化細胞の取扱い)
第18条
使用部局は,作成した分化細胞を譲渡する場合には,当該分化細胞がヒトES細胞に由来するものであることを譲渡先に通知するものとする。
2
生殖細胞の作成を行う使用部局は,作成した生殖細胞を譲渡する場合には,前項の通知を行うほか,当該生殖細胞の取扱いについて,譲渡先との契約その他の方法により,次に掲げる事項が確保されることを確認しなければならない。
一
生殖細胞は,次のいずれかに資する基礎的研究に用いられること。
イ
ヒトの発生,分化及び再生機能の解明
ロ
新しい診断法,予防法若しくは治療法の開発又は医薬品等の開発
二
生殖細胞を用いてヒト胚を作成しないこと。
三
生殖細胞を他の機関に譲渡しないこと。
四
生殖細胞を譲渡した使用部局が,前各号に掲げる生殖細胞の取扱いの状況について,必要に応じ,譲渡先から報告を求めることができること。
3
使用部局が前項の規定に基づき生殖細胞を譲渡しようとするときは,使用責任者は,あらかじめ,医学系研究科長の了承を求めるものとする。
4
使用部局の長は,前項の了承をするに当たっては,作成した生殖細胞の譲渡が第2項の規定に適合していることを確認するものとする。
5
医学系研究科長は,第3項の了承をしたときは,速やかに,その旨を委員長及び文部科学大臣に報告するものとする。
6
生殖細胞の作成を行う使用部局が,使用の終了後に引き続き当該生殖細胞を取扱う場合は,第2項第1号から第3号に掲げる事項を確保するものとする。
第19条
この規程に定めるもののほか,必要な事項は医学系研究科教授会の意見を聴いて,研究科長が定める。
附 則
この規程は,平成19年5月16日から施行する。
附 則(平成19年10月16日)
この規程は,平成19年10月16日から施行し,平成19年8月1日から適用する。
附 則(平成20年3月19日)
この規程は,平成20年3月19日から施行する。
附 則(平成22年2月17日)
この規程は,平成22年2月17日から施行する。
附 則(平成23年7月20日)
この規程は,平成23年7月20日から施行する。
附 則(平成27年4月1日)
この規程は,平成27年4月1日から施行する。
附 則(平成28年9月14日)
この規程は,平成28年9月14日から施行し,平成28年4月1日から適用する。
附 則(令和元年9月10日岐阜大学医学部規則第100号)
この規程は,令和元年9月10日から施行し,令和元年7月1日から適用する。
附 則(令和2年3月30日規程第61号)
この規程は,令和2年4月1日から施行する。