○国立大学法人琉球大学臨床研究に係る利益相反マネジメントポリシー
(平成21年9月16日役員会決定)
国立大学法人琉球大学(以下「本学」という。)における臨床研究に係る利益相反マネジメントポリシー(以下「本ポリシー」という。)をここに定める。
 本ポリシーの対象者である臨床研究に関係する研究者等は、本学の役職員全体に広く適用される「国立大学法人琉球大学利益相反マネジメントポリシー」及び本ポリシーの双方を遵守することが求められる。
1 目的
臨床研究は、「ヒトを対象とする医学研究においては、被験者の福利に対する配慮が科学的及び社会的利益よりも優先されなければならない。」という、ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則であるヘルシンキ宣言に基づき行われてきた。これまでの開かれた正当な臨床研究が、国民の健康維持に多大な貢献をしてきたことは紛れもない事実である。
本学における臨床研究の実施については、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」、「臨床研究に関する倫理指針」、「遺伝子治療臨床研究に関する指針」、「疫学研究に関する倫理指針」、「ヒトゲノム遺伝子解析研究に関する倫理指針」及び本学倫理規程等に則り、その倫理性、科学性等が審査され運営されてきた。しかしこれらの指針等は利益相反についての明らかな指針となるものではない。
本ポリシーは、本学における臨床研究の実施に当たり、臨床研究実施者及び関係者並びに被験者及び企業等との関係で生じる利益相反の存在を明らかにし、社会の理解と信頼を得て、透明性の高い臨床研究を適正に推進することを目的とする。
2 適用
本ポリシーは、ヒトを直接対象とした本学の臨床研究実施者及び関係者に適用する。臨床研究実施者とは、主任研究者及び分担研究者をいい、関係者とは臨床研究実施者の所属長及び産学連携関係者をいう。
3 臨床研究に係る利益相反と責務相反
臨床研究は極めて倫理性と専門性が高く、ヒトを対象とする特殊な研究であり、一般的な利益相反とはやや性格を異にする側面を有する。
臨床研究における利益相反は、被験者の生命の安全確保、人権擁護に関わる重要なものであり、被験者の希望する最善の治療を提供する医療関係者としての責務が加わる。
そのため、適正な利益相反マネジメントのもとに、臨床研究が透明性、信頼性、高度な専門性を担保として実施されていることが求められる。
4 臨床研究に係る利益相反マネジメントの基本的な考え方
本学では、ヒトを対象とする臨床研究の特性を考慮し、臨床研究の透明性、信頼性を担保するため、下記の取組を行う。
(1) 臨床研究を実施する際には、臨床研究実施者等は、臨床研究実施前に、研究実施計画書と同時に利益相反に関する自己申告書を提出する。
(2) 透明性の高い臨床研究を適正に推進するため、各倫理審査委員会及び治験審査委員会とは独立した臨床研究に係る利益相反マネジメントの委員会(以下、「本委員会」という。)を設置し、本委員会に外部の者を参加させる。なお、本委員会は全学的な利益相反委員会と密接な情報交換を行い、大学として一貫性のある利益相反マネジメントを行う。
(3) 本委員会は、臨床研究実施者等からの利益相反に関する自己申告に基づき利益相反マネジメントを行い、利益相反状況について要約書又は意見書を作成し、倫理審査委員会等に報告する。倫理審査委員会等はこの報告を含め、インフォームドコンセントを含む研究計画について総合的な判断を行う。
(4) 利益相反に関する情報開示の対象は、概ね次のものとする。
1) 企業・団体からの収入(給与、謝金等)
2) 産学官連携活動に係る受入れ(共同研究、受託研究、寄附金、兼業、客員研究員・ポスドク等)
3) 産学連携活動の相手先との関係(株式、出資金等)
  なお、開示対象項目の詳細及び一定基準並びに対象者の範囲を全学的な利益相反マネジメント委員会において検討する。
5 ポリシーの見直し
臨床研究の利益相反は、国内外の経済情勢や地域社会の変化、ヒトを対象とする研究の倫理的なあり方等により、社会に対する説明が異なる。透明性の高い臨床研究を適正に推進するため、このポリシーを適宜見直すものとする。