○琉球大学における人を対象とする研究に関する倫理規則
(平成29年10月11日制定) |
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(目的)
第1条 この規則は、人を対象とする研究に関し琉球大学(以下「本学」という。)の研究者等が遵守すべき事項を定めることにより、人を対象とする研究において、個人の尊厳及び人権の尊重並びに個人情報の保護を図り、倫理的観点及び社会的かつ科学的観点から適切に研究が実施されるようにすることを目的とする。
(定義)
第2条 この規則において「人を対象とする研究」とは、観察、調査及び実験といった方法を用いて、個人又は集団を直接の対象に実施するもので、その身体、心情、行動、環境等に関する情報・データ等(以下「情報等」という。)を収集して行う研究をいう。ただし、次に掲げるものを除く。
(1) 法律の規定に基づき実施される調査
(2) 個人の尊厳及び人権の尊重並びに個人情報の保護の観点から問題がない研究
(3) 既に学術的な価値が定まり、研究用として広く利用され、かつ、一般に入手可能な情報等を利用する研究
(4) 琉球大学人を対象とする生命科学・医学系研究実施及び倫理審査規則の対象となる研究
2 この規則において「研究責任者」とは、本学に所属する教員(非常勤教員を含む。)であって、人を対象とする研究の計画及び実施について、その責任を負う者をいう。ただし、本学が受け入れた研究員、本学に所属する教員の指導の下で研究活動に従事する大学院学生又は学部学生その他の本学において研究活動を実施する者が研究実施者となる場合には、その課題について当該研究員等を指導する教員又は当該研究員の受入研究者をいう。
3 この規則において「研究実施者」とは、本学に所属する教員、本学が受け入れた研究員、本学に所属する教員の指導の下で研究活動に従事する大学院学生又は学部学生その他の本学において研究活動を実施する者であって、人を対象とする研究を計画及び実施する者(自ら研究を実施する研究責任者を含む。以下同じ。)をいう。ただし、研究の遂行上必要な場合に限り、学外の研究者等を研究実施者とすることができる。
4 この規則において「研究対象者」とは、人を対象とする研究において、個人又は集団等の情報等を提供する者をいう。
5 この規則において「代諾者」とは、研究対象者が情報等の提供に同意する能力を欠くと判断される場合に、研究対象者に代わって、その意思及び利益を代弁することができると認められる者をいう。
6 この規則において「部局」とは、国立大学法人琉球大学組織規則に定める運営推進組織及び教育研究等組織をいう。
7 この規則において「部局長」とは、前項に規定する部局の長をいう。
(学長の責務)
第3条 学長は、本学における人を対象とする研究の実施に関する業務を総括し、最終的な責任を負う。
(部局長の責務)
第4条 部局長は、当該部局に所属する研究者が、研究計画に従って適正に研究を実施するよう、必要な管理及び監督を行わなければならない。
(研究の基本)
第5条 研究責任者及び研究実施者は、琉球大学研究者倫理規範に基づき、個人の尊厳及び人権を尊重し、社会的及び科学的に妥当な方法及び手段で、研究を遂行しなければならない。
2 研究責任者及び研究実施者は、情報等の収集を行う場合は、安全かつ安心な方法で行い、研究対象者の身体的及び精神的負担を最小限にするように努めなければならない。
3 研究責任者及び研究実施者は、必要に応じて、専門家の助言の下に研究を行うものとする。
4 研究責任者及び研究実施者は、研究を実施する際には、その氏名を明示し、責任の所在を明らかにしなければならない。
5 研究責任者及び研究実施者は、研究の実施に当たっては、この規則に定めるもののほか、関連する法令等を遵守しなければならない。
6 研究責任者及び研究実施者は、研究の結果を公表するときは、研究対象者を特定することができないようにしなければならない。ただし、研究対象者又は代諾者の同意があり、第11条の委員会が認めた場合はこの限りでない。
[第11条]
7 研究責任者及び研究実施者は、人を対象とする研究を適正に実施するため、研究倫理教育を受けなければならない。
8 研究責任者は、研究実施者が第1項から前項までの規定を遵守するよう、常に研究の計画及び実施状況を把握し、研究実施者を監督するとともに、研究に係る公への説明責任を適切に果たさなければならない。
(研究対象者への説明責任)
第6条 研究実施者は、情報等を収集するときは、研究対象者、代諾者及び説明を受けるべき関係者に対して、研究目的、研究成果の発表方法、研究計画等について分かりやすく説明しなければならない。
2 前項の場合において、研究実施者は、情報等の収集が研究対象者の身体的又は精神的負担を伴うことが予見されるときは、当該負担の内容、程度等を分かりやすく説明しなければならない。
3 第1項の場合において、研究実施者は、研究対象者及び代諾者が随時不利益を受けることなく同意を撤回し研究協力を中止する権利があることを説明しなければならない。なお、撤回に応じた措置を講じることが困難となる場合がある場合は、その旨及びその理由を説明しなければならない。
4 研究実施者は、事前に研究方法等についての説明を一部行うことができない正当な理由がある場合は、研究対象者及び代諾者の了解を得るように努めなければならない。この場合においては、情報等を収集した後、速やかに全部の説明を行わなければならない。
(研究対象者の同意)
第7条 研究実施者は、情報等を収集するときは、原則として、あらかじめ研究対象者及び代諾者の同意を得なければならない。ただし、やむを得ない事情がある場合で、第11条の委員会が認めるときは、情報等の収集後に同意を得ることとする。
[第11条]
2 前項の同意の内容には、情報等の取扱い及び研究成果の発表の方法等に関する事項を含むものとする。
(第三者への収集の委託)
第8条 研究実施者は、第三者に委託して情報等を収集する場合は、受託者がこの規則において研究実施者の果たすべき措置を適切に講ずるよう、必要な契約を締結しなければならない。
2 研究実施者は、必要がある場合は、情報等の収集を第三者に委託する旨を研究対象者及び代諾者に説明しなければならない。
(外部からの情報等の入手)
第9条 研究実施者は、本学以外に所属する者から情報等を入手する場合は、関係法令等に違反して作成されたものでないことを確認しなければならない。
(情報等の管理)
第10条 研究で扱う情報等に個人情報が含まれる場合には、国立大学法人琉球大学の保有する個人情報の適切な管理のための措置に関する規則に従って情報等を管理するものとする。
2 情報等の利用は、研究対象者及び代諾者の同意を得た利用目的以外の目的のために利用してはならない。ただし、同意を得ることができない場合には、第11条の委員会の承認を得なければならない。
[第11条]
3 研究実施者が、情報等を本学以外に所属する者に提供する場合は、研究対象者及び代諾者の同意を得なければならない。ただし、同意を得ることができない場合には、第11条の委員会の承認を得なければならない。
[第11条]
4 研究実施者は、研究対象者から個人情報の開示を求められたときは、原則としてこれを開示しなければならない。
5 研究実施者は、同意書を含む研究により得た情報等について、次の各号に掲げるとおり保存するものとする。
(1) 研究成果を公表した場合は、研究成果公表後、原則として資料については10年間、試料については5年間保存することとし、当該研究分野の特性に応じ保存期間を延長することができることとする。なお、同一の資料及び試料で複数の成果を公表した場合は、最新の公表日を保存期間の起算日とする。
(2) 研究成果を公表しなかった場合は、研究終了後、資料及び試料を5年間保存することとする。
6 研究実施者は、研究対象者及び代諾者が同意を撤回したときは、原則として当該情報等を廃棄しなければならない。
7 研究実施者が、情報等の加工、分析又は廃棄を第三者に委託する場合は、受託者がこの規則において研究実施者の果たすべき措置を適切に講ずるよう、必要な契約を締結しなければならない。
(倫理審査委員会の設置)
第11条 本学に、人を対象とする研究倫理審査委員会(以下「委員会」という。)を置く。
(任務)
第12条 委員会は、本学における人を対象とする研究の実施又は研究計画の変更の適否等について、第1条に定める目的を達成するため、この規則及び琉球大学研究者倫理規範に基づいて、倫理的観点及び社会的かつ科学的観点から審査を行う。
[第1条] [琉球大学研究者倫理規範]
2 委員会は、研究について、研究計画の変更、中止等が必要であると判断する場合には、学長に対して意見を述べることができる。
3 学長に対する第1項の審査結果の報告及び第2項の意見は、書面により行うものとする。
(組織)
第13条 委員会は、次に掲げる委員をもって組織する。ただし、第1号の委員は、第2号の委員を兼ねることができる。
(1) 学長が指名する本学の教員 4名以上
(2) 法律の専門家及び倫理の専門家 各1名以上
(3) 一般の立場の者 2名以上
2 委員のうち3名以上は、本学に所属しない者(以下「学外委員」という。)とする。ただし、その確保が困難な場合には、学外委員を少なくとも複数とする。
3 委員会は、男女両性で構成するものとする。
4 委員は、学長が任命し、又は委嘱する。
(任期)
第14条 委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、委員に欠員が生じた場合の後任の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(委員長及び副委員長)
第15条 委員会に委員長を置き、委員の互選により選出する。
2 委員会に副委員長を置き、委員長が指名する者とする。
3 委員長は、委員会を招集し、その議長となる。委員長に事故があるときは、副委員長がその職務を代行する。
(レビューアー)
第16条 委員会は、専門の事項を調査・検討するため、レビューアーを置くことができる。
2 委員長は、当該専門の事項に関する学識経験者のうちからレビューアーを指名する。
3 レビューアーは、調査・検討を終えたときは、その結果を委員会に報告するものとする。
4 レビューアーは、職務上知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(議事)
第17条 委員会は、委員の過半数が出席し、かつ学外委員が1名以上出席しなければ会議を開くことができない。
2 委員会は、出席委員全員の合意により、次の各号のいずれかに該当する判定を行う。
(1) 承認
(2) 条件付承認
(3) 不承認
(4) 変更の勧告
(5) 中止の勧告
(6) 非該当
3 委員は、自己の申請に係る審査に参加することができない。ただし、当該研究計画の科学的見解等について説明することはできるものとする。
4 委員会が必要と認めた場合は、委員会に委員以外の者の出席を求め、説明させ、又は意見を聴くことができる。
(組織に関する事項及び議事要旨の公開)
第18条 委員会は、委員会の構成並びに議事の内容を公開するものとする。ただし、公開することによって、研究対象者の人権、研究の独創性又は知的財産権の保護に支障が生ずるおそれがある部分は非公開とすることができる。
2 前項の規定による公開は、琉球大学公式ホームページに掲載すること等により行うものとする。
(秘密を守る義務)
第19条 委員は、職務上知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(委員会の庶務)
第20条 委員会の庶務は、総合企画戦略部研究推進課において処理する。
(審査の申請)
第21条 研究責任者は、人を対象とする研究を実施しようとするとき又は既に承認された研究について研究計画を変更しようとするときは、あらかじめ、人を対象とする研究倫理審査申請書(別紙様式第1号)により、所属する部局長を通じて、委員会に承認を得なければならない。ただし、第11条に規定する委員会が認めた場合はこの限りでない。
[第11条]
(迅速審査手続)
第22条 委員長は、次に掲げる事項については、指名した委員又はレビューアー(以下「迅速審査委員」という。)により構成される委員会(以下「迅速審査小委員会」という。)に審査(以下「迅速審査」という。)を行わせることができるものとする。
(1) 研究計画の軽微な変更の適否
(2) 既に委員会において承認されている研究計画に準じて類型化されている研究の実施の適否
(3) 共同研究であって、主たる共同研究機関において実施について承認を受けた研究計画に基づく研究の実施の適否
(4) 前各号に掲げるもののほか、個人の尊厳及び人権の尊重並びに個人情報の保護の観点から適当と認められる研究の実施の適否
2 迅速審査小委員会は、審査結果について、迅速審査委員以外の委員に報告するものとする。
3 前項の規定により報告を受けた委員は、委員長に対し、理由を付した上で、当該事項について委員会において改めて審査することを求めることができる。この場合において、委員長は、委員の請求が適当であると認めたときは、速やかに委員会を招集し、当該事項について審査を行わなければならない。
(研究実施の適否等の決定)
第23条 学長は、委員会の審査結果を踏まえて、速やかに当該人を対象とした研究の実施等の適否を決定し、人を対象とした研究倫理審査結果通知書(別紙様式第2号)により、部局長を通じて、研究責任者に通知しなければならない。
(異議の申立)
第24条 研究責任者は、前条の規定による決定に対して異議がある場合には、1回に限り、同条の規定による通知があった日から14日以内に、部局長を通じて、学長に対し再度の審査を申請することができる。この場合において、申請書類には異議を申し立てる文書及び異議の根拠となる資料を添付するものとする。
2 学長は、前項の規定による再審査の申請があったときは、速やかに委員会に諮問するものとする。
3 委員長は、前項の規定による諮問があった場合は、速やかに委員会を招集し、審査を行うものとする。この場合においては、必要に応じて、レビューアー(当該事項についてレビューアーを務めていた者を含む。)を指名して調査・検討を行わせるものとする。
4 委員会は、再審査の判定結果を書面により速やかに学長に答申するものとする。
5 学長は、前項の答申を踏まえて、研究の実施等の適否を決定し、人を対象とした研究倫理審査結果通知書(別紙様式第2号)により、部局長を通じて、研究責任者に通知しなければならない。
(終了報告及びみなし終了)
第25条 研究責任者は、人を対象とする研究の終了後遅滞なく、部局長を通じて、人を対象とする研究実施状況・終了報告書(別紙様式第3号)により、研究結果の概要を委員会に報告しなければならない。
2 研究責任者が退職した場合は、その退職日をもって当該研究が終了したものとみなす。
(状況報告)
第26条 研究責任者は、研究期間が5年を越える場合には、人を対象とする研究実施状況・終了報告書(別紙様式第3号)を、部局長を通じて委員会に提出しなければならない。
2 前項の報告書の提出時期は、委員会が承認した人を対象とする研究計画書に記載した時期とする。
3 研究責任者は、研究対象者に危険又は不利益が生じたときは、直ちに部局長を通じて委員会に報告しなければならない。
4 委員会は、研究責任者から第1項又は前項の規定により報告を受けたときは、学長に対し、当該研究計画の変更又は研究の中止の決定その他の必要な措置を講ずるよう意見を述べることができる。
5 前項に規定する場合において、学長は、委員会の意見を踏まえて、当該研究計画の変更又は研究の中止の決定その他の必要な措置を講じなければならない。
(審査記録の保存期間)
第27条 審査に関する書類の保存期間は、法令等に定めがある場合を除き、5年とする。
2 保存期間は、当該研究が終了した日の属する年度の翌年度の4月1日から起算する。
3 保存期間が満了した書類について、さらに保存する必要があると認めるときは、保存期間を延長することができる。
(教育の実施)
第28条 学長は、研究責任者及び研究実施者に対し、研究を実施する前に、この規則のほか、研究における倫理面に関する国内外の関連法令等必要と認める事項について教育を行わなければならない。
(個人情報に関する事項の公表)
第29条 学長は、人を対象とする研究に係る保有個人情報に関し、次に掲げる事項について、研究対象者及び代諾者が容易に知り得る状態(研究対象者の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む。)に置かなければならない。
(1) 当該研究を行う機関の名称
(2) 利用目的
(3) 利用目的の通知、内容の訂正、追加又は削除、利用の停止又は消去、第三者への提供の停止等に関し、研究対象者等からの求めに応じる手続
(4) 取扱いに関する苦情の申出先
(開示の求め及び苦情等の窓口)
第30条 学長は、研究対象者及び代諾者からの開示の求め、苦情等に適切に対応するため、窓口を設置する。
2 前項の窓口は、総合企画戦略部研究推進課とする。
(盗難及び紛失時の措置)
第31条 人を対象とする研究により収集された情報等の盗難又は紛失を発見した者は、直ちに、部局長を通じて、学長及び研究責任者に報告しなければならない。
2 前項の規定による報告を受けた学長及び研究責任者は、直ちに必要な措置を講じなければならない。必要なときは、委員会又は委員会の指名する関係者の協力を求めることができる。
(事故及び災害時の措置)
第32条 研究責任者及び研究実施者は、研究対象者の研究参加に際して、事故若しくは災害の発生又はそのおそれのあるときは、直ちに、適切な措置を講じなければならない。
2 研究責任者及び研究実施者は、前項に規定する場合においては、部局長を通じて、学長に報告しなければならない。
(雑則)
第33条 この規則に定めるもののほか、人を対象とする研究の実施に関し必要な事項は、委員会の議を経て学長が別に定める。
(改廃)
第34条 この規則の改廃は、委員会の議を経て学長が行う。
附 則
1 この規則は、平成29年10月11日から施行する。
2 この規則の施行後、最初に任命される委員の任期は、第14条の規定にかかわらず、平成31年3月31日までとする。
附 則(令和2年3月13日)
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この規則は、令和2年4月1日から施行する。
附 則(令和3年4月30日)
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この規則は、令和3年4月30日から施行し、令和3年4月1日から適用する。
附 則(令和3年9月3日)
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この規則は、令和3年9月3日から施行し、令和3年4月1日から適用する。
附 則(令和3年11月18日)
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この規則は、令和3年11月18日から施行し、令和3年6月30日から適用する。
ただし、改正後の第10条第5項の規定については、令和4年4月1日から適用する。
附 則(令和6年1月12日)
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この規則は、令和6年1月12日から施行する。
附 則(令和7年3月27日)
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この規則は、令和7年3月27日から施行する。