○琉球大学病院における医療上の事故等の公表に関する方針
(平成27年2月17日制定)
改正
平成29年5月19日
令和2年7月1日
令和2年7月30日
この方針は、琉球大学病院(以下「本院」という。)において医療上の重大な事故等が発生した場合の公表に関する取り扱いについて必要な事項を定める。
1 公表の意義
本院は、次に掲げる公表の意義を正しく認識し、医療事故の防止に努めるものとする。
(1) 医療事故及びその対応等を公表することで、病院運営の透明性を高め、社会に対し事実を正しく説明する責務を果たす。
(2) 本院職員が、事故の原因や再発防止策等の情報を共有し医療安全の管理を徹底する。
(3) 医療事故等に関する情報を公表することで他の医療機関への警鐘とし、社会全体の医療安全の向上に資する。
2 公表する医療上の事故等の範囲及び方法(別表1及び2参照)
本院における医療事故等の公表については、「国立大学附属病院における医療上の事故等の公表に関する指針(国立大学附属病院長会議)」に基づき対応し、公表の判断は、医療安全管理委員会の議を経て病院長が行う。
(1) 「明らかに誤った医療行為又は管理」に起因して、患者が死亡し若しくは患者に障害が残った事例等の発生後又は濃厚な処置若しくは治療を要した事例
1) 患者死亡又は重篤で恒久的な傷害が残存したもの
  医療上の事故等又は覚知後、速やかに公表する。さらに、医療安全管理委員会及び医療安全調査委員会で事故原因等を調査した後、その概要、原因及び改善策を本院のホームページに掲載するなどにより公表する。
2) 一過性に、濃厚な処置又は治療を要したもの
  医療安全管理委員会又は医療安全調査委員会で事故原因等を調査した後、その概要、原因及び改善策を本院のホームページに掲載する等により公表する。
(2) 「明らかに誤った医療行為又は管理」は認められないが、医療行為又は管理上の問題に起因して患者が死亡し若しくは患者に傷害が残った事例又は濃厚な処置若しくは治療を要した事例(医療行為又は管理上の問題に起因すると疑われるものを含み、当該事例の発生を予期しなかったものに限る。)
  〇 医療上の事故等に関する情報の登録分析機関である日本医療機能評価機構に報告し、同機構を通じて公表する。
(3) 上記(1)及び(2)の他、医療に係る事故の発生の予防及び再発防止に資すると考えられる警鐘的な事例
  〇 医療上の事故等に関する情報の登録分析機関である日本医療機能評価機構に報告し、同機構を通じて公表する。
3 公表を判断するプロセス
セーフティーレポート等により報告された医療上の事故等については、医療安全管理委員会において医療安全調査委員会設置の必要性、検討事例が公表事例に該当するか否かの判断、公表の時期、公表の内容、公表の方法等を速やかに検討し病院長に報告する。
4 公表に当たっての留意点
公表に当たっては、次の事項に十分留意する。
(1) 患者・家族等への配慮
  公表に際しては、「独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第59号)」、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス(個人情報保護委員会、厚生労働省)」及び「国立大学附属病院における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン(国立大学附属病院長会議)」等に基づき、患者やその家族等のプライバシーや心情、社会的状況に十分配慮し、その内容から患者やその家族等が特定、識別されないように留意する。また、当該事例について、本院職員における個人情報の取り扱いにも十分配慮しなければならない。
(2) 患者・家族等からの同意
  医療上の事故等の公表に当たっては、患者・家族等の意思を踏まえ匿名化するとともに、本院のホームページ等へ掲載する場合は、下記により取り扱うものとする。
1) 原則として、患者本人及びその家族等から同意を得る。
2) 患者が死亡した場合には、原則として遺族から同意を得る。
3) 患者が意識不明の場合や患者に判断能力がない場合は、原則として家族等から同意を得る。この場合において、患者の判断能力が回復したときは、速やかに患者本人へ説明し同意を得るように努める。
4) 同意を得るに当たっては、公表することのみならず、その内容についても十分に説明しなければならない。
5) 同意の有無及び説明の内容は、診療記録に記録する。
附 則
この方針は、平成27年2月17日から施行する。
附 則(平成29年5月19日)
この方針は、平成29年5月19日から施行する。
附 則(令和2年7月1日)
この方針は、令和2年7月1日から実施し、令和2年4月1日から適用する。
附 則(令和2年7月30日)
この方針は、令和2年7月30日から実施し、令和2年4月1日から適用する。
(別表1)
患者重症度死亡又は重篤な障害残存事例
(恒久)
濃厚な処置・治療を要した事例
(一過性)
軽微な処置・治療を要した事例又は影響の認められなかった事例
原因等
1.「明らかに誤った医療行為又は管理」に起因して、患者が死亡し、若しくは患者に障害が残った事例等の発生後又は濃厚な処置若しくは治療を要した事例・発生後又は覚知後、速やかに公表・調査後にホームページ等により公表 
・調査後にホームページ等により公表
    
2.「明らかに誤った医療行為又は管理」は認められないが、医療行為又は管理上の問題に起因して、患者が死亡し若しくは患者に障害が残った事例又は濃厚な処置若しくは治療を要した事例(医療行為又は管理上の問題に起因すると疑われるものを含み、当該事例の発生を予期しなかったものに限る。)・公益社団法人日本医療機能評価機構への報告を通じて公表
3.上記1及び2の他、医療に係る事故の発生の予防及び再発防止に資すると考えられる警鐘的な事例
※ 本表の「患者重症度」と国立大学附属病院医療安全管理協議会において定めた「インシデント影響度分類(別表2)」との関係については、患者が死亡若しくは患者に障害が残った事例や、濃厚な処置若しくは治療を要した事例は、「インシデント影響度分類」の「レベル3b以上」に当たる。
(別表2)
レベル障害の継続性障害の程度障害の内容
レベル5死亡死亡(原疾患の自然経過によるものを除く)
レベル4b永続的中程度~高度永続的な障害や後遺症が残り、優位な機能障害や美容上の問題を伴う
レベル4a永続的軽度~中程度永続的な障害や後遺症が残ったが、優位な機能障害や美容上の問題を伴わない
レベル3b一過性高度濃厚な処置や治療を要した(バイタルサインの高度変化、人工呼吸器の装着、手術、入院日数の延長、外来患者の入院、骨折など)
レベル3a一過性中程度簡単な処置や治療を要した(消毒、湿布、皮膚の縫合、鎮痛剤の投与など)
レベル2一過性軽度処置や治療を行わなかった(患者観察の強化、バイタルサインの軽度変化、安全管理のための検査などの必要性は生じた)
レベル1なし患者への実害はなかった(何らかの影響を与えた可能性は否定できない)
レベル0エラーや医薬品・医療用具の不具合が見られたが、患者には実施されなかった
その他