○琉球大学における成績評価に関するガイドライン
(令和4年7月19日制定)
1 ガイドラインの趣旨
本ガイドラインは、学部・研究科・教育プログラム(以下、「各学部・研究科等」という)が各々の教育課程の特性に配慮しつつ、単位の認定に関わる試験やその他の成績評価に関する指針と成績評価及び成績分布の組織的な点検を行う際の留意事項を提示することで、各授業科目の教育水準を確保するとともに、厳格かつ客観的な成績評価を図り、もって本学の教育の質と信頼性の向上に寄与することを目的とする。
2 成績評価に関する指針
(1) 成績評価の方法
 成績評価は、各学部・研究科等及び担当教員の判断により、各学部・研究科等の教育課程の特性や学問分野の性質に応じ、シラバスに記載したすべての達成目標の達成度を測定できるよう、定期試験、小テスト、レポート、実演、学習記録及び発表・報告等、多面的に当該授業科目に適切な方法を選択又は組み合わせて行うものとする。また、試験、レポート、発表等について学習者がイメージできるように、実施回数や記載分量等の情報を具体的かつ明確に記述するとともに、複数の評価方法を採用する場合は評価方法毎の評価の重み付け(配点)を記載することが求められる。
(2) 授業科目の達成目標と学位授与方針及び教育課程編成・実施の方針との関連性
学位や学習成果の質保証のために、当該授業科目の達成目標が各教育プログラムの学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)のうちいずれの要素と関連するのかを示すとともに、授業の達成目標と琉大グローバルシティズン・カリキュラム(以下、「URGCC」とする)の学習教育目標との関連性について、「URGCC FD ガイド シラバス編」を参考に記載することが求められる。
さらに、学生の適切な履修計画等のために、教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー) に基づき、当該授業科目の教育課程全体での位置づけも示すことが望ましい。
(3) 達成目標と到達目標
 琉球大学では自主的な学修を促すため、「達成目標」と「到達目標」を次のように区別する。シラバスで示される「達成目標」は、その授業を受講することで学生が修得することを期待される知識、技能、態度などが示されたもので、より高度な自主的な学修で身につける内容も含む。成績の評語の評価の内容で示される「到達目標」は、授業を履修した人が最低限身につける内容を示す目標で、到達目標を達成していればその授業の履修を認定し単位を与えるレベルを示したものとする。
(4) 評価の基準
 評価では、学生が身に付けてほしい知識・能力・態度を到達目標として定め、その目標を学生がどの程度達成できたかで、学生の成績を判断することになるため、成績評価は絶対評価で行うことを基本とする。
 一定の定員内で学生を選抜する場合など、特定の集団内で占める位置や序列を示す必要がある際は、相対評価を用いることもできる。また、個別の学生の能力や特性の進展や学生個人の多様な側面から判断し、継続的・全体的に評価する個人内評価を用いることもできる。
 科目の特性に応じて各学部・研究科等及び当該授業の担当教員が適切にどの評価の基準を用いるか判断し、内部質保証の観点からも、各学部・研究科等で適切な基準となっているか適宜確認し、必要に応じて見直すなど、適切に対応することが求められる。
(5) 成績の評語(評価)、評点及び評価の内容
 学士課程においては国立大学法人琉球大学各学部共通細則第16条に、大学院課程においては大学院学則第41条第2項に定められているものとする。
区分標語評点(100点満点中)評価の内容
合格A90点以上到達目標を達成し、極めて優秀な成績を収めている。
B80点以上90点未満到達目標を達成し、優秀な成績を収めている。
C70点以上80点未満到達目標を達成している。
D60点以上70点未満到達目標を最低限達成している。
不合格F60点未満到達目標を達成していない。
(6) 成績評価に関する基準等の公表
 成績評価に関する基準等の公表成績評価に関する基準等はシラバスへ記載することにより、学生に明示することとする。
 シラバスの「成績評価の基準」では、達成目標についての評価の観点と評価の基準を示す。また高い評価を得るためにはどのような能力を表出させればどのように評価されるかを記載し、学生にとって学修の指針となるような記載を行うことが望ましい。
 シラバスで、「到達目標」として最低限要求される具体的なレベルを明示することもできるが、シラバスには学修成果の達成度を評価する際、教員はどこに着目するのかを記載し、具体的なレベルは、学生には授業の中で伝える、あるいは評価基準表(ルーブリック)で説明するなどが望ましい。具体的な成績評価基準の提示を行うことで、成績評価に関する教員と学生の認識をあらかじめ近づけ、透明性のある評価を確保するとともに、答案の返却、模範解答の提示などのフィードバックを通じて学生の主体的な学びが促進されることが期待される。
(7) 卒業論文、卒業研究、卒業制作等の授業科目の評価
 卒業論文、卒業研究、卒業制作等の授業科目においては、学修成果を適切に判断するための基準と方法を各学士教育プログラムで考慮した上で評価を行う。また、評価基準と評価方法はシラバスに明記することが求められる。評価に際しては、評価基準表(ルーブリック)を活用するなど、公正、厳格に行われる必要がある。
(8) 同一科目間での公平性への配慮
 同一科目間での公平性への配慮同じ授業科目を複数のクラスで開講し複数の教員が担当する場合は、担当教員間で成績評価基準及び成績評価方法に大きな差が生じないように協議し、調整することが望ましい。なお、担当教員の強みを生かし、バリエーション豊かな授業を複数組で提供するという授業も考えられるが、その場合は授業科目の共通的な達成目標、当該授業独自の特徴並びに評価基準及び評価方法等を初回の講義の際に十分に説明するなど、履修時の指導が求められる。
3 成績評価及び成績分布の組織的な点検の実施
(1) 組織的な点検
 成績評価に関する基準等に則り、各授業科目の成績評価や単位認定が厳格かつ客観的に行われているか、各学部・研究科等が実施主体となり成績評価について個々の教員の裁量に依存することがないように組織的に点検するものとする。
 極端に学生の成績評価が高いあるいは低い授業科目については、大学教育として相応しい到達目標のレベルや教員間での到達目標の達成度に関する期待水準などについて、各学部・研究科等で認識を共有し、成績評価の妥当性を確認するためにも、成績評価の分布の点検を組織的に実施する必要がある。
 なお、組織的な点検の実施方法及び実施時期等については、全学学士教育プログラム委員会あるいは全学大学院教育プログラム委員会と各学部・研究科等が連携して決定するものとし、①成績評価の分布状況、②成績評価の妥当性の事後チェック(成績評価の分布の偏り等の点検)、③GPA 制度の実施状況及び④個人指導が中心となる科目の場合は成績評価の客観性を担保するための措置等の観点から確認を行うものとする。
(2) 説明責任
 授業担当教員は学生の質問等に対して誠実に応答するとともに、各学部・研究科等は琉球大学成績評価不服申立に関する申合せに規定された成績確認及び成績不服申立の制度を適切に運用するものとする。また、成績根拠資料は、国立大学法人琉球大学法人文書管理規程第13条に規定された期間保存するものとし、必要に応じて資料を提示できるよう留意するものとする。
(3) 組織的な点検に基づく改善のプロセス
 成績評価や成績分布に関する組織的な点検の結果を踏まえ、各学部・研究科等は必要に応じて改善を行うものとする。
4 改廃
 本ガイドラインの改廃は、グローバル教育支援機構会議の議を経て、グローバル教育支援機構長が行う。
附 則
このガイドラインは、令和4年7月19日に実施する。