○琉球大学動物実験規則
(令和5年4月1日制定)
琉球大学動物実験規則(平成19年6月26日制定)を全部改正する。
目次

第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 適用範囲(第3条)
第3章 組織(第4条)
第4章 動物実験委員会(第5条-第9条)
第5章 動物実験計画審査委員会(第10条-第15条)
第6章 ワーキンググループ(第16条-第19条)
第7章 動物実験等の実施(第20条-第24条)
第8章 実験動物の飼養及び保管(第25条-第34条)
第9章 施設等(第35条-第40条)
第10章 安全管理(第41条-第43条)
第11章 教育訓練(第44条)
第12章 自己点検・評価・検証(第45条)
第13章 情報公開(第46条)
第14章 補則(第47条-第51条)
附則

(前文)
 大学等における動物実験を伴う生命科学研究は、人の健康・福祉・先端医療の開発展開のみならず、動物の健康増進等における研究分野の進展においても必要な手段である。
この規則は、「動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)」(以下「法」という。)、「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準(平成18年環境省告示第88号、最終改正:平成25年環境省告示第84号)」(以下「飼養保管基準」という。)、及び文部科学省が策定した「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針(平成18年文部科学省告示第71号)」(以下「基本指針」という)を踏まえ、日本学術会議が作成した「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン(平成18年6月)」(以下「ガイドライン」という。)を参考に、科学的観点、動物愛護の観点及び環境保全の観点並びに動物実験等を行う教職員・学生等の安全確保の観点から、実験動物の飼養及び保管に係る管理運営体制の整備、並びに動物実験等の実施方法を定めるものである。
第1章 総則
(趣旨及び基本原則)
第1条 この規則は、琉球大学(以下「本学」という。)における動物実験等及び実験動物の飼養及び保管等を適正に行うため、学長の責務、動物実験委員会の設置、動物実験計画の承認手続、実験動物の飼養及び保管等必要な事項を定めるものとする。
2 動物実験等については、法、飼養保管基準、基本指針、「動物の殺処分方法に関する指針」(平成7年総理府告示第40号、最終改正:平成19年環境省告示第105号)、その他の法令等に定めがあるもののほか、この規則の定めるところによるものとする。
3 動物実験等の実施に当たっては、法及び飼養保管基準に則し、動物実験等の原則である代替法の利用(科学上の利用の目的を達することができる範囲において、できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用することをいう。)、使用数の削減(科学上の利用の目的を達することができる範囲において、できる限りその利用に供される動物の数を少なくすること等により実験動物を適切に利用することに配慮することをいう。)及び苦痛の軽減(科学上の利用に必要な限度において、できる限り動物に苦痛を与えない方法によってしなければならないことをいう。)の3Rs(Replacement、Reduction、Refinement)に基づき、適正に実施しなければならない。
4 実験動物の飼養及び保管に当たっては、科学上の利用の目的を達することができる範囲において、動物福祉の基本理念である「5つの自由(飢え及び渇きからの解放、肉体的不快感及び苦痛からの解放、傷害及び疾病からの解放、 恐怖及び精神的苦痛からの解放、本来の行動様式に従う自由 )」に配慮して実施しなければならない。
(定義)
第2条 この規則において、次の各号に掲げる用語の定義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 動物実験等 動物を教育、試験研究又は生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供することをいう。
(2) 飼養保管施設 実験動物を恒常的に飼養若しくは保管又は動物実験等を行う施設・設備をいう。
(3) 動物実験室 実験動物に実験操作(48時間以内の一時的保管を含む。)を行う実験室をいう。
(4) 部局等 国立大学法人琉球大学組織規則第4章及び第5章に規定する運営推進組織及び教育研究等組織をいう。
(5) 施設等 飼養保管施設及び動物実験室をいう。
(6) 実験動物 動物実験等の利用に供するため、施設等で飼養又は保管している脊椎動物(施設等に導入するために輸送中のものを含む。)をいう。
(7) 動物実験計画 動物実験等の実施に関する計画をいう。
(8) 動物実験実施者 動物実験等を実施する者をいう。
(9) 動物実験責任者 動物実験実施者のうち、動物実験等の実施に関する業務を統括する者をいう。
(10) 管理者 学長の命を受け、実験動物及び施設等の管理を担当する部局等の長をいう。
(11) 実験動物管理者 実験動物に関する知識及び経験を有し、飼養保管施設において管理者を補佐し、実験動物の管理を担当する者をいう。
(12) 飼養者 実験動物管理者又は動物実験実施者の下で実験動物の飼養又は保管に従事する者をいう。
(13) 管理者等 学長、動物実験実施者、管理者、実験動物管理者、及び飼養者をいう。
(14) 指針等 基本指針及び厚生労働省又は農林水産省が示す動物実験等の実施に関する基本指針及びガイドラインをいう。
第2章 適用範囲
(適用範囲)
第3条 この規則は、本学において実施される哺乳類、鳥類及び爬虫類の生体を用いる全ての動物実験等に適用される。また、本学において実施される両生類及び魚類の生体を用いる動物実験等のうち、学内での飼養又は保管を伴う動物実験等に適用される。ただし、必要に応じて、飼養又は保管を伴わない両生類及び魚類の生体を用いる動物実験等に適用することができる。無脊椎動物を用いる動物実験等や、脊椎動物の生体を扱わない動物実験等はこの規則の適用範囲外だが、動物実験計画を提出することができる。
2 本学の教職員は、動物実験等を本学以外の機関に委託等する場合、委託先においても、指針等に基づき、適正に動物実験等が実施されることを確認しなければならない。
第3章 組織
(統轄者)
第4条 学長は、最終的な責任者として本学における動物実験等の適正な実施並びに実験動物の飼養及び保管を統轄する。
2 学長は、動物実験計画の承認、実施状況及び結果の把握とその結果に基づく改善措置、飼養保管施設の整備、並びに飼養保管施設及び動物実験室設置の承認、動物実験等に係る安全管理、教育訓練、自己点検・評価、外部の専門家による検証、情報公開、その他動物実験等の適正な実施に必要な措置に関して責務を負う。
3 学長は、前項の責務を遂行するために報告又は助言を行う組織として、 第4章に定める動物実験委員会(以下「委員会」という。)を置く。
第4章 動物実験委員会
(委員会の役割)
第5条 委員会は、学長の諮問を受け、次の事項を審議又は調査し、学長に報告又は助言する。
(1) 動物実験計画が動物実験等に関する法令、飼養保管基準、基本指針等及びこの規則に適合していることの審査に関すること。
(2) 動物実験計画の実施状況及び結果に関すること。
(3) 施設等及び実験動物の飼養保管状況に関すること。
(4) 動物実験及び実験動物の適正な取扱い並びに関係法令等に関する教育訓練の内容又は体制に関すること。
(5) 自己点検・評価、外部の専門家による検証及び情報公開に関すること。
(6) その他、動物実験等の適正な実施のための必要な事項に関すること。
(委員会の構成)
第6条 委員会は、次に掲げる委員をもって組織する。
(1) 研究担当理事
(2) 動物実験に関して優れた識見を有する、医学研究科・保健学研究科に属する教員2名以上
(3) 動物実験に関して優れた識見を有する、農学研究科に属する教員2名
(4) 動物実験に関して優れた識見を有する、理工学研究科に属する教員2名
(5) 実験動物に関して優れた識見を有する医学部附属動物実験施設専任教員
(6) 施設等を有する各部局等の長
(7) 医学部附属動物実験施設、農学部附属亜熱帯フィールド科学教育研究センターの長
(8) 総合企画戦略部長
(9) 財務部長
(10) 施設運営部長
(11) その他学長が必要と認める者 若干名
2 前項第2号から第5号及び第11号に掲げる委員は、学長が任命する。
(任期)
第7条 前条第1項第2号から第5号及び第11号に規定する委員の任期は最長で2年とし、再任を妨げない。
2 前項の委員に欠員が生じた場合の補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(委員長等)
第8条 委員会に委員長を置き、第6条第1項第1号の委員をもって充てる。
2 委員会に副委員長を置き、委員の互選により選出する。
3 委員長は、委員会を招集し、その議長となる。
4 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるとき又は欠けたときは、その職務を代行する。
(会議)
第9条 委員会は、委員の過半数の出席がなければ、会議を開くことができない。
2 委員会の議事は、出席者の合議を原則とする。
3 動物実験計画の審査に関し必要な事項は、委員会が別に定める。
第5章 動物実験計画審査委員会
(小委員会)
第10条 委員会に、動物実験計画審査委員会(以下「小委員会」という)を置く。
2 委員会は、小委員会の議決をもって、委員会の議決とすることができる。
3 小委員会の審議及び議決の内容は、委員会に報告しなければならない。
(小委員会の構成)
第11条 小委員会は、次に掲げる委員をもって組織する。
(1) 第6条第1項第2号に規定する委員
(2) 第6条第1項第3号に規定する委員
(3) 第6条第1項第4号に規定する委員
(4) 第6条第1項第5号に規定する委員
(小委員会の委員長)
第12条 小委員会に委員長を置き、前条第1号から第3号までの委員のうちから、委員の互選により選出する。
2 小委員会委員長は小委員会を招集し、その議長となる。
3 小委員会委員長に事故があるとき又は欠けたときは、あらかじめ小委員会委員長の指名する小委員会委員が職務を代理する。
(会議)
第13条 小委員会は、小委員会委員の過半数の出席がなければ、会議を開くことができない。
2 小委員会の議事は、出席者の合議を原則とする。
(小委員会の任務)
第14条 小委員会は、第5条第1項第1号に掲げる、動物実験計画が動物実験等に関する法令、飼養保管基準、基本指針等及びこの規則に適合していることの審査に関することを審議する。
(小委員会の運営及び活動に関する確認事項)
第15条 小委員会の運営及び活動に関する確認事項については、小委員会の議を経て、委員会が別に定める。
第6章 ワーキンググループ
(ワ―キンググループ)
第16条 委員会に、ワーキンググループを置く。
2 ワーキンググループの調査結果は、委員会に報告しなければならない。
3 委員会は、ワーキンググループの調査結果を基に審議を行う。
(ワーキンググループの構成及び幹事)
第17条 ワーキンググループの構成員は、第6条に定める委員から、委員会委員長が指名する。
2 ワーキンググループに幹事を置き、委員会委員長が指名する。
(ワーキンググループの任務)
第18条 ワーキンググループは、次の各号に掲げる事項を調査する。
(1) 第5条第1項第2号から第6号に定める事項に関すること。
(2) 第45条第2項に定める自己点検・評価に関すること。
2 前項の委員に欠員が生じた場合の補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(ワーキンググループの運営及び活動に関する確認事項)
第19条 ワーキンググループの運営及び活動に関する確認事項については、委員会委員長とワーキンググループの議を経て、委員会が別に定める。
第7章 動物実験等の実施
(動物実験計画の立案、審査、手続)
第20条 動物実験責任者は、動物実験等を行う場合は、動物実験等により取得されるデータの信頼性を確保する観点から、次に掲げる事項を踏まえて動物実験計画を立案し、所定の動物実験計画書を動物実験等の開始前に学長に提出することで申請し、承認を得なければならない。
(1) 研究の目的、意義及び必要性
(2) 代替法を考慮して、実験動物を適切に利用すること。
(3) 安全管理に注意を払うべき実験(物理的、化学的に危険な材料、麻薬・ 向精神薬等、病原体、遺伝子組換え動物等を用いる実験)については、関係法令等及び本学における関連する規程等に従うこと。
(4) 苦痛の軽減により動物実験等を適切に行うこと。
(5) 苦痛度の高い動物実験等、例えば、致死的な毒性試験、感染実験、放射線照射実験等を行う場合は、動物実験等を計画する段階で人道的エンドポイント(実験動物を激しい苦痛から解放するための実験を打ち切るタイミング)の設定を検討すること。
2 学長は、前項の申請があった場合、委員会の審査を経て承認又は非承認を決定し、その結果を当該動物実験責任者に通知しなければならない。
3 動物実験責任者は、承認された動物実験計画を変更して実施する場合は、所定の動物実験計画(変更・追加)承認申請書を学長に提出し、予め変更申請の承認を得なければならない。
(実験操作)
第21条 動物実験実施者は、動物実験等の実施に当たって、動物実験等に関する法令、飼養保管基準及び指針等に則するとともに、特に以下の事項を遵守しなければならない。
(1) 適切に維持管理された施設等において動物実験等を行うこと。
(2) 動物実験計画書に記載された事項及び次に掲げる事項を遵守すること。
ア 適切な麻酔薬、鎮痛薬等の利用
イ 実験の終了の時期(人道的エンドポイントを含む。)の配慮
ウ 適切な術後管理
エ 適切な安楽死の選択
(3) 安全管理に注意を払うべき実験(物理的、化学的に危険な材料、麻薬・ 向精神薬等、病原体、遺伝子組換え動物等を用いる実験)については、関係法令等及び本学における関連する規程等に従うこと。
(4) 物理的、化学的に危険な材料又は病原体等を扱う動物実験等について、安全のための適切な施設や設備を確保すること。
(5) 実験実施に先立ち必要な実験手技等の習得に努めること。
(6) 侵襲性の高い大規模な存命手術に当たっては、経験等を有する者の指導下で行うこと。
2 委員会の議事は、出席者の合議を原則とする。
(動物実験結果報告)
第22条 学長は、動物実験等の承認実験実施期間中及び終了後、動物実験責任者から所定の様式により、使用動物数、計画からの変更の有無、成果等の動物実験計画の実施の結果について報告させなければならない。
2 学長は、必要な場合は委員会の助言を受けて適正な動物実験等の実施のための改善措置を講じなければならない。
(調査)
第23条 学長は、動物実験等の適正実施について委員会に調査を付託し、委員会の議を経て動物実験実施者に対する指導や注意等の措置を執ることができる。
(承認の取消し)
第24条 学長は、この規則に違反したと認めるときは、当該動物実験計画書の承認を取り消し、動物実験等を直ちに中止させ、一定期間動物実験等の実施を禁ずることができる。
第8章 実験動物の飼養及び保管
(マニュアル(標準操作手順)の作成と周知)
第25条 管理者及び実験動物管理者は、飼養保管のマニュアルを定め、動物実験実施者及び飼養者に周知し、遵守させなければならない。
(実験動物の健康及び安全の保持)
第26条 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、飼養保管基準を遵守し、実験動物の健康及び安全の保持に努めなければならない。
(実験動物の導入)
第27条 管理者は、学外機関からの実験動物の導入に当たり、関係法令や指針等に基づき適正に管理されている機関より導入しなければならない。
2 実験動物管理者は、実験動物の導入に当たり、必要に応じて適切な検疫及び隔離飼育等を行わなければならない。
3 実験動物管理者は、実験動物の飼養環境への順化・順応を図るための必要な措置を講じなければならない。
4 管理者は、野生動物の導入に当たり、関係法令を遵守するとともに、実験動物管理者や動物実験実施者とともに安全管理のための必要な措置を講じなければならない。
(給餌・給水)
第28条 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、実験動物の種類、生理、生態、習性等に応じて、適切に給餌・給水を行わなければならない。
2 実験動物管理者は、施設の日常的な管理及び保守点検並びに定期的な巡回等により、飼養又は保管をする実験動物の数及び状態の確認が行われるようにしなければならない。
(健康管理)
第29条 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、実験目的以外の傷害や疾病を予防するため、実験動物に必要な健康管理を行わなければならない。
2 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、実験目的以外の傷害や疾病にかかった場合、実験動物に苦痛軽減のための適切な処置、治療等を行わなければならない。
(異種又は複数動物の飼育)
第30条 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、異種又は複数の実験動物を同一施設内で飼養又は保管する場合、その組み合わせを考慮した収容を行わなければならない。
(記録の保存及び報告)
第31条 管理者等は、実験動物の入手先、飼育履歴、病歴等に関する記録を整備及び保存しなければならない。
2 管理者は、年度ごとに飼養及び保管した実験動物の種類と数等について、学長に報告しなければならない。
(譲渡等の際の情報提供)
第32条 管理者等は、実験動物の譲渡に当たり、その特性、飼養及び保管の方法、感染性疾病等に関する情報を提供しなければならない。
(輸送)
第33条 管理者等は、実験動物の輸送に当たり、飼養保管基準を遵守し、実験動物の健康及び安全の確保、人への危害防止に努めなければならない
2 法令遵守を要する動物の輸送では、関連法令を遵守し、逸出防止や危害防止のために定められた方法で行わなければならない。
(野生動物を捕獲して実験動物とした場合の放逐)
第34条 野外で捕獲し、施設等において実験動物として飼養又は保管する野生動物については、法令遵守上の問題がない場合に限り、捕獲個体を実験終了後に捕獲場所にて放逐することができる。
2 飼養保管施設における繁殖、生産等で新たに得た個体については、法令等による許可がない限り、野外への放逐を認めない。
3 放逐は、動物実験計画書の承認を得た上で適切に実施しなければならない。
第9章 施設等
(飼養保管施設の設置)
第35条 飼養保管施設を設置(変更を含む。)する場合、管理者が所定の「飼養保管施設設置承認申請書」を提出し、学長の承認を得るものとする。
2 飼養保管施設の設置を検討する管理者は、その申請に先立ち、施設等設置の可否及び設置要件の適合性に関して委員会の予備審査を受けなければならない。
3 委員会は、予備審査の依頼に対して、書面審査や実地調査を適宜実施し、学内における承認済み飼養保管施設の紹介、施設等設置要件の適合性に関わる助言及び指導等を行わなければならない。
4 学長は、申請された飼養保管施設を委員会に調査させ、その助言により承認又は非承認を決定し、その結果を当該管理者に通知しなければならない。
5 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、学長の承認を得た飼養保管施設でなければ、実験動物の飼養若しくは保管又は動物実験等を行うことができない。
6 学長は、実験動物の飼養及び保管の状況について管理者から報告させ、必要な場合は委員会の助言を受けて改善を指示しなければならない。
(飼養保管施設の要件)
第36条 飼養保管施設は、次の要件に十分に配慮して設置しなければならない。
(1) 適切な温度、湿度、換気、明るさ等を保つことができる構造等とすること。
(2) 実験動物の種類や生理、生態、習性等及び飼養又は保管する数に応じた飼育設備を有すること。
(3) 床や内壁などの清掃、消毒等が容易な構造で、器材の洗浄や消毒等を行う衛生設備を有すること。
(4) 実験動物が逸出しない構造及び強度を有すること。
(5) 臭気、騒音、廃棄物等による周辺環境への悪影響を防止する措置がとられていること。
(6) 実験動物管理者を配置すること。
(動物実験室の設置)
第37条 飼養保管施設以外において、実験室を設置(変更を含む。)する場合は、管理者が所定の「動物実験室設置承認申請書」を提出し、学長の承認を得るものとする。
2 動物実験室の設置を検討する管理者は、その申請に先立ち、実験室設置の可否及び設置要件の適合性に関して委員会の予備審査を受けなければならない。
3 委員会は、予備審査の依頼に対して、書面審査や実地調査を適宜実施し、学内における承認済み実験室の紹介、施設等設置要件の適合性に関わる助言及び指導等を行わなければならない。
4 学長は、申請された動物実験室を委員会に調査させ、その助言により、承認又は非承認を決定し、その結果を当該管理者に通知しなければならない。
5 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、学長の承認を得た実験室でなければ、当該実験室での動物実験等(48時間以内の一時的保管を含む。)を行うことができない。
(動物実験室の要件)
第38条 動物実験室は、次の要件に十分に配慮して設置しなければならない。
(1) 実験動物が逸出しない構造及び強度を有し、実験動物が室内で逸出しても捕獲しやすい環境が維持されていること。
(2) 排泄物や血液等による汚染に対して清掃や消毒が容易な構造であること。
(3) 常に清潔な状態を保ち、臭気、騒音、廃棄物等による周辺環境への悪影響を防止する措置がとられていること。
(施設等の維持管理及び改善)
第39条 管理者は、実験動物の適正な管理並びに動物実験等の遂行に必要な施設等の維持管理及び改善に努めなければならない。
2 管理者は、実験動物の種類、生理、生態、習性等を考慮した飼養又は保管を行うための環境の確保を行わなければならない。
3 学長は、第4条第2項に基づき、管理者による施設等の維持管理及び改善を統括しなければならない。
4 委員会は、第45条第2項に基づき、毎年の自己点検・評価によって施設等の維持管理及び改善のための報告を学長に行わなければならない。また、必要に応じて、設置後の施設等の実地調査を実施しなければならない。
(施設等の廃止)
第40条 学長は、管理者から所定の「施設等廃止届」の届出があった場合、委員会による施設等の調査を経て廃止を承認することができる。
2 施設等の廃止を検討する管理者は、必要に応じて、動物実験責任者や委員会と協力し、飼養又は保管中の実験動物を他の飼養保管施設への移動や譲渡を行うよう努めなければならない。
3 委員会は、前項の譲渡が適切に行われることを確認しなければならない。
第10章 安全管理
(危害防止)
第41条 管理者は、実験動物の逸出防止策や、逸出した実験動物の捕獲の方法(逸出時対応マニュアル)等をあらかじめ定めなければならない。
2 管理者は、人に危害を加える等のおそれのある実験動物が施設等外に逸出した場合には、速やかに関係機関へ連絡しなければならない。
3 管理者は、実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者の、実験動物由来の感染症やアレルギー疾患等の罹患、実験動物による咬傷等に対して、予防及び発生時に必要な措置を講じなければならない。
4 管理者は、毒へび等の有毒動物の飼養又は保管をする場合は、人への危害の発生の防止のため、飼養保管基準に基づき必要な措置を講じなければならない。
5 管理者等は、人に危害を加える等のおそれがある実験動物について、名札、脚環、マイクロチップ等の装着等の識別措置を技術的に可能な範囲で講ずるように努めなければならない。
6 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、相互に実験動物による危害の発生の防止に必要な情報の提供等を行うよう努めなければならない。
7 管理者等は、実験動物の飼養及び保管並びに動物実験等の実施に関係のない者が実験動物等に接することのないよう、必要な措置を講じなければならない。
(緊急時の対応)
第42条 管理者は、地震、火災、人と動物の共通感染症の発生時等の緊急時に執るべき措置の計画(緊急時対応マニュアル等)をあらかじめ作成し、関係者に対して周知を図らなければならない。
2 管理者等は、緊急事態発生時において、実験動物の保護、実験動物の逸出による人への危害、環境保全上の問題等の発生の防止に努めなければならない。
(人と動物の共通感染症の対応)
第43条 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、人と動物の共通感染症に関する十分な知識の習得及び情報の収集に努めなければならない。
2 管理者、実験動物管理者及び動物実験実施者は、人と動物の共通感染症の発生時において必要な措置を迅速に講じることができるよう、公衆衛生機関等との連絡体制の整備に努めなければならない。
第11章 教育訓練
(教育訓練)
第44条 学長は、実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者に、次の各号に関する所定の教育訓練を受講させなければならない。
(1) 動物実験等に関する法令、指針等及び本学の定める規程等
(2) 動物実験等の方法に関する基本的事項
(3) 実験動物の飼養又は保管に関する基本的事項
(4) 安全確保、安全管理に関する事項
(5) 人と動物の共通感染症に関する事項
(6) その他、適切な動物実験等の実施に関する事項
2 学長は、教育訓練の実施日、教育内容、講師及び受講者名の記録を保存しなければならない。
3 学長は、実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者の別に応じて必要な教育訓練が確保されるよう努めなければならない。
第12章 自己点検・評価・検証
(自己点検・評価及び検証)
第45条 学長は、委員会に、動物実験等の実施状況等、飼養保管状況、基本指針への適合性並びに飼養保管基準の遵守状況、及び施設等の維持管理状況に関し、毎年、自己点検・評価を行わせなければならない。
2 委員会は、前項の自己点検・評価を行い、その結果を学長に報告しなければならない。
3 委員会は、管理者、実験動物管理者、動物実験責任者及び飼養者に、自己点検・評価のための資料を提出させることができる。
4 学長は、自己点検・評価の結果について、外部の専門家による検証を定期的に実施しなければならない。
第13章 情報公開
(情報の公表)
第46条 学長は、本学における動物実験等に関する情報(動物実験等に関する規則等、実験動物の飼養又は保管状況、自己点検・評価、外部の専門家等による検証の結果、動物実験委員会の構成等の情報)を毎年1回程度公表しなければならない。
第14章 補則
(準用)
第47条 本学の教職員及び学生は、法に定める愛護動物以外の動物を動物実験等に供する場合においても、飼養保管基準及び指針等の趣旨に沿って行なうよう努めなければならない。
(適用除外)
第48条 教育学部附属小学校・中学校における初等中等教育を目的とした動物の飼養又は保管及び動物実験等については、この規則を適用しない。ただし、侵襲措置や致死的処置を施して教育を行う場合は、この規則の適用を受ける。
2 教育学部附属小学校・中学校における動物の取扱いについては、「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準(平成19年環境省告示104号)」に準じて行うものとする。
(庶務)
第49条 委員会、小委員会及びワーキンググループに関する庶務は、総合企画戦略部研究推進課(以下「担当課」という。)が行う。
2 担当課は、委員会及び小委員会の開催に関する議事録等の作成及び保存等を行う。
(雑則)
第50条 この規則に定めるもののほか、必要な事項は、学長が別に定める。
(改廃)
第51条 この規則の改廃は、委員会の議を経て学長が行う。
附 則
この規則は、令和5年4月1日から施行する。ただし、第3条第1項のうち両生類及び魚類に関する改正については、令和6年4月1日から適用する。