○山口県立大学における研究活動の不正行為の防止等に関する規程
(平成19年4月1日規程第4-61号)
改正
平成22年4月1日
平成24年4月1日
平成27年3月20日
平成27年7月22日
平成27年10月1日
平成28年4月1日
平成28年4月1日
平成28年10月1日
平成30年4月1日
令和元年9月1日
令和2年4月1日
令和4年8月4日
令和6年4月1日
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この規程は、研究活動における不正行為を防止するため、公立大学法人山口県立大学(以下「本学」という。)において研究者が研究活動を行うに際し遵守すべき事項及び当該事項に違反する行為の有無に係る調査等について必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この規程において「研究者」とは、本学において研究活動に従事する職員及び学生をいう。
2 この規程において「研究活動」とは、研究計画の立案及び実施並びに成果の発表及び評価の過程における行為及びそれに付随する全ての事項を含むものとする。
3 この規程において、「不正行為」とは、故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによる捏造、改ざん、盗用など、次に掲げる行為をいう。
(1) 捏造(存在しないデータ、研究成果等を作成することをいう。)
(2) 改ざん(研究資料、機器、過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工することをいう。)
(3) 盗用(他の研究者のアイデア、分析・解析方法、データ、研究成果、論文又は用語を、当該研究者の了解若しくは適切な表現なく流用することをいう。)
(4) 研究成果の重複発表(同一内容とみなされる原著論文を複数作成して異なる雑誌等に発表することをいう。)
(5) 不適切なオーサーシップ(研究論文の著者リストにおいて、著者としての資格を有しないものを著者として含め、若しくは著者として資格を有する者を除外するなどの行為をいう。)
(6) 研究費の不正使用(虚偽の請求によって資金を引き出し、他の目的に流用するなど、法令等に違反して経費を使用すること。)
(7) 前各号に掲げる行為の証拠隠滅又は調査の妨害(追試又は再現を行うために不可欠な実験記録等の資料の隠蔽、廃棄及び未整備を含む。)
(8) その他、前各号に掲げる以外の研究活動上の不適切な行為であって、科学者の行動規範及び社会通念に照らして研究者倫理からの逸脱の程度が甚だしいもの。
(遵守事項)
第3条 研究者は、研究費が公的資金によるものであり機関による管理が必要であるとの認識のもとに、健全な研究活動を保持し、かつ、研究活動における不正が起こらない研究環境を個人又は組織として形成するため、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 不正行為をしないこと。
(2) 不正行為に荷担しないこと。
(3) 第三者に対して不正行為をさせないこと。
(4) 研究者倫理及び研究活動に係る法令等に関する研修を受講すること。
(5) 研究者等は、研究活動の正当性の証明手段を確保するとともに、第三者による検証可能性を担保するため、関係書類、研究ノート、実験試料その他の研究資料等を10年間、適切に保存・管理し、開示の必要性及び相当性が認められる場合には、これを開示すること。
第2章 不正防止のための体制
(総括責任者)
第4条 学長は、研究倫理の向上及び不正行為の防止等に関し、大学全体を総括する権限と責任を有する者として、公正な研究活動を推進するために適切な措置を講じるものとする。
(部局責任者)
第5条 部局の長は、当該部局における研究倫理の向上及び不正行為の防止等に関する責任者として、公正な研究活動を推進するための適切な措置を講じるものとする。
(研究倫理教育責任者)
第6条 学長は、部局等における研究倫理教育について実質的な責任と権限を持つ者として、研究倫理教育責任者を置き、学部長等を充てるものとする。
2 研究倫理教育責任者は当該部局に所属する研究者ならびに研究支援を行う職員に対し、研究者倫理に関する教育を定期的に行わなければならない。
(不正行為の防止等に関わる委員会)
第7条 学長は、研究・地域連携本部において、不正行為防止の推進を図るものとする。
第3章 告発の受付
(告発)
第8条 何人も、不正行為の疑いがあると思料するときは、学長に告発を行うことができる。
また、研究活動上の不正行為の疑いがあると思料する者で、告発の是非や手続について疑問がある者は、告発窓口に対して相談をすることができる。
2 告発は、原則として顕名により行い、不正行為を行ったとする研究者・グループ(以下「調査対象者」という。)、不正行為の態様等、事案の内容を明示し、かつ、不正行為が存在する根拠を示すものとする。ただし、告発者は、その後の手続きにおける氏名の秘匿を希望することができる。
3 匿名による告発があった場合、告発の内容に応じ、第1項の告発があった場合と同様に取り扱うものとする。
4 告発の意思を明示しない相談については、その内容に応じ、告発に準じてその内容を確認・精査し、相当の理由があると認めた場合は、相談者に対して告発の意思があるか否かを確認する。
5 本学に他の大学等研究機関から告発が回付された場合は、当該告発を本学に告発があったものとして取り扱う。
6 告発があった場合に、他にも調査を行う大学等研究機関の必要性を認めるときは、該当する機関等に当該告発について通知する。
7 次条第1項に定める告発窓口(以下この条、第10条、第13条、第15条、第23条から第25条までにおいて「告発窓口」という。)の責任者は、告発を受理したときは、直ちに学長に報告し、学長は、当該告発に関係する部局の長等に、その内容を通知するものとする。
8 不正が行われようとしている、あるいは不正行為を求められているという告発・相談については、その内容を確認・精査し、相当の理由があると認めたときは、被告発者に警告を行うものとする。
9 告発窓口の責任者は、告発が郵便による場合など、当該告発が受付られたかどうかについて告発者が知り得ない場合には、告発が匿名による場合を除き、告発者に受け付けた旨を通知するものとする。
10 報道、学会その他の研究コミュニティ又は会計検査院等の外部機関により不正が指摘された場合は、第1項の告発があった場合と同様に取り扱うものとする。
11 特定不正行為の疑いがインターネット上に掲載されている(特定不正行為を行ったとする研究者・グループ、特定不正行為の態様等、事案の内容が明示され、かつ不正とする科学的な合理性のある理由が示されている場合に限る。)ことを確認した場合は、第1項の告発があった場合と同様に取り扱うものとする。
(窓口)
第9条 前条に規定する不正行為に関する相談及び告発に応じる窓口は、法人経営部とする。
2 前項の窓口の利用は、電話、電子メール、ファクシミリ、書面又は面会のいずれかによるものとする。
(窓口の職員の義務)
第10条 告発の受付に当たっては、告発窓口の職員は、告発者及び被告発者の秘密の遵守その他告発者及び被告発者の保護を徹底しなければならない。
2 告発窓口の職員は、告発を受け付けるに際し、面会による場合は個室にて実施し、書面、ファクシミリ、電子メール、電話等による場合はその内容を他の者が同時及び事後に見聞できないよう措置を講じるなど、適切な方法で実施しなければならない。
3 前項の規定は、告発の相談についても準用する。
第4章 事案の調査
(予備調査の実施)
第11条 第8条の規定に基づく告発があった場合又は学長がその他の理由により予備調査の必要を認めた場合は、学長は予備調査委員会を設置し、予備調査委員会は速やかに予備調査を実施しなければならない。
2 予備調査委員会は3名の委員によって構成するものとし、学長が指名する。
3 予備調査委員会に委員長を置き、委員の互選によってこれを定める。
4 予備調査委員会は必要に応じて、予備調査の対象者に対して関係資料その他予備調査を実施する上で必要な書類等の提出を求め、又は関係者にヒアリングを行うことができる。
5 予備調査委員会は、本調査の証拠となり得る関係書類、研究ノート、実験試料等を保全する措置をとることができる。
6 告発がなされる前に取り下げられた論文等に対してなされた告発についての予備調査を行う場合は、取下げに至った経緯及び事情を含め、研究上の不正行為の問題として調査すべきものか否か調査し、判断するものとする。
(予備調査の方法)
第12条 予備調査は、「研究費の取扱いに係る不正行為」、「研究活動に係る不正行為」に区分し、次項及び第3項各号に定める内容について、予備調査を行う。
2 「研究費の取扱いに係る不正行為」
(1) 告発された研究費の取扱いに係る不正行為の疑いの有無
(2) 告発内容の合理性及び本調査における調査可能性
3 「研究活動に係る不正行為」
(1) 告発された研究活動に係る不正行為の疑いの有無
(2) 告発された際に示された科学的かつ合理的な根拠の論理性の有無
(3) 告発内容の合理性及び本調査における調査可能性
(本調査の決定等)
第13条 予備調査委員会は、告発を受け付けた日から起算して原則として25日以内に、予備調査結果を学長に報告する。
2 学長は、予備調査結果を踏まえ、協議の上、直ちに、本調査を行うか否かを決定する。
3 学長は、本調査を実施することを決定したときは、告発者及び被告発者に対して本調査を行う旨を通知し、本調査への協力を求める。この場合において、告発者のうち氏名の秘匿を希望した者については、告発窓口を通じて通知するものとする。
4 学長は、本調査を実施しないことを決定したときは、その理由を付して告発者に通知するとともに、資金配分機関及び関係省庁(以下、「配分機関等」という。)や告発者の求めがあった場合に開示することができるよう、予備調査の資料等を保存するものとする。この場合において、告発者のうち氏名の秘匿を希望した者については、告発窓口を通じて通知するものとする。
(調査委員会の設置)
第14条 学長は、本調査を実施することを決定したときは、同時に、その議決により調査委員会を設置する。
2 調査委員会の委員は、次の各号に掲げる者とする。
(1) 学長が指名した者 1名
(2) 学長が指名した研究分野の知見を有する者 2名
(3) 外部有識者(弁護士、公認会計士等) 3名
3 調査委員会のすべての委員は、公正かつ透明性の確保の観点から、調査対象者及び告発者等と直接利害関係を有しない者で構成されなければならない。
4 調査委員会の委員の半数は外部有識者でなければならない。
5 調査委員会に委員長1人を置き、第2項第1号の委員をもって充てる。
(本調査の通知)
第15条 学長は調査委員会を設置したときは、調査委員会委員の氏名及び所属を告発者及び調査対象者に通知する。この場合において、告発者のうち氏名の秘匿を希望した者については、告発窓口を通じて通知するものとする。
2 前項の通知を受けた告発者又は調査対象者は、当該通知を受けた日から起算して7日以内に、書面により、学長に対して調査委員会委員に関する異議を申し立てることができる。
3 学長は、前項の異議申立があった場合は、当該異議申立の内容を審査し、その内容が妥当であると判断したときは、当該異議申立に係る調査委員会委員を交代させるとともに、その旨を告発者及び調査対象者に通知する。
(本調査の実施)
第16条 調査委員会は、本調査の実施の決定があった日から起算して30日以内に、本調査を開始するものとする。
2 調査委員会は、調査に当たり次の各号に掲げる事項を行うことができる。
(1) 告発者及び調査対象者等の関係者からの聴取
(2) 不正行為に関する資料等の調査
(3) その他調査に必要な事項
3 関係者は、調査に誠実に協力しなければならない。
4 関係者は、調査委員会から資料の提出を求められた場合は、これに応じなければならない。
5 「研究活動に係る不正行為」の場合において、不正行為が行われた可能性を調査するために、調査委員会が再現実験等により再現性を示すことを調査対象者に求める場合、または調査対象者の意思によりそれを申し出て調査委員会がその必要性を認める場合は、それに要する期間および機会(機器、経費等を含む。)に関し、調査委員会が学長と協議の上、合理的に必要と判断する範囲内において、これを行うことができる。
6 調査委員会は、被告発者による弁明の機会を設けなければならない。
7 調査委員会の本調査において、被告発者が告発された事案に係る研究活動に関する疑惑を晴らそうとする場合には、自己の責任において、当該研究活動が科学的に適正な方法及び手続にのっとって行われたこと、並びに論文等もそれに基づいて適切な表現で書かれたものであることを、科学的根拠を示して説明しなければならない。
(本調査の対象)
第17条 本調査の対象は、告発のあった事案に係る研究活動の他、調査委員会の判断により、本調査に関連した被告発者の他の研究を含めることができる。
(証拠の保全)
第18条 資料等の調査にあたっては、他の方法による適切な入手が困難な場合又は隠滅が行われるおそれがある場合は、調査対象者の研究室又は実験室等であって調査事項に関連する場所の一時封鎖又は実験、観測及び解析に関する機器・資料等の保全の措置をとることができる。
2 調査委員会は、前項の措置をとる場合、事前に調査対象者が所属する部局の長の承認を得なければならない。
3 一時封鎖した場所の調査及び保全措置をとった機器・資料等の調査を行う場合は、調査対象者及び調査対象者が所属する部局の長が指名する教員2名の立ち合いを必要とする。
4 調査委員会は、前各項の措置に必要な場合を除き、被告発者の研究活動を制限してはならない。
5 告発された事案に係る研究活動が行われた研究機関が本学でないときは、調査委員会は、告発された事案に係る研究活動に関して、証拠となる資料及びその他関係書類を保全する措置をとるよう、当該研究機関に依頼するものとする。
(調査における研究又は技術上の情報の保護)
第18条の2 調査委員会は、本調査に当たっては、調査対象における公表前のデータ、論文等の研究又は技術上秘密とすべき情報が、調査の遂行上必要な範囲外に漏洩することのないよう、十分配慮するものとする。
第5章 不正行為等の認定
(認定の手続き)
第19条 調査委員会は、本調査の実施を決定してから100日以内に不正行為の有無及び不正の内容、関与した者及びその関与の程度、特定不正行為と認定された研究活動に係る論文等の各著者の当該論文等及び当該研究活動における役割と特定不正行為と認定された研究活動に係る論文等の各著者の当該論文等及び当該研究活動における役割と不正使用の相当額等について審理を行い、その結果を学長に報告しなければならない。
2 調査委員会は、前項に掲げる期間につき、100日以内に認定を行うことができない合理的な理由がある場合は、その理由及び認定の予定日を付して学長に申し出て、その承認を得るものとする。
3 調査委員会は、不正行為が行われなかったと認定される場合において、調査を通じて告発が悪意に基づくものであると判断したときは、併せて、その旨の認定を行うものとする。
4 前項の認定に当たっては、被告発者の自認を唯一の証拠とせず、物的・科学的証拠、証言、被告発者の自認等の諸証拠を総合的に判断しなければならない。
5 第3項の認定にあたっては、調査対象者及び同項に認定された告発者に書面又は口頭による弁明の機会を与えなければならない。
6 調査委員会は、被告発者の説明及びその他の証拠によって、不正行為であるとの疑いを覆すことができないときは、不正行為と認定することができる。保存義務期間の範囲に属する関係書類、研究ノート、実験試料その他の研究資料等の不存在等、本来存在するべき基本的な要素が不足していることにより、被告発者が不正行為であるとの疑いを覆すに足る証拠を示せないときも、同様とする。
第6章 措置及び処分
(本調査中における一時的措置)
第20条 学長は本調査を行うことを決定したときから調査委員会の調査結果の報告を受けるまでの間、調査対象者に対して告発された研究費の一時的な支出停止等必要な措置を講じることができる。
2 学長は、配分機関等から、調査対象者の該当する研究費の支出停止等を命じられた場合には、それに応じた措置を講じるものとする。
(処分等の措置)
第21条 学長は、第19条第1項に規定する調査委員会の結果報告に基づき不正行為があったと認定した場合は、速やかに公立大学法人山口県立大学職員の懲戒等に関する規則(平成18年規程第4-35号)(以下「職員の懲戒等に関する規則」という。)又は山口県立大学学生懲戒規程(平成23年規程第8-14号)に従い適切な措置をとるとともに、必要と認める場合は次の各号に掲げる措置をとるものとする。
(1) 研究活動の停止等の措置
(2) 研究費の使用停止又は返還等の措置
(3) 不正行為の排除のための措置
(4) その他必要な措置
2 学長は、不正行為は無かったと認定した場合、調査対象者の研究活動の正常化及び名誉回復のために十分な措置をとらなければならない。
3 学長は、研究活動上の不正行為が行われなかったものと認定された場合は、本調査に際してとった研究費の支出停止等の措置を解除するものとする。また、証拠保全の措置については、不服申立てがないまま申立期間が経過した後又は不服申立ての審査結果が確定した後、速やかに解除する。
(是正措置等)
第22条 本調査の結果、研究活動上の不正行為が行われたものと認定された場合には、学長は、速やかに是正措置、再発防止措置、その他必要な環境整備措置(以下「是正措置等」という。)をとるものとする。
2 学長は、関係する部局の責任者に対し、是正措置等をとることを命ずる。また、必要に応じて、本学全体における是正措置等をとるものとする。
3 学長は、前項の規定に基づいてとった是正措置等の内容を該当する配分機関等に対して報告するものとする。
(調査結果の通知及び報告)
第23条 学長は、速やかに、調査結果(第19条第3項に基づく認定を含む。)を告発者、調査対象者に通知し、調査対象者が本学以外の機関に所属している場合は、その所属機関にも通知する。この場合において、告発者のうち氏名の秘匿を希望した者については、告発窓口を通じて通知するものとする。
2 学長は、悪意に基づく告発との認定があった場合において、告発者が本学以外の機関に所属しているときは、当該所属機関にも通知するものとする。
(不服申立)
第24条 告発者及び調査対象者は、前条第1項の通知内容に不服があるときは、通知のあった日の翌日から起算して14日以内に学長に不服申立をすることができる。
2 告発が悪意に基づくものと認定された告発者は、前条第1項の通知内容に不服があるときは、通知のあった日の翌日から起算して14日以内に学長に不服申立をすることができる。
3 不服申立の審査は、調査委員会が行う。学長は新たに専門性を要する判断が必要と認める場合は、調査委員の交代若しくは追加、又は調査委員会に代えて他の者に審査をさせるものとする。ただし、調査委員会の構成の変更等を行う相当の理由がないと認めるときは、この限りではない。
4 前項に定める新たな調査委員は、第14条第2項の規定に準じて指名する。
5 学長は、第1項又は第2項に基づく不服申立てがあった場合は、その旨を、告発者及び告発者の所属機関、被告発者及び配分機関等に通知する。不服申立ての却下又は再調査開始の決定をしたときも同様とする。
6 調査委員会は、当該事案の再調査を行うまでもなく、不服申立を却下すべきものと決定した場合には、直ちに、学長に報告する。報告を受けた学長は、不服申立人に対し、その決定を通知するものとする。その際、その不服申立が当該事案の引き延ばしや認定に伴う各措置の先送りを主な目的とするものと調査委員会が判断した場合は、以後の不服申立を受け付けないことを併せて通知するものとする。この場合において、告発者のうち氏名の秘匿を希望した者については、告発窓口を通じて通知するものとする。
(再調査)
第25条 調査委員会は、前条の規定に基づく不服申立について、再調査を実施することを決定した場合には、不服申立人に対し、先の調査結果を覆すに足るものと不服申立人が思料する資料の提出を求め、その他当該事案の速やかな解決に向けて、再調査に協力することを求めるものとする。
2 前条の規定に基づく不服申立てについて調査委員会が再調査を開始した場合は、先の調査結果を覆すか否かを決定し、その結果を被告発者、被告発者が所属する機関及び告発者に通知する。
3 調査委員会は、悪意に基づく告発の認定に係る告発者からの不服申立てについて再調査を行い、その結果を直ちに調査機関に報告し、調査機関は当該結果を告発者、告発者が所属する機関及び被告発者に通知する。
4 調査委員会は第1項に定める不服申立人からの協力が得られない場合には、再調査を行うことなく、手続を打ち切ることができる。その場合には、直ちに学長にその旨を報告する。報告を受けた学長は、不服申立人に対し、その決定を通知するものとする。
5 調査委員会は、第1項の規定により再調査を決定したときは、不服申立を受理した日から50日以内に再調査を行わなければならない。
6 調査委員会は、再調査を開始した場合には、その開始の日から起算して50日以内に、先の調査結果を覆すか否かを決定し、その結果を直ちに学長に報告するものとする。ただし、50日以内に調査結果を覆すか否かの決定ができない合理的な理由がある場合には、その理由及び決定予定日を付して学長に申し出て、その承認を得るものとする。
7 学長は、前項の調査委員会の結果報告に基づき不正行為の有無を認定するとともに、文書により告発者及び調査対象者に通知しなければならない。この場合において、告発者のうち氏名の秘匿を希望した者については、告発窓口を通じて通知するものとする。
8 告発者及び調査対象者は、前項の認定の結果に対して不服を申し立てることはできない。
(論文等の取下げ等の勧告)
第25条の2 学長は、被認定者に対して、研究活動上の不正行為と認定された論文等の取下げ、訂正又はその他の措置を勧告するものとする。
2 被認定者は、前項の勧告を受けた日から起算して14日以内に勧告に応ずるか否かの意思表示を学長に行わなければならない。
3 学長は、被認定者が第1項の勧告に応じない場合は、その事実を公表するものとする。
(調査結果の公表)
第26条 学長は、認定及び措置等の内容については、個人情報又は知的財産保護等の不開示に合理的な理由がある場合を除き、原則として公表するものとする。公表事項について調査対象者の意見がある場合は、その意見も併せて文書により公表するものとする。
2 学長は、不正行為がなかった場合でも、調査事案が外部に漏えいしていた場合及び論文等に故意によるものではない誤りがあった場合は、調査結果を公表することとするものとする。
3 府省庁関連の競争的資金制度において、応募資格が制限された研究者について行う前2項の公表は、原則、氏名・所属、不正行為の内容、本学が行った措置の内容、調査委員会委員の氏名・所属、調査の方法・手順を含むものとする。
4 学長は、前項の規定にかかわらず、研究活動上の不正行為があったと認定された論文等が、告発される前に取り下げられていたときは、当該不正行為に関与した者の氏名・所属を公表しないことができる。
5 学長は、研究活動上の不正行為が行われなかったとの認定がなされた場合には、調査結果を公表しないことができる。ただし、被告発者の名誉を回復する必要があると認められる場合、調査事案が外部に漏洩していた場合又は論文等に故意若しくは研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによるものでない誤りがあった場合は、調査結果を公表するものとする。
6 学長は、悪意に基づく告発がおこなわれたとの認定がなされた場合には、悪意に基づく告発と認定した理由、当該告発者の氏名、調査委員会委員の氏名・所属、調査の方法、手順等を公表する。
(配分機関等への報告・協力等)
第27条 公的研究費に関係する「研究費の取扱いに係る不正行為」に関する調査(以下この項において「調査」という。)については、本学は配分機関等に対して、次に掲げる報告、協力等を行う。
(1) 告発を受け付けた場合は、告発の受付から30日以内に、調査の実施を配分機関等に報告する。
(2) 調査の実施に際し、調査方針、調査対象者及び方法等について配分機関等に報告、協議する。
(3) 告発の受付から210日以内に、調査結果、不正発生要因、不正に関与したものが関わる他の競争的資金等における管理・監査体制の状況、再発防止計画等を含む最終報告書を配分機関等に報告する。期限までに調査が完了しない場合であっても、調査の中間報告を配分機関等に提出する。
(4) 調査の過程であっても、不正の事実が一部でも確認された場合には、速やかに認定し、配分機関等に報告する。
(5) 配分機関等の求めに応じ、調査の終了前であっても、調査の進捗状況報告及び調査の中間報告を当該配分機関等に提出する。
(6) 調査に支障がある等、正当な事由がある場合を除き、当該事案に係る資料の提出又は閲覧、現地調査に応じる。
2 公的研究費に関係する「研究活動に係る不正行為」に関する調査(以下この項において「本調査」という。)について、本学は配分機関等に対して、次に掲げる報告、協力等を行う。
(1) 本調査の実施を決定したときは配分機関等に報告する。
(2) 配分機関等の求めに応じ、本調査の終了前であっても、調査の中間報告を当該配分機関等に提出する。
(3) 最終報告を書面で配分機関等に提出する。
(4) 調査対象者からの不服申立があったときは、配分機関等に報告する。不服申立を却下したとき、再調査の開始を決定したときおよび再調査の結果についても同様とする。
(5) 悪意に基づく告発等に関する不服申立があった場合も、配分機関等に報告を提出する。
第7章 関係者の取扱い
(告発者及び調査協力者の保護)
第28条 学長は、不正行為に関する告発者及び調査協力者が、告発又は情報提供を行ったことを理由として、いかなる不利益な取り扱いも受けることがないよう、必要な措置を講ずるとともに、告発者及び調査協力者の職場環境等の保全に努めなければならない。
2 学長は、告発者に対して不利益な取扱いを行った者がいた場合は、職員の懲戒等に関する規則その他関係諸規程に従って、その者に対して処分を科すことができる。
3 学長は、悪意に基づく告発であることが判明しない限り、単に告発したことを理由に当該告発者に対して解雇、配置換え、懲戒処分、降格、減給その他当該告発者に不利益な措置等を行ってはならない。
(被告発者の保護)
第28条の2 何人も、相当な理由なしに、単に告発がなされたことのみをもって、当該被告発者に対して不利益な取扱いをしてはならない。
2 学長は、相当な理由なしに、被告発者に対して不利益な取扱いを行った者がいた場合は、職員の懲戒等に関する規則その他関係諸規程に従って、その者に対して処分を科すことができる。
3 学長は、相当な理由なしに、単に告発がなされたことのみをもって、当該被告発者の研究活動の全面的な禁止、解雇、配置換え、懲戒処分、降格、減給その他当該被告発者に不利益な措置等を行ってはならない。
(告発の濫用禁止)
第29条 何人も、虚偽の告発、他人を誹謗中傷する告発、その他不正の目的による告発をしてはならない。調査の過程において、そのような告発と認定された場合、学長は、当該告発者の氏名の公表等、必要な措置をとるものとする。
2 学長は、必要な措置をとった場合は、該当する配分機関等に対して、その措置の内容等を通知する。
(守秘義務)
第30条 この規程に基づき不正行為の調査に携わった者は、その職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。職員等でなくなった後も、同様とする。
2 学長は、告発者、被告発者、告発内容、調査内容及び調査経過について、調査結果の公表に至るまで、告発者及び被告発者の意に反して外部に漏洩しないよう、これらの秘密の保持を徹底しなければならない。
3 学長は、当該告発に係る事案が外部に漏洩した場合は、告発者及び被告発者の了解を得て、調査中にかかわらず、調査事案について公に説明することができる。ただし、告発者又は被告発者の責に帰すべき事由により漏洩したときは、当該者の了解は不要とする。
4 学長又はその他の関係者は、告発者、被告発者、調査協力者又は関係者に連絡又は通知をするときは、告発者、被告発者、調査協力者及び関係者等の人権、名誉及びプライバシー等を侵害することのないように、配慮しなければならない。
(事務)
第31条 この規程に関する事務は、関係部局の協力を得て、法人経営部法人管理部門及び教育研究支援部研究支援部門が処理する。
附 則
この規程は、平成19年4月1日から施行する。
附 則(平成22年4月1日)
この規程は、平成22年4月1日から施行する。
附 則(平成24年4月1日)
この規程は、平成24年4月1日から施行する。
附 則(平成27年3月20日)
この規程は、平成27年3月20日から施行する。
附 則(平成27年7月22日)
この規程は、平成27年7月22日から施行する。
附 則(平成27年10月1日)
この規程は、平成27年10月1日から施行する。
附 則(平成28年4月1日)
この規程は、平成28年4月1日から施行する。
附 則(平成28年4月1日)
この規程は、平成28年4月1日から施行する。
附 則(平成28年10月1日)
この規程は、平成28年10月1日から施行する。
附 則(平成30年4月1日)
この規程は、平成30年4月1日から施行する。
附 則(令和元年9月1日)
この規程は、令和元年9月1日から施行する。
附 則(令和2年4月1日)
この規程は、令和2年4月1日から施行する。
附 則(令和4年8月4日)
この規程は、令和4年8月4日から施行する。
附 則(令和6年4月1日)
この規程は、令和6年4月1日から施行する。