○山口県立大学病原体等安全管理規程
| (令和7年10月1日規程第6-64号) |
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目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 安全管理体制(第3条-第9条)
第3章 安全管理基準(第10条-第19条)
第4章 健康診断(第20条)
第5章 その他(第21条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この規程は、公立大学法人山口県立大学(以下「本学」という)における病原体等の適切な安全管理を行うため、学長の責務、病原体等の所持及び取扱に関する承認手続き、並びに病原体等の保管等、必要な事項を定めるものである。
2 この規程では「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下「感染症法」という)」、「家畜伝染病予防法(以下「家伝法」という)」、及びその他関連法令等に基づいた病原体等の適正な安全管理を定め、もって本学における、これらの病原体等に由来する感染症の発生を予防し、その蔓延防止を図ることを目的とする。
3 「山口県立大学における研究・実験に係る生命倫理に関する指針」に基づき本規程を定める。
(定義)
第2条 この規程において、次に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 「病原体等」とは、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫、プリオン、及び微生物の産生する毒素で、ヒト又は動物に危害を及ぼす要因となるものをいう。
(2) 「特定病原体等」とは、感染症法で定める特定一種病原体等、二種病原体等、三種病原体等及び四種病原体等をいう。
(3) 「バイオセーフティレベル(以下「BSL」という。)1、2、3及び4病原体等」とは、旧国立感染症研究所(現国立健康危機管理研究機構)及び国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究部門が定める病原体等のBSLの分類に準ずる。
(4) 「BSL1実験室」とは、BSL1病原体等を取り扱う実験室をいう。
(5) 「BSL2実験室」とは、BSL2病原体等を取り扱う実験室をいう。
(6) 「安全管理」とは、病原体等による感染を予防すること(バイオセーフティ)及び病原体等の紛失、盗難、濫用、悪用等を防止すること(バイオセキュリティ)。
(7) 「部局」とは、本学の学部及び研究科を言う。
第2章 安全管理体制
(学長の責務)
第3条 学長は、本学で実施されるすべての病原体等を用いた実験並びに病原体等の保管に関して最終的な責務を負う。
(生命倫理委員会の所管)
第4条 生命倫理委員会の病原体等安全管理に関しての所管は、下記に掲げる事項を審議する。
(1) 病原体等の所持に係る許可申請及び届出
(2) 病原体等取扱者に対する教育訓練の実施
(3) 厚生労働省令に定める施設の基準及び保管等の基準に示された必要な措置
(4) 事故発生時の届出および災害時の緊急措置
(5) 病原体安全管理部会員及び病原体等取扱主任者の指名
(6) その他、病原体等による感染症発生の予防及び蔓延防止のために必要な措置
(専門部会の設置)
第5条 本学に、病原体等の適切な管理の実施に関して報告又は助言等を行う組織として山口県立大学病原体安全管理部会(以下「部会」という)を置く。
2 部会は次に掲げる部会員で構成する。
(1) 生命倫理委員会より1人もしくは2人
(2) 学内で病原体等に関する専門分野の教授、准教授、または講師 1人
(3) その他学長が必要と認めた者
3 部会員は生命倫理委員会が指名する。
4 部会員の任期は2年とし、4月1日に任命することを常例とする。ただし、4月2日以降に任命された場合の任期は、その任命の日から起算して、1年を経過した日の属する年度の末日までとする。
5 部会員の再任は妨げない。
6 部会は生命倫理委員会の諮問に応じ、次に掲げる事項を審議する。
(1) 病原体等取扱実験室の安全管理に関すること
(2) 病原体等の利用、保管、及び分与の承認に係ること
(3) 事故発生時及び災害時における措置に関すること
(4) 病原体等取扱主任者の選定に係ること
(5) その他、病原体等の安全管理に関し必要な事項
7 部会に部会長を置き、委員の互選によってこれを定める。
8 部会長は部会を招集し、その議長となる。
9 会議は、部会員の過半数が出席しなければ、開くことができない。
10 部会は、必要と認めるときは、部会員以外の者の出席を求め、その意見を聞くことができる。
11 部会員は、職務上知りうることのできた秘密及び個人情報を正当な理由なく漏らしてはならない。委員を退いた後も同様とする。
12 部会の庶務は、研究支援部門において処理する。
(病原体等取扱主任者)
第6条 本学に病原体等取扱主任者(以下「取扱主任者」という)を置く。
2 取扱主任者は病原体等の取扱に関し知識及び経験を有する本学職員の内から生命倫理委員会が指名する。
3 取扱主任者は、次の項目を執り行う。
(1) 本規程の周知を図るほか、当該病原体等による感染症の発生を予防し、その蔓延を防止するために、取扱責任者、病原体等取扱者、及び一時立入者に対する教育訓練
(2) 取扱責任者及び病原体等取扱者に対する感染症法及びこの規程の順守を促すための監督並びに監査
(3) 立入検査等の立ち合い
(病原体等取扱責任者)
第7条 病原体等を用いて行う実験ごとに、当該実験の病原体等取扱者等の内から、病原体等取扱責任者(以下「取扱責任者」という)を置く。
2 取扱責任者は取扱主任者の指示に従い、病原体等を用いて行う実験に関する次の項目を執り行う。
(1) 実験計画の作成
(2) 当該実験において取り扱う病原体等の管理
(3) 当該実験に係る各種申請及び届出
(4) 実験に使用する機器の管理、点検、及び報告
(5) 当該実験に係る病原体等取扱者等に対する教育訓練
(6) 当該実験に係るその他必要な事項
(病原体等取扱者)
第8条 病原体等を研究又は教育の目的で取り扱う者(以下「病原体等取扱者」という)は、取扱主任者および取扱責任者の指示に従わなければならない。
2 病原体等取扱者は次に該当する者でなければならない。
(1) 実験室において取り扱う病原体等に関し、その本質、人体に対する病原性、実験中に起こりえるバイオハザードの範囲、及び安全な取り扱い方法を理解し、かつ実験室の構造、使用方法、及び事故発生時の緊急処置等について十分な知識を有し、かつ、技術的修練を経ている者
(2) 取扱主任者もしくは取扱責任者からの教育訓練を受講している者
(3) 定期もしくは臨時の健康診断を受診している者
(4) 身元保証の得られている者
(一時立入者)
第9条 保守点検等でBSL2実験室に一時的に入室する者(以下「一時立入者」という)は、入室に際しては取扱主任者もしくは取扱責任者から一時立入のための教育訓練を受ける必要がある。
2 入室の際は原則として取扱主任者、取扱責任者、もしくは病原体等取扱者が同行する。
第3章 安全管理基準
(本学での取扱うことが可能な病原体等)
第10条 本学において取り扱う病原体等は、BSL1及びBSL2の病原体等に限る。ただし、BSL2病原体等であっても、感染症予防法に定めるところの特定病原体の一種病原体、二種病原体、三種病原体、及び家伝法に定めるところの家畜伝染病病原体は取り扱ってはならない。
2 BSL2病原体のうち、特定病原体の四種病原体も原則として取り扱ってはならない。ただし、食品や環境中の微生物検索を行っている中でこれらの病原体が分離された場合、部会への諮問を図った上で生命倫理委員会が特別に承認を出した場合はこの限りではない。
3 本学において、動物への病原体等の感染実験は行ってはならない。
(実験室の安全設備等に関する基準等)
第11条 病原体等を取り扱う実験室は「実験室バイオセーフティ指針(WHO第3版)」、及び「感染症法に基づく特定病原体等の管理規制について、施設の位置、構造及び設備の技術上の基準一覧(感染症法第56条の24関係)」に定める基準に従い、必要な設備を整えていなければならない。
2 部局の長は、本学で実験室をBSL2実験室として使用するときには、部会が定めるBSL2実験室使用届(新規・変更)(別記様式第1号)を部会に提出しなければならない。
3 部局の長は、前項のBSL2実験室としての使用を終了するときには、部会が定めるBSL2実験室使用終了届(別記様式第2号)を部会に提出しなければならない。
4 部局の長は、BSL2実験室の出入り口には、取り扱う病原体等のBSL分類、及び厚生労働大臣が定める国際バイオハザード標識を表示しなければならない。
5 特定病原体等の保管庫には、厚生労働大臣が定める国際バイオハザード標識を表示しなければならない。
(病原体等の取扱手続き及び分与・移動)
第12条 取扱責任者は、BSL1病原体等もしくはBSL2病原体(特定病原体等を除く)を新たに保管・使用する場合は、部会が定めるBSL1病原体等取扱届(別記様式第3号)もしくはBSL2病原体等(特定病原体等を除く)取扱届(別記様式第4号)をあらかじめ部会に届けなければならない。ただし、既に届け出た病原体等と同一種であるが別の株の場合は、病原性に大きな違いが無いときはこの限りではない。
2 食品や環境等よりBSL1病原体等もしくはBSL2病原体等(特定病原体等を除く)を同定し、その後、その病原体等の保管や取扱を行う必要がある場合は、取扱責任者は委員会が定めるBSL1病原体等取扱届(別記様式第3号)もしくはBSL2病原体等(特定病原体等を除く)取扱届(別記様式第4号)を病原体等が同定されてから1か月以内に部会に届けなければならない。ただし、既に届け出た病原体等と同一種であるが別の株の場合は、病原性に大きな違いが無いときはこの限りではない。
3 取扱責任者は、BSL2病原体等(特定病原体等を除く)を本学以外の機関から受け入れようとするとき、又は本学以外の機関に分与しようとするときは、部会が定めるBSL2病原体等(特定病原体等を除く)移動届(別記様式第5号)を部会へ提出しなければならない。
(特定病原体等の取扱手続き及び分与・移動)
第13条 本学ではBSL2に該当する四種病原体以外の特定病原体等の所持及び取り扱いを行ってはならない。
2 取扱責任者は、特定病原体等を新たに保管・使用する場合は、部会が定める特定病原体等取扱申請書(新規・変更)(別記様式第6号)をあらかじめ生命倫理委員会へ提出し、承認を得なければならない。ただし、既に届け出た病原体等と同一種であるが別の株の場合は、病原性に大きな違いが無いときはこの限りではない。
3 食品や環境等より特定病原体等を同定し、その後、その病原体等を外部研究機関へ送付するために保管及び分与を行う必要がある場合は、取扱責任者は部会が定める特定病原体等取扱申請書(新規・変更)(一時保管用)(別記様式第7号)を直ちに生命倫理委員会に提出しなければならない。なお、本申請では、学内において上記目的以外の研究等を行ってはならない。得られた病原体等を用いて研究を希望する場合は、改めて部会が定める特定病原体等取扱申請書(新規・変更)(別記様式第6号)を生命倫理委員会へ提出し、承認を得なければならない。
4 取扱責任者は、特定病原体等を本学以外の機関から受け入れようとするときには、部会が定める特定病原体等受入申請書(別記様式第8号)をあらかじめ生命倫理委員会に提出し、承認を得なければならない。
5 取扱責任者は、特定病原体等を本学以外の機関へ分与しようとするときには、部会が定める特定病原体等分与申請書(別記様式第9号)をあらかじめ生命倫理委員会へ提出し、承認を得なければならない。
6 取扱責任者は、特定病原体等取扱申請書(新規・変更)(別記様式第6号)および特定病原体等取扱申請書(一時保管)(新規・変更)(別記様式第7号)の申請内容に変更が生じた場合は、新たに生命倫理委員会へ変更申請を行い、その承認を得なければならない。
7 生命倫理委員会は、第2項から第6項までの承認をした場合には、必要に応じて法に基づく手続きを遅滞なく行わなければならない。
(病原体等運搬の制限)
第14条 特定病原体等の運搬については、感染症法、厚生労働省令に基づく運搬の基準および厚生労働省告知で定める特定病原体等の運搬に係る容器等に関する基準並びに厚生労働省が定める特定病原体等の安全運搬マニュアルの基準に従わなければならない。
2 前項に定めるもののほか、病原体等を運搬する場合は四種病原体に準じた三重包装の容器を用いなければならない。
(病原体等の廃棄)
第15条 特定病原体等又はこれらに汚染されたと思われる物品および排水の廃棄に当たっては、厚生労働省が定める消毒滅菌方法に従い処理しなければならない。
2 特定病原体等を除く病原体等又はこれらに汚染されたと思われる物品および排水の廃棄に当たっては、前項に定める消毒滅菌方法に準じて処置しなければならない。
3 取扱責任者は、特定病原体等について所持を要しなくなった場合等においては、滅菌等を実施後に、部会が定める特定病原体等廃棄届(別記様式第10号)を生命倫理委員会へ提出しければならない。また、BSL1病原体、及び特定病原体を除くBSL2病原体等について所持を要しなくなった場合等においては、滅菌の実施後に、部会が定める特定病原体以外の病原体等の廃棄届(別記様式第11号)を部会に提出しなければならない。
(記録)
第16条 取扱責任者は、特定病原体等については、特定病原体等管理台帳(別記様式第12号)、高圧蒸気滅菌器使用記録簿(別記様式第13号)、安全キャビネット使用記録簿(別記様式第14号)、機器(安全キャビネット、遠心機、高圧蒸気滅菌器)の自主点検表(別記様式第15号~第17号)、教育訓練実施記録簿(別記様式第18号)を記録するとともに、年度末にその時点で所持している病原体等の種類並びにその本数をまとめた病原体等保管状況報告書(別記様式第19号)を作成しなければならない。また、これらの記録、報告類を年度末に取扱主任者に提出しなければならない。取扱主任者は提出された記録、記録類の監査を行い、生命倫理委員会に報告しなければならない。
2 取扱主任者は、当該記録を常に鍵のかかるキャビネット等で保管し、そのカギを管理すること。
(事故と対応)
第17条 BSL2病原体等の盗取、所在不明を発見した者は、山口県立大学病原微生物に係る緊急時対応マニュアルにより対応しなければならない。
(曝露と対応)
第18条 曝露を発見した者は、山口県立大学病原微生物に係る緊急時対応マニュアルにより対応しなければならない。
(災害時の応急措置)
第19条 地震、火災その他の災害を発見した者は、山口県立大学病原微生物に係る緊急時対応マニュアルにより対応しなければならない。
第4章 健康診断
(健康診断の受診)
第20条 病原体等を取り扱う者は、本学が行う定期健康診断、またはこれと同等以上の項目を有する健康診断を受けなければならない。
2 生命倫理委員会は、必要と認める場合には、BSL2病原体等を取り扱う業務に従事する職員等に対して臨時の健康診断を実施することができる。
第5章 その他
(雑則)
第21条 この規程に定めるもののほか、病原体等の安全管理に関し必要な事項があれば、部会が別に定める。
2 この規程や部会の運営について必要な事項は、部会長が部会に諮って定める。
附 則
この規程は、令和7年10月1日から施行する。
