○名古屋大学病原体等安全管理規程
(平成20年3月24日規程第108号)
改正
令和3年3月31日名大規程第155号
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 安全管理体制(第3条-第19条)
第3章 健康管理(第20条-第24条)
第4章 雑則(第25条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条
この規程は,名古屋大学(以下「本学」という。)において取り扱う特定病原体等の安全管理に関し必要な事項を定め,もって本学における感染症の発生を予防し,そのまん延の防止を図ることを目的とする。
2
本学における特定病原体等の取扱いに関しては,感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「法」という。)その他関係法令の定めるもののほか,この規程の定めるところによるものとし,この規程を法第56条の18第1項に規定する感染症発生予防規程として取り扱うものとする。
(定義)
第2条
この規程において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。
一
病原体等 感染症の原因となる病原体及び毒素をいう。
二
特定病原体等 法第6条に規定する一種病原体等,二種病原体等,三種病原体等及び四種病原体等をいう。
三
毒素 感染症の病原体によって産生される物質であって,人の身体に入った場合に人を発病又は死亡させるものをいう。
四
法令等 法その他関係する法律,政令,省令等をいう。
五
病原体等取扱管理区域(以下「管理区域」という。) 特定病原体等を取り扱う実験室,前室,サポート域,給排気排水機械室,監視制御室,保管室,滅菌室等の特定病原体等を用いた検査,実験等の実施に必要な室又は施設が設置された区域及びそれに準じる場所であって,特定病原体等の安全な管理が必要な区域をいう。
六
職員等 本学の職員,学生及びこれに準ずる者並びに本学において教育研究に従事する者で,この規程に従い職務上又は教育研究上特定病原体等を用いた検査,実験等を行い,又は当該病原体等を管理若しくはそれに付随する業務に従事するものをいう。
七
病原体等取扱責任者 職員等のうち,特定病原体等を用いた検査,実験等の業務を統活し,第9号に規定する許可申請及び届出に係る手続きについて実質的な責任を有する者をいう。
八
安全管理 特定病原体等のばく露を予防すること(バイオセーフティ)並びに特定病原体等の紛失,盗難,乱用等を防止すること(バイオセキュリティ)をいう。
九
特定病原体等所持者 法に基づき特定病原体等の所持に係る許可申請及び届出を行う者をいう。
第2章 安全管理体制
(総長の責務)
第3条
名古屋大学総長(国立大学法人法(平成15年法律第112号)第10条第1項に規定する学長をいう。以下「総長」という。)は,特定病原体等所持者として法令等に基づく必要な手続きを行うとともに,本学における特定病原体等の安全管理に関する事務を総括する。
(部局の長の責務)
第4条
部局の長は,当該部局における特定病原体等の安全管理に関する事務を処理する。
(職員等の責務)
第5条
職員等は,管理区域において特定病原体等を取り扱うときは,法令等に定めるもののほか,この規程及び名古屋大学研究用微生物安全管理規程(平成19年度規程第107号。以下「研究用微生物安全管理規程」という。)で定める方法に従わなければならない。
2
実験室において特定病原体等を取り扱う職員等は,次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。
一
取り扱う特定病原体等の性質,人体に対する病原性,実験中に起こり得る危険の範囲及び安全な取扱い方法,実験室の構造及び使用方法,事故発生時の緊急処置等に関する十分な知識を有するとともに技術的訓練を修得していること。
二
第20条に規定する定期の健康診断を受診していること。
[
第20条
]
三
本学の職員以外の者については身分を証明するものを携帯すること。
(委員会)
第6条
本学における特定病原体等の安全管理に関する事項は,名古屋大学バイオセーフティ委員会(以下「委員会」という。)において審議する。
(病原体等取扱主任者)
第7条
総長は,二種病原体等を所持する部局に,次の各号に掲げる事項を実施するため,病原体等取扱主任者を置く。
一
厚生労働大臣又は愛知県公安委員会が実施する立入検査における立会い
二
職員等への教育訓練その他特定病原体等の取扱いに係る適切な指導
三
その他特定病原体等の安全管理に関すること。
2
病原体等取扱責任者は,病原体等取扱主任者の指示に従うものとする。
(管理区域等の施設管理)
第8条
本学における管理区域の施設は,別に定める病原体等の施設の基準等に従い,安全に管理しなければならない。
2
管理区域の出入口並びに特定病原体等を取り扱う検査室,実験室及び保管室の出入口には,厚生労働大臣が指定する国際バイオハザード標識を表示しなければならない。
3
病原体等取扱主任者は,定期的に管理区域の施設の安全管理について点検を実施し,その内容を記録しなければならない。
4
病原体等取扱主任者は,前項の点検の結果是正措置等が必要と認めた場合は,必要な対策を講じなければならない。
(管理区域への立入り)
第9条
二種病原体等を取り扱う管理区域に立ち入る者は,あらかじめ所定の様式により委員会に申請し,その許可を得なければならない。
2
前項により許可を得た者以外のものが二種病原体等を取り扱う管理区域に立ち入る場合は,病原体等取扱主任者の指示に従わなければならない。
3
三種病原体等を取り扱う管理区域に本学の職員以外の者が立ち入る場合は,病原体等取扱主任者又は病原体等取扱責任者の了解を得た本学の職員が同行しなければならない。
4
総長は,職員等がこの規程,この規程に基づく定め及び法令等に違反したときは,当該職員等の管理区域への立入りを禁止又は制限することができる。
5
本学の職員以外の者が施設の保守点検等のために管理区域へ立ち入る場合は,身分を証明するものを携帯しなければならない。
(特定病原体等の所持,輸入等)
第10条
病原体等取扱責任者は,法令等に基づく厚生労働大臣の許可又は届出が必要な特定病原体等を新たに所持又は輸入しようとするときは,あらかじめ特定病原体等取扱申請書(別記様式第1号)により,所属部局の長を経由して委員会に申請し,許可を得た上,特定病原体等所持者を通じて法令等に定める必要な手続きを行わなければならない。
2
前項の特定病原体等を学外の機関から受け入れる場合は,病原体等取扱責任者は,前項の申請書のほか,特定病原体等受入申請書(別記様式第2号)により,所属部局の長を経由して委員会に申請し,許可を得なければならない。
3
職員等は,一種病原体等を所持又は輸入してはならない。
(特定病原体等の取扱い)
第11条
特定病原体等の保管,使用及び滅菌は,別に定める病原体等の保管等の基準に従って行わなければならない。
2
特定病原体等の保管庫には,厚生労働大臣が指定する国際バイオハザード標識を表示しなければならない。
3
二種病原体等の所持者は,法第56条の22第1項各号に該当した場合は,当該二種病原体等を滅菌若しくは無害化(以下「滅菌等」という。)又は譲渡しなければならない。
4
病原体等取扱責任者は,前項の規定により二種病原体等を滅菌等又は譲渡しようとするときは,法第56条の22第1項各号に該当した日から1日以内に,滅菌等をする場合は特定病原体等滅菌・廃棄届(別記様式第3号)により,譲渡する場合は特定病原体等分与(譲渡)申請書(別記様式第4号)により,所属部局の長を経由して委員会に提出の上,報告し,又は許可を得るとともに,法令等で定める事項について,特定病原体等所持者を通じて厚生労働大臣に届け出なければならない。
5
第3項の滅菌等をする場合は前項に規定する日から3日以内に,譲渡する場合は遅滞なくこれを実施しなければならない。
6
法第56条の16第1項第1号の規定により三種病原体等を,又は法第56条の26第3項の規定により四種病原体等を所持することとなったときは,当該所持の開始の日から10日以内に滅菌等を行うか,又は遅滞なく譲渡しなければならない。
(特定病原体等の運搬)
第12条
特定病原体等を運搬する場合は,法令等に定める運搬の基準に従って行わなければならない。
2
二種病原体等及び三種病原体等を学内において運搬する場合は,当該病原体等を受け入れる病原体等取扱責任者は,あらかじめ特定病原体等受入申請書(学内用)(別記様式第5号)により,所属部局の長を経由して委員会に申請し,許可を得なければならない。
3
特定病原体等を学内において運搬する場合は,当該特定病原体等の散逸を防止できる専用の容器を使用し,盗難防止のため複数名で実施しなければならない。
(許可及び通知)
第13条
委員会は,第10条第1項及び第2項,第11条第4項並びに前条第2項の申請があった場合は,当該申請の実施について許可を与えるか否かの決定を行うものとする。
[
第10条第1項
] [
第2項
] [
第11条第4項
]
2
委員会は,当該申請の内容の一部を変更して許可することができる。
3
委員会は,前2項の決定を行った場合は,速やかに申請のあった部局の長を経由して,当該申請者にその旨を通知するものとする。
(教育訓練)
第14条
病原体等取扱主任者は,職員等のうち管理区域に立ち入る者を対象として,特定病原体等の安全管理に必要な知識及び技術の向上を図るため,次の各号に掲げる事項に関する講習会等の教育訓練を,当該職員等が初めて管理区域に立ち入る場合にあってはその前に,管理区域に立ち入った後にあっては1年を超えない期間ごとに実施しなければならない。
一
特定病原体等の性質に関すること。
二
特定病原体等の安全管理に関すること。
三
この規程及びこの規程に基づく定め並びに法令等に関すること。
2
病原体等取扱主任者は,職員等のうち管理区域に立ち入らない者を対象として,特定病原体等の安全管理に必要な知識及び技術の向上を図るため,前条第2号及び第3号に掲げる事項に関する講習会等の教育訓練を,当該職員等が初めて特定病原体等を取り扱う場合にあってはその前に,特定病原体等を取り扱った後にあっては1年を超えない期間ごとに実施しなければならない。
3
病原体等取扱主任者は,管理区域に立ち入る者のうち職員等以外のものに対し,特定病原体等による感染症の予防及びまん延防止に関する必要な事項について周知しなければならない。
(記帳義務)
第15条
病原体等取扱主任者又は病原体等取扱責任者は,二種病原体等及び三種病原体等の所持に関する帳簿を整え,次の各号に掲げる事項について記載しなければならない。
一
病原体等の保管に関すること。
二
病原体等の使用及び滅菌等に関すること。
三
実験室への立入り及び退出に関すること。
四
管理区域の施設の点検に関すること。
五
教育訓練の実施に関すること。
六
その他病原体等の所持及び管理に関すること。
2
帳簿の記入方法等については,別に定めるところによる。
3
帳簿は1年ごとに作成し,5年間これを保存しなければならない。
(情報管理)
第16条
職員等は,特定病原体等に係る情報をコンピュータ又はメモリーフラッシュカード等の電子媒体で管理する場合は,セキュリティ機能を有したものを使用し,当該情報の漏えい防止に留意しなければならない。
2
職員等は,前条に規定する帳簿その他特定病原体等に係る書類及び前項に規定する電子媒体は,施錠のできる書庫等に保管し,厳重にこれを管理しなければならない。
(ばく露及びその対応)
第17条
次の各号に掲げる場合は,これをばく露として取り扱う。
一
外傷,吸入,粘膜ばく露等により,特定病原体等が人体の内部に入った可能性がある場合
二
職員等が健康診断等の結果,管理区域で取り扱う特定病原体等による健康障害であると認められた場合
三
特定病原体等により管理区域内が広範に汚染された場合又は特定病原体等を接種した動物の逸走により学内が広範に汚染された可能性がある場合
四
管理区域内の安全設備の機能に重大な欠陥が発見された場合
五
第24条第1項に規定する報告があった場合
[
第24条第1項
]
2
ばく露を発見した者は,直ちに当該部局の長,病原体等取扱主任者及び病原体等取扱責任者に通報しなければならない。
3
部局の長は,前項の通報を受けたときは,直ちに総長及び委員会に報告するとともに,委員会,病原体等取扱主任者及び病原体等取扱責任者と協力し,必要な応急措置を講じなければならない。
4
総長は,必要と認めたときは,速やかに委員会を招集し,ばく露に関係した場所を危険区域として指定して職員等に通知するとともに,当該危険区域への関係者以外の立ち入りの禁止,機器等の使用制限等必要な措置を講じなければならない。
5
総長は,前項の措置を講じたときは,委員会並びに当該部局の長,病原体等取扱主任者及び病原体等取扱責任者とともに,原因の究明及び再発防止のための対策を講じなければならない。
6
総長は,危険区域の安全性の回復を確認したときは,速やかに当該危険区域を解除し,職員等にその旨を通知しなければならない。
(事故時の対応)
第18条
特定病原体等について盗取,所在不明等を発見した者は,遅滞なく当該部局の長,病原体等取扱主任者及び病原体等取扱責任者に報告しなければならない。
2
前項による報告を受けた部局の長は,直ちに総長及び委員会に報告しなければならない。
3
総長は,前項の報告を受けたときは,遅滞なく警察署等に届け出なければならない。
(災害時の応急措置)
第19条
総長は,地震,火災等の災害(以下「災害」という。)による重大な被害が発生し,特定病原体等の安全管理に関しこの規程の定めによることができないと認められたときは,直ちに研究用微生物安全管理規程第18条第1項の規定に基づき緊急対策本部を設置し,次の各号に掲げる必要な措置を講じなければならない。
[
第18条第1項
]
一
火災が発生した場合又は延焼のおそれがある場合は,消火又は延焼の防止に努めるとともに,直ちに所在する市町村に通報する。
二
感染症の発生及びまん延防止のために必要がある場合は,管理区域に立ち入る者,管理区域付近で作業する者等に対して避難を警告するとともに,当該管理区域への関係者以外の立ち入りを禁止又は制限する。
三
特定病原体等を安全な場所に移送するとともに,必要な対策を講じる。
四
特定病原体等による汚染が生じた場合は,汚染場所,汚染物,被汚染者等に対する処置等感染症の発生及びまん延防止に必要な措置を講じる。
五
前各号の措置に伴う作業に従事する者に対し,防護服等必要な装備の着用等を命ずる。
2
三種病原体等及び四種病原体等が保管された施設で発生した災害は,研究用微生物安全管理規程第18条の規定に従い対処するものとする。
[
第18条
]
3
実験室において病原体等を取り扱う職員等は,災害が発生したとき,又は大規模地震対策特別措置法(昭和53年法律第73号)第9条第1項に規定する警戒宣言が発せられたときは,直ちに必要な措置を講じなければならない。
第3章 健康管理
(定期健康診断)
第20条
総長は,職員等の健康管理のため,必要な健康診断を定期に実施し,当該職員等に受診させなければならない。
(臨時健康診断)
第21条
総長は,必要と認める場合には,臨時の健康診断を実施し,職員等に受診させなければならない。
(健康診断の記録)
第22条
総長は,健康診断の結果,健康管理上必要と認められる事項について,職員等ごとに記録を作成しなければならない。
2
前項の記録は,職員等の異動又は退職の後,原則として,10年間保存しなければならない。
ただし,取り扱った特定病原体等の潜伏期間が短いものについては,この限りでない。
(健康診断後の措置)
第23条
総長は,健康診断の結果,職員等に特定病原体等による感染が疑われる場合には,直ちに安全確保のために必要な措置を講じなければならない。
(病気等の報告等)
第24条
特定病原体等を取り扱う職員等は,ばく露によらない場合においても,自己に当該特定病原体等による感染が疑われる場合は,直ちに所属部局の長,病原体等取扱主任者及び病原体等取扱責任者にその旨を報告しなければならない。
2
部局の長は,前項の報告を受けたときは,直ちに当該職員等の感染の有無について検査しなければならない。
3
部局の長は,第1項の報告を受けた場合において,前項の検査の結果,当該職員が特定病原体等に感染したと認められるとき,又は医学的に不明瞭であるときは,直ちに総長に報告しなければならない。
第4章 雑則
(雑則)
第25条
この規程に定めるもののほか,特定病原体等の安全管理に関し必要な事項は,委員会の議を経て,別に定める。
附 則
この規程は,平成20年3月24日から施行する。
附 則(令和3年3月31日名大規程第155号)
この規程は,令和3年3月31日から施行する。
別記様式第1号(第10条第1項関係)
特定病原体等取扱申請書
別記様式第2号(第10条第2項関係)
特定病原体等受入申請書
別記様式第3号(第11条第4項関係)
特定病原体等滅菌・廃棄届
別記様式第4号(第11条第4項関係)
特定病原体等分与(譲渡)申請書
別記様式第5号(第12条第2項関係)
特定病原体等受入申請書(学内用)