○琉球大学病院手術映像システム運用申し合わせ
(令和6年12月20日制定)
(主旨)
第1条 この申し合わせは、琉球大学病院手術部規程第10条に基づき、琉球大学病院手術部及び診療情報管理センターにおいて管理する手術映像記録システム(以下「本システム」という。)の運用管理及び利用に関し、必要な事項を定める。
(定義)
第2条 この申し合わせにおいて、次に掲げる用語の定義は当該各号に定めるとおりとする。
(1) 術野映像
電子カルテシステム上での記録および視聴が可能な映像である。すなわち、術野カメラ、内視鏡、外視鏡、顕微鏡など、手術中に撮影された手術術野の手術手技映像とする。
(2) 術野カメラ映像
天井アームに取り付けたカメラにより撮影された映像とする。
(3) 手術室全景映像
各手術室天井に設置した監視カメラによって撮られた手術室の全景映像とする。
(4) 術中医療安全映像
録画中の術野映像、術野カメラ映像、生体情報モニタ画面、手術室全景映像を1画面に分割合成した映像とする。
(5) ICU/救急部医療安全映像
ICU/救急部患者ベッド全景映像を撮影した映像とする。
(データの取り扱い)
第3条 データの取り扱いは下記のとおりとする。
当申し合わせの第2条は、「琉球大学病院診療情報管理センターにおける診療記録管理運用要項」及び「琉球大学病院における診療情報開示に関する実施要綱」に基づき、診療記録には含めない。
(手術映像システムの概略)
第4条 手術映像システムは次の機能を実装する。
(1) マルチLIVE視聴
術野映像と手術室全景映像を配信し、指定された端末でリアルタイムに手術進捗状況を把握できる。1画面で最大64画面の表示ができる。
(2) 手術データの検索及び分析
電子カルテから情報連携され、各手術の詳細情報を記録することで、各種手術データを元に検索・分析ができる。
(3) 個人情報の「匿名表示」機能
個人情報へのアクセスを制限する「匿名表示」機能をもつ。閲覧権限がないユーザーが視聴する場合、閲覧画面上の患者番号、患者名、生年月日等を非表示にできる。
(4) 絞り込み検索機能
術式、診断名、術者、手術時間、フリーワードなどの項目で手術映像を横断的に検索でき、検索結果をグラフ表示やリスト表示など、一覧表示ができる。
(5) SDI統一方式
各入力端子はSDIで統一する。映像出力端子を有する全ての医療機器が接続できる。必要に応じてコンバータを使用する。
(手術映像システムの利用方法)
第5条 手術映像システムの利用方法は以下のとおりとする。
(1) 録画ファイルの保存
術野映像と医療安全映像を病院情報ネットワーク経由でサーバ保存し、一元管理する。
ア 術野映像の録画を行うか否かは手術執刀医の判断によるものとし、本システムによる録画は強制しない。
イ 術中医療安全映像の録画対象時間は、患者が各手術室に入る15分前から退室15分後までの間とする。
(2) 録画ファイルの閲覧
サーバに保存された術野映像ファイルおよび録画中の術野映像は、院内の全電子カルテ端末から、アクセスを許可されたユーザーが電子カルテ端末にログインすることにより閲覧ができる。閲覧は標準ブラウザを使用する。
(3) 録画ファイルの取り出し
取り出しを許可された電子カルテ端末および取り出し用端末から行う。データを取り出したい場合は、診療情報管理センターから取り出し許可を受け、サーバに保存された術野映像ファイルをダウンロードし、USBストレージ等を用いて取り出すことができる。ユーザーが取り出すデータは必ず匿名化処理を行うものとする。
(手術映像の保存期間)
第6条 手術映像の保存期間は次のとおりとする。なお、5年間保存期間が終了する前に、映像の保存期間延長については、手術部運営協議会で決定する。{$ilvl=0}{$numId=5}「術野映像」
フルハイビジョン画質(1920×1080)で手術日より5年間
※5年経過後は、ハードディスクの容量増設により保存期間の延長は可能である。
保存必要性の有無については手術部運営協議会で協議を行う。{$ilvl=0}{$numId=5}「術中医療安全映像」
フルハイビジョン画質(1920×1080)で手術日より1年間
(1) 医療安全等で必要と考えられる特定の映像
上記 (1) 及び (2) の映像で診療科長又は医療安全管理対策室が必要と認めたものに関しては手術部長へ申請し、承認されたものに関しては期間を延長し保存期間の延長ができる。
(2) 医療安全等で必要と考えられる特定の映像以外の映像の保存期間
上記 (3) に当てはまらない術野映像の画質変更・消去は5年の期限がくる前にその取り扱いに関して、診療科長が手術部長へ申請し、承認された映像以外は、各診療科(診療科長ならびに管理医師)に通達を行い、標準画質への画質変更または消去を行う。
(各部署職員の責任権限及び役割)
第7条 各部署職員の責任権限及び役割は次のとおりとする。
職員等
術野映像
医療安全映像
手術部管理者/病院情報システム管理者
ライブ視聴/ストリーミング再生/ダウンロード/詳細情報閲覧/詳細情報編集/操作権限設定変更/ログ情報確認/術野映像削除
ストリーミング再生/ダウンロード

手術部・麻酔科医師
ライブ視聴/ストリーミング再生/ダウンロード/詳細情報閲覧/詳細情報編集
ストリーミング再生
救急部医師
ライブ視聴/ストリーミング再生/ダウンロード/詳細情報閲覧/詳細情報編集 ※自診療科のみ

ストリーミング再生
各診療科医師
ライブ視聴/ストリーミング再生/ダウンロード/詳細情報閲覧/詳細情報編集 ※自診療科のみ


手術部看護師/臨床工学技士
ライブ視聴/ストリーミング再生/詳細情報閲覧
ストリーミング再生
情報システム管理室担当者
ライブ視聴/ストリーミング再生/詳細情報閲覧/※障害時のみ ダウンロード ※情報開示等のみ


安全管理対策室
ライブ視聴/ストリーミング再生
ストリーミング再生/ダウンロード
初期研修医
ライブ視聴/ストリーミング再生/詳細情報閲覧  ※自診療科のみ

医学科学生
ストリーミング再生

上記以外の職員 (医学科以外の学生を含む)

アクセス権限なし

(各部署職員の役割(操作権限含む))
<権限説明>
・ライブ視聴:手術室で録画中の術野映像のリアルタイム視聴。
・ストリーミング再生:保存された動画ファイルを、取り込む時間をかけずに即座に閲覧できる。ダウンロードする訳ではないので端末の容量も圧迫しない。
・ダウンロード:サーバに保存された手術動画ファイルを、ダウンロードする機能
・詳細情報閲覧:当該手術の詳細情報(術式、術者、麻酔医師名、診断名等)を閲覧できる。
・詳細情報編集:当該手術の詳細情報(術式、術者、麻酔医師名、診断名等)を編集できる。
・操作権限設定変更:各ユーザーの操作権限を変更できる。
・ログ情報確認:利用状況や操作、ダウンロード操作等の履歴や情報の記録を取る。
・術野映像削除:サーバに保存された動画ファイルを削除できる。
<初期研修医・学生の扱い>
 初期研修医に対する教育及び研修目的での本システムの利用は、指導を行う医師 の責任で閲覧させること。なお、手術動画ファイルを編集させる場合は指導医師の 監督下で行うこと。学生に対する教育目的での本システムの利用は、学生指導を行 う医師の責任で閲覧させること。



(1) 手術部管理者
本システム運用における総責任者及びシステム総責任者に手術部長をもって充てる。
全ての映像の閲覧と確認が可能な権限を有し、第5条(3)および(4)の保存期間の延長を決定・実施できる。
(2) 病院情報システム管理者
本システム運用におけるデータおよびネットワーク運用の総責任者に診療情報管理センター長をもって充てる。
(3) 手術部・麻酔科医師
自診療科の映像管理責任者、システム改善要求等のとりまとめを行う。
(4) 各診療科管理医師
各診療科におけるシステム運用に関して責任を負う。
(5) 各診療科医師
術野映像録画開始・停止の指示責任を負う。
(6) 手術部看護師
手術現場における本システム録画機器操作を各診療科の指示のもと行う。及び本システムトラブル時の1次対応を行う。
(7) 臨床工学技士
手術現場における本システム録画機器操作を各診療科の指示のもと行う。及び本システムトラブル時の1次対応を行う。
(8) 情報システム管理室技術職員
病院情報ネットワーク起因のトラブル対応を行う。
(9) 安全管理対策室(各部署リスクマネージャーを含む)
医療安全映像の確認、安全かつ適切な医療の提供体制の管理・対策を行う。
(10) 診療情報管理センター
本システムで作成した動画像のデータ管理には、診療情報管理センターが責任を持つ。また、各動画ファイルの閲覧およびダウンロード履歴の管理を行う。
(手術映像システムの手術室内の運用)
第8条 手術映像システム(SRS)の手術室内の運用は次のとおりとする。
(1) SRSの操作
SRSの操作(録画の開始・停止、画面表示の変更など)は医師、看護師、臨床工学士に限る。
(2) 録画の指示責任者
術野映像の録画の有無、またそのタイミングは術者の指示により行う。録画の有無、開始タイミングの確認は、患者入室後のタイムアウトの際に行う。
(手術映像システムの手術室外の運用)
第9条 手術映像システムの手術室外の運用は次のとおりとする。
録画された術野映像は、以下の方法で詳細情報編集及びダウンロード使用できる。
なお、取り出した手術関連映像データにおいても、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(厚生労働省)」及び「琉球大学病院保有個人情報等管理規程」に基づき、取り扱うものとする。手術室外での録画映像へのアクセスはログを取得し、必要があれば各診療科管理者はログ情報の提示を手術部管理者に依頼できる。
(映像録画に対しての患者同意取得の可否)
第10条 映像録画に対しての患者同意取得の可否は次のとおりとする。
本システムでの術野映像を含む術中映像は個々の患者から同意をとり、映像記録を行うこととする。同意取得は各診療科の責任において実施する。「術中医療安全映像」「ICU/救急部医療安全映像」の記録においては、個々の患者それぞれに対して同意を取得することはせず、当院受診時の包括的同意で行うものとする。
(異動や退職等による職員IDの変更)
第11条 異動等による職員IDの変更は次のとおりとする。
本システムの職員IDは電子カルテIDと連動しているため、異動や退職等で職員IDの変更が必要になった際は琉球大学病院医療情報システム運用管理細則に基づき電子カルテの利用申請手続きを行うこと。
(トラブル発生時の対応体制)
第12条 トラブル発生時の対応体制は次のとおりとする。
別紙、「サポート体制・障害対応業務仕様書」を参照する。
(セキュリティポリシー)
第13条 セキュリティポリシーは次のとおりとする。
本システムの運用・セキュリティ対策等は、「琉球大学病院情報管理システム運用管理規程」及び「琉球大学病院医療情報管理システム運用管理細則」に従う。
(新モダリティ機器購入時のルール)
第14条 新モダリティ機器購入時のルールは次のとおりとする。
新規購入モダリティは全て手術部管理とする。購入する新たなモダリティ(顕微鏡、内視鏡,外視鏡など)で撮影される手術映像は、本システムで録画管理を行うことを原則とする。このため、新規購入時には手術部管理者に報告、確認(見積等)、承認を得ること。
※ 見積からは録画機器を外すこと
※ SDI 出力の有無をチェックし、仕様に応じてコンバータを見積に含めること
(システム改善要求等)
第15条 システム改善要求等は次のとおりとする。
本システムの改善要求等は各診療科で各診療科責任者のもとでとりまとめを行い、各診療科責任者が、「琉球大学病院手術部規程」において、手術部管理者に伝えること。手術部管理者は上がってきた要求に対し、開発業者と改善要求の実現を検討する。
(手術映像システム運営WG)
第16条 手術映像システム運営WGは以下の議題を検討し、映像システム向上に努める
(1) 各診療科からの改善要求の提示、検討
(2) 改善要求に対する回答
(3) 録画データの保存期間の見直しや制限
(4) エンコード方式変更などに伴う動画保存期間の変更
(5) 操作権限の変更や拡大
(6) 拡大利用(外部利用など)の検討
(7) システム外動画利用状況のチェック
(8) 新規購入モダリティのチェック
(9) その他
(トラブル時のバックアップ体制)
第17条 トラブル時のバックアップ体制は次のとおりとする。
各手術室映像機器ラック内にバックアップ装置を設置し、バックアップデータを15日間保持する。また、本システムトラブル時には予備機カートを利用することで対応する。
(雑則)
第18条 この申し合わせに定めるもののほか、手術映像システムに関し必要な事項は、別に定める。
(改廃)
第19条 この申し合わせの改廃は、手術部運営協議会の審議を経て、手術部運営協議会委員長が行う。
附 則
この申し合わせは、令和7年1月4日から施行する。
別紙(第12条関係)
サポート体制・障害対応業務仕様書