新規制定されます。
○琉球大学西普天間地区病原体等安全管理規程
(令和6年11月29日制定)
(目的等)
第1条 この規程は、琉球大学大学院医学研究科、医学部及び病院(以下「西普天間地区」という。)において取り扱う病原体等の安全管理について定め、もって西普天間地区における病原体等の保管及び取扱いを安全に行うことを目的とする。
2 西普天間地区における病原体等の取扱いに関しては、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」という。)、家畜伝染病予防法(昭和26年法律第166号。以下「家伝法」という。)、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成15年法律第97号。以下「カルタヘナ法」という。)その他関係法令(以下「法律等」という。)の定めるもののほか、この規程の定めるところによるものとする。
(定義)
第2条 この規程において、次の各号に掲げる用語の定義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 病原体等 病原微生物、寄生虫及びこれらの産生する毒性物質等、生物学的相互作用を通して人体及び動植物に危害を及ぼす要因となるもので、法律等に定めるものをいう。
(2) 特定病原体 感染症法第6条に規定する一種病原体等、二種病原体等、三種病原体等及び四種病原体等をいう。
(3) 病原体等取扱者 西普天間地区内において病原体等を取り扱う者をいう。
(4) 実験責任者 病原体等取扱者が行う実験の責任者をいう。
(5) 管理区域 特定病原体を使用する実験室、検査室、保管室及びその他安全管理に必要な区域をいう。
(6) 指定実験室 管理区域及び別表1に定めるレベル3の病原体等を取り扱う実験室をいう。
(遵守義務)
第3条 病原体等取扱者は、この規程及び法律等の定めるところによらなければ、病原体等を取り扱うことはできない。
2 西普天間地区においては、一種病原体等及び別表1に定めるレベル4の病原体等を取り扱ってはならない。
3 検査等において一種病原体等及び別表1に定めるレベル4の病原体等が検出された場合は、感染症法に基づき適切に処分しなければならない。
(委員会)
第4条 西普天間地区に、第1条の目的を達成するため、病原体等安全管理委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、次に掲げる事項について調査審議する。
(1) 病原体等の病原性のレベルの分類に関すること。
(2) 実験室及び管理区域の安全設備及び運営に関すること。
(3) 特定病原体及び別表1に定めるレベル3の病原体等の利用、保管及び移動の承認に関すること。
(4) 事故発生時及び災害発生時における措置に関すること。
(5) その他病原体等の安全管理に関し必要な事項
3 委員会は、次の各号に掲げる委員をもって組織する。
(1) 琉球大学遺伝子組換え生物等使用実験安全委員会委員のうち大学院医学研究科又は医学部所属の委員1人
(2) 大学院医学研究科の基礎医学系の教員3人
(3) 大学院医学研究科の臨床医学系の教員2人
(4) 保健学科の教員1人
(5) 附属実験実習機器センターの専任教員
(6) 附属動物実験施設の専任教員
(7) 検査・輸血部長
(8) 先端医学研究センター感染症分野長
(9) その他医学部長及び病院長が必要と認めた者
4 前項第1号から第4号まで及び第7号に規定する委員は、教授会の議を経て医学部長が任命する。
5 第3項第1号から第4号まで及び第7号に規定する委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。
6 第3項第1号から第4号まで及び第7号に規定する委員に欠員が生じた場合の補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
7 委員会に委員長を置き、委員の互選により選出する。
8 委員長は、委員会を招集し、その議長となる。
9 委員長に事故があるとき又は欠けたときは、あらかじめ委員長が指名する委員がその職務を代行する。
10 委員会は、委員の過半数の出席がなければ、会議を開くことができない。
11 委員会の議事は、出席委員の3分の2以上をもって決する。
(危害防止主任者)
第5条 指定実験室ごとに、第10条第2項の規定により承認を得た実験責任者の所属する講座等の長又は医学部附属施設の長を危害防止主任者とする。ただし、先端医学研究センター棟3階のBSL(バイオセーフティーレベル)3実験室の危害防止主任者は、先端医学研究センター感染症分野長とする。
2 危害防止主任者は、この規程に定める業務を行うとともに、当該指定実験室の業務の調整と統括について責任を負うものとする。
(実験責任者)
第6条 実験計画ごとに、実験従事者のうちから実験責任者を定めるものとする。
2 実験責任者は、琉球大学(以下「本学」という)の職員とする。
3 実験責任者は、病原体等の適切な取扱い、実験終了後の滅菌、その他病原体等を取扱うにあたり法律等の遵守事項を確認し、その実験の責任を負う。
(病原体等のバイオセーフティレベルの分類)
第7条 病原体等のバイオセーフティレベルを分類する基準は、別表1に掲げるとおりとする。
(実験室の安全設備及び運営に関する基準等)
第8条 病原体等を用いる実験室は、用いる病原体等のレベルに応じ、法律等及び別表2に定める基準に従って必要な設備を備え、運営されるものとする。
(指定実験室の安全管理)
第9条 危害防止主任者は、病原体等を取り扱う安全キャビネットについて、次の各号に掲げる指定実験室の区分に応じ、当該各号に定めるところにより点検を実施し、その記録を保存しなければならない。
(1) 二種病原体等及び三種病原体等を取り扱う指定実験室 毎年1回以上実施
(2) 四種病原体等を取り扱う指定実験室 5年に1回以上実施
(3) レベル3の病原体等(特定病原体を除く。)を取り扱う指定実験室 5年に1回以上
2 危害防止主任者は、病原体等の不活化に使用する滅菌設備について、毎年1回以上、点検を実施し、その記録を保存しなければならない。
3 危害防止主任者は、病原体等の保管庫を常時施錠するとともに、施錠器具の破損等の有無について毎年1回以上、点検を実施し、その記録を保存しなければならない。
4 危害防止主任者は、BSL3実験施設空調・風量・制御盤・エアフィルター等について、5年に1回以上、点検を実施し、その記録を保存しなければならない。
(病原体等の取扱手続)
第10条 実験責任者は、別表1に定めるレベル2の病原体等を新たに保管しようとするとき、又はこれらの病原体等を用いて新たに実験をしようとするときは、別紙様式1によりあらかじめ医学部長に届け出なければならない。
2 実験責任者は、特定病原体及び別表1に定めるレベル3の病原体等を新たに保管しようとするとき又はこれらの病原体等を用いて新たに実験をしようとするときは、別紙様式2によりあらかじめ医学部長に申請し、その承認を受けなければならない。この場合において、承認の期間は最大5年とし、承認期間終了後も引き続き保管し、又は実験を実施する必要があるときは、改めて申請を行うものとする。
3 実験責任者は実験室に実験室承認番号を付されていない場合、実験を開始する前に別紙3又は4を提出し、委員会の承認を受けなければならない。
4 実験責任者は、別表1に定めるレベル2の病原体等を受け入れるとき、又は西普天間地区以外の場所へ移動させるときは、別紙様式5によりあらかじめ医学部長に届け出なければならない。
5 実験責任者は、特定病原体及び別表1に定めるレベル3の病原体等を受け入れるとき又は西普天間地区以外の場所へ移動させるときは、別紙様式6によりあらかじめ医学部長に申請し、その承認を受けなければならない。
6 実験責任者は、第2項又は前項の申請に関して承認を受けた後、申請事項の一部に変更の必要が生じたときは、再度申請しなければならない。
7 実験責任者は、特定病原体及び別表1に定めるレベル3の病原体等を用いた実験を終了したときは、別紙様式7により医学部長に届け出なければならない。
8 医学部長は、病原体等の安全管理上必要がある場合は、第2項又は第5項の申請に関して、その内容の一部を変更して承認することができる。
9 特定病原体及びレベル3の病原体等を取り扱う実験責任者が交代する場合、前任の実験責任者は、書面をもって病原体等の種類、保管場所等を後任の実験責任者に引き継ぐものとする。
(病原体等の保管)
第11条 病原体等の保管に当たっては、保管庫は施錠し、法律等を遵守し責任をもって管理しなければならない。
2 医学部長は、前条の規定によって届け出又は承認された病原体等の管理状況を把握するものとする。
(病原体等の運搬)
第12条 病原体等取扱者は、特定病原体を運搬しようとする場合は、感染症法及び厚生労働省が定める運搬の基準、特定病原体等の運搬に係る容器等に関する基準及び特定病原体等の安全運搬マニュアルに基づき行わなければならない。
2 病原体等取扱者は、二種病原体等及び三種病原体等並びにレベル3の病原体を西普天間地区外へ運搬しようとする場合は、別紙様式6によりあらかじめ医学部長に申請し、その承認を受けなければならない。
3 医学部長は、前項の規定により承認した場合には、感染症法に基づき、沖縄県公安委員会に届け出なければならない。
4 病原体等取扱者は、西普天間地区内で特定病原体を運搬する場合に、廊下等の共用部分を通過することが見込まれるときは、共用部分を時限的管理区域として設定し、適切な対応を取らなければならない。
5 前項の規定による特定病原体の運搬に当たっては、密閉及び滅菌可能な二次容器を使用しなければならない。
(管理区域等の表示)
第13条 レベル2以上の病原体等を取り扱う実験室の出入口には、別紙様式8の厚生労働大臣が指定するバイオハザード標識に必要な事項を記載し、これを表示しなければならない。
(特定病原体及びレベル3の病原体等を用いる病原体等取扱い者の資格)
第14条 指定実験室において特定病原体及び別表1に定めるレベル3の病原体等を用いる病原体等取扱者は、次の各号に掲げる条件を満たす者でなければならない。
(1) 用いる病原体等の病原性、起こり得る汚染の範囲及び安全な取扱方法、指定実験室の機構及び使用方法並びに事故及び災害の発生時における措置等について、十分な知識を有し、かつ、技術的修練を経ている者
(2) 第19条に規定する定期の健康診断を受け、異常が認められなかった者
(病原体等の処理)
第15条 特定病原体及び別表1に定めるレベル2からレベル3までの病原体等について、所持を要しなくなった場合等においては、別紙様式10により直ちに医学部長に届け出の上、感染症法に基づく所定の届け出を行った後、速やかに滅菌等を実施しなければならない。
(事故発生時の対応)
第16条 次の各号に掲げる場合は、これを事故とみなすものとする。
(1) 外傷その他により、特定病原体及び別表1に定めるレベル3から4までの病原体等が職員等の体内に入った可能性がある場合
(2) 管理区域内の安全設備の機能に重大な欠陥が発見された場合
(3) 特定病原体及び別表1に定めるレベル3から4までの病原体等により、管理区域内が広範に汚染された場合
(4) 第19条及び第20条に規定する健康診断の結果、特定病原体及び別表1に定めるレベル3から4までの実験に用いた病原体等による異常と診断された場合、及びレベル2の病原体等にあっては、実験に用いた病原体等による健康障害であることが事故直後の報告等により明確に特定できる場合
(5) 特定病原体等の盗取(盗取予告及び盗取未遂を含む。)又は所在不明が生じた場合
2 前項第1号から第3号及び第5号に規定する事故を発見した者は、琉球大学西普天間地区病原体等安全管理緊急対応マニュアル(以下「緊急対応マニュアル」という。)に基づき直ちに実験責任者、危害防止主任者又は医学部長に通報しなければならない。
3 前項の通報を受けた実験責任者又は危害防止主任者は、直ちに医学部長に報告するとともに、所要の応急措置を講じなければならない。
4 第2項の通報又は前項の報告を受けた医学部長は、所要の措置を講じることを命じるとともに、必要があると認めるときは、危険区域を指定し、当該区域の使用を一定期間禁止することができる。
5 医学部長は、前項の危険区域の指定を行ったときは、事故及び当該指定の内容を病原体等取扱者に通知するとともに、委員会その他適当と認める者に対し事後調査を行わせるものとする。
6 前項の事後調査を行う者は、危険区域の安全性の回復を確認したときは、速やかに医学部長に報告しなければならない。
7 医学部長は、前項の報告を受けたときは、危険区域の指定を解除し、病原体等取扱者にその旨通知しなければならない。
8 第1項第5号に規定する事故が生じた場合には、実験責任者又は危害防止主任者は、厚生労働省が定める特定病原体に係る事故・災害時対応指針及び緊急対応マニュアルに従って、宜野湾警察署及び厚生労働省感染症対策課に報告するとともに、適切な対応を取ったのちに医学部長に報告しなければならない。
(緊急事態発生時の対応)
第17条 医学部長は、地震又は火災等の災害による重大な被害が発生し、病原体等の安全管理に関しこの規程に定める措置のみでは十分ではないと判断した場合は、直ちに緊急対策本部を設置しなければならない。
2 委員会は、前項の緊急対策本部が設置されるまでの間、緊急事態に即応した所要の措置を講ずるとともに、緊急事態及び講じた措置の内容等を速やかに医学部長に報告しなければならない。
3 指定実験室において病原体等を取り扱う病原体等取扱者は、地震又は火災等の災害による重大な被害が発生したとき又は警戒宣言が発せられたときは、直ちに必要な措置を講じなければならない。
4 特定病原体を使用する実験責任者は、地震又は火災等の災害による重大な被害が発生したときは、厚生労働省が定める特定病原体に係る事故・災害時対応指針に従って、宜野湾警察署、消防署、最寄りの病院及び厚生労働省感染症対策課に報告したのちに、医学部長に報告しなければならない。
(緊急対策本部の構成等)
第18条 前条第1項に規定する緊急対策本部は、本部長並びに委員会の長及びその他の委員等をもって構成する。
2 緊急対策本部の本部長は、医学部長をもって充てる。
3 緊急対策本部は、次の各号に掲げる事項を指揮又は処理する。
(1) 病原体等の逸出の防止対策に関すること。
(2) 汚染防止並びに汚染された場所及び物の処置に関すること。
(3) 被汚染者の処置に関すること。
(4) 危険区域の指定に関すること。
(5) 危険区域の安全性調査及び危険区域の解除に関すること。
(6) 広報活動に関すること。
(7) その他緊急事態における病原体等の安全管理に関し必要な事項
4 緊急対策本部は、本部長が病原体等に関する安全性が確認され緊急事態が解消したと判断したときに解散するものとする。
(定期の健康診断)
第19条 医学部長は、管理区域において業務に従事する本学の病原体等取扱者に対して、取り扱う病原体等が人体に病原性があるとされている場合には、定期の健康診断として、当該病原体等により発症するおそれのある症候の臨床的診断を実施しなければならない。ただし、学外の病原体等取扱者は所属機関での健康診断を受診することとする。
2 定期の健康診断は、少なくとも年1回実施するものとする。
(臨時の健康診断)
第20条 医学部長は、安全の確保のために必要と認める場合には、本学の病原体等取扱者に対して臨時の健康診断を受けさせることができる。
(健康診断の記録)
第21条 医学部長は、健康診断の結果、健康管理上必要と認める事項について、本学の病原体等取扱者ごとに健康診断の記録を作成しなければならない。
2 前項の記録は、本学の病原体等取扱者が異動又は退職した後、原則として10年間、これを保存しなければならない。ただし、取り扱った病原体等の潜伏期間が短いものについては、この限りではない。
(健康診断後の措置)
第22条 医学部長は、健康診断の結果、本学の病原体等取扱者に別表1に定めるレベル2から4までの病原体等による感染が疑われるときには、直ちに安全確保のために必要な措置を講ずるものとする。
(病気等の届出等)
第23条 特定病原体及び別表1に定めるレベル3の病原体等を取り扱う病原体等取扱者は、当該病原体等による感染が疑われる場合は、直ちに実験責任者、危害防止主任者又は委員会にその旨を届け出なければならない。
2 前項の届出を受けた実験責任者又は危害防止主任者は、直ちに当該病原体等による感染の有無について調査を行わなければならない。
3 実験責任者又は危害防止主任者は、前項の調査の結果、当該病原体等に感染したと認められる場合又は医学的に不明瞭である場合は、直ちに医学部長に報告しなければならない。
(庶務)
第24条 この規程に関する庶務は、西普天間キャンパス事務部企画課において処理する。
(雑則)
第25条 この規程に定めるもののほか、病原体等の安全管理に関し必要な細目は、委員会の議を経て医学部長が別に定めることができる。
(改廃)
第26条 この規程の改廃は、委員会の審議及び医学部教授会の議を経て医学部長が行う。
2 前項の改廃を行った場合は、速やかに委員長が指名した者が病院運営委員会に報告するものとする。
附 則
1 この規程は、令和6年11月29日から施行する。
2 
別表1
病原体等のバイオセーフティレベルを分類する基準

別表2
病原体等取扱実験室の安全設備及び運営基準

別紙1
病 原 体 等 取 扱 届

別紙2
病 原 体 等 取 扱 申 請 書

別紙3
実験室申請書(BSL2病原体使用実験)

別紙4
実験室申請書(BSL3病原体使用実験)

別紙5
病 原 体 等 移 動(受入・譲渡)届

別紙6
病 原 体 等 移 動(受入・譲渡)申請書

別紙7
特定病原体等使用実験終了届

別紙8
BIOHAZARDマーク

別紙9
特定病原体等滅菌・廃棄届